魔法習得、コンボって奴が出来そう
ショッピングモールで買った装備は今頃ダンジョン近くの施設に保管されているだろう。
俺は買ってきた4冊の魔法書を家に持ち帰った。
家と言っても一部屋しかないような安アパートだ。そのくせ駅近で家賃は高い。
ショッピングモールやダンジョンに向かうことを考えるとここ以上にいい場所はみつけられなかった。
パソコンもなければスマホもなく家具や家電もベッドと小さい冷蔵庫や炊飯器ぐらいの必要最低限のものしかない。
稼がなければな。
親はこの家の家賃とスマホ代は出してくれるとも言ったがそれは断った。
そのぐらいすぐに稼がなければ命を賭ける冒険者なんてやめた方が良いからだった。
そんな家でも呪文の練習はできる。
ダンジョンの外だと呪文の威力は大幅に落ちる。
魔力が外だと薄いからと言われている。
心置きなく呪文を使ってもここでは大した効果は発動しない。
バフとか持続する呪文はダンジョンに入った瞬間効果が本来のものになるので行く前に使っておくのも良いらしい。
さて、買ってきた本にはそれぞれ大体呪文が三つぐらい書かれていた。習得の前に基本をおさらいだ。
転生から冒険者になる一年間の間に俺は魔術師として基礎的な訓練は行なっていた。
それは魔力の隆起と呼ばれる状態になる訓練だ。その状態になるとどうなるかというと手が光る。この状態で正しい動作と詠唱を行うと呪文が発動するのだ。
前世のイメージとしては忍者が忍術を発動するのに集中する為に使うと言われる印のようなものだろう。指先だけじゃなく時には腕や体全体の動きが要求されるのが違うけども大体そんなイメージだろう。
隆起自体の習得には半年以上かかった。
熟練者になると光を加減して気付かれにくくしたり動作や詠唱の短縮、呪文の効果を高めるなんてこともできるようになるらしいが、そんなものは俺にはまだまだ未知の領域だ。
手をいつでも光らせられるようになったのでもう十分嬉しいし楽しいと俺は思っているが更なる先を楽しみたい。
前世からは考えられないファンタジーが現実となってとても嬉しかった。
基礎的段階で半年もかかるということからもわかる通り呪文の習得にはかなりの手間がかかる。
一つの呪文を考えても何回も練習して体で覚えないと咄嗟には使えないだろう。
たくさんの呪文、たくさんの手順、正確に覚えていられないものだ。
なので今世の大半の魔術師はノートに発動手順をメモした自家製の呪文書を持ち歩くものらしい。前世でもそういうファンタジーはあったな。
これから1日ほど呪文習得に当てる予定だが覚えきれないものは俺もノートにまとめるとしよう。
さて、一応買ってきたどの本でどんな魔法が覚えられるかをノートにまとめよう。
効果説明の要約も大事だから書こう。
『国連冒険者ギルド公認冒険者支援Lv0呪文セット〜これさえあればダンジョンも快適〜』〈飲み水の生成〉指定した容器に飲み水を作り出す。
〈洗浄〉対象の汚れを落とす。
〈スライムの召喚〉トイレ用スライムを召喚する。制限あり(術者が寝るまで維持される。1匹まで。以下制限ありに略)
『地味に便利!Lv0呪文のススメ』
〈光の生成〉視界内の指定位置に松明よりは明るい光球を生み出す。制限あり。
〈使い魔の召喚〉蝙蝠や猫に似た使い魔を召喚する。制限あり。
〈潤滑液の生成〉ローション的な粘度の高い液体を地面にばら撒ける。
〈着陸〉対象の落下速度を軽減する。対象が寝るまで持続する。
『もう不遇とは言わせない。魔術師向けおすすめLv0呪文習得書』
〈使い魔の召喚〉重複で略
〈防護〉対象への攻撃は魔力の力場により軽減される。寝るまで。
〈跳躍〉3倍ぐらいジャンプできる。寝るまで
〈火の生成〉ライターだね。
〈氷の生成〉飲み物冷やせるね。
『最初の一歩!実は使える攻撃用Lv1呪文三選』
〈破魔矢〉目標を追尾する矢を発射する。威力は普通の矢らしい。どのくらいだ?
〈火矢〉火の矢を発射する。相手は燃えるらしい。ひや。
〈氷矢〉氷の矢を発射する。相手は凍るらしい。ひや。
たった4冊の本で14個の呪文である……。
発動手順としてはLv0呪文が大体5工程ぐらいでLv1呪文は20工程以下ぐらいの手順がいるみたいだ。
流れるようにいろんなポーズをしていかなければならない。シュババババと、印を結ぶように、もっと大きな動きで、腕や手の動きを正確に行わなければならない。
非常に疲れるし難しい。
とりあえずやるしかないということで丸一日ひたすら練習を行った。
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