第4話 アフロマスター
まるで西部劇に出てくるような街に着いた。
僕も仕方なく後をついていく。
「大将! コイツに飲み物を!」
店の外観やカウンターからして「大将」というのはちょっと違う気もした。
むしろ「マスター」の方が合っている。
でも、そのアフロマスターも上半身裸で、ボロボロのデニムという姿なので、マスターと呼ぶのも微妙だ。
「
「それがあるじゃないか」
そう言うと
そこにはお爺さんからもらった種もみがあった。
「え? こんなのでいいんですか?」
「ああ、農作業は天然の筋トレだ」
よくわからないけど、お代として問題ないらしい。
「飲み物だな」
アフロマスターは低くて渋い声で答え、コップに入った水を出してくれた。
「ありがとうございます」
僕はコップを手にして、喉の乾きを満たそうとする。
「待ちなっ!」
アフロマスターはキツイ口調で止める。
あれ? なんか変なことしちゃったかな。
アフロマスターはコップを僕から奪い取る。
「そのまま飲むやつがあるか!」
なぜか怒られた。
「もう少し待ってな」
僕はおとなしく待つことにした。
アフロマスターはコップの上に右手を持っていくと、指をすぼめて、こする。
すると、怪しい白い粉が指の隙間からパラパラと落ちてきた。
こんな光景をどこかで見た気がする。
アフロと白い粉。
でも、僕はそれ以上考えるのをやめた。
アフロマスターは白い粉をこれでもかと水にふりかけると、蓋をする。
「シェイク! シェイク! ブギーな――」
そう言って激しくコップを振り出した。
それ以上は色々と問題があるので、僕は耳を塞いだ。
アフロマスターは激しくコップを振り、なぜか腰も振っていた。
しばらくすると、アフロマスターは白濁に染まったコップをカウンターに置いた。
僕は耳から手を離す。
「飲みな」
アフロマスターは言う。
僕は普通の水が飲みたかった。
でも、せっかく作ってくれたものには、文句を言えない。
仕方なくソレに口をつける。
ちょっと甘くて、飲めないようなものではなかった。
安心して、僕はイッキ飲みをする。
「ふぅ」
僕は空になったコップをカウンターに置いた。
「飲んだな?」
隣にいた
僕はその瞬間ゾッとした。
そうだ。
知らない人から飲み物をもらっても飲んじゃいけないと、母さんに言われた。
それに、この飲み物は、アフロマスターという更にヤバそうな人が出したものだ。
マッチョでアフロで半裸でサ◯ババなのが、アフロマスターだ。
ヤバい!
そう思った時、俺は筋肉の声を聞いた。
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