第41話 ダンジョンボス戦
『これイケるんじゃね?』
『いや、ボス戦は専用フィールドだし、最初のダンジョンだから逆に何もない』
『洞窟の中とかならよかったけど、ボス部屋は円形で真ん中にボスがいるだけ、ギミック無し』
『パーティなら火力ごり押しで行けたけど』
『そんなに広くないから遠射は無理だよね』
『爆裂矢でごり押し?』
『魔力矢生成で最大MP込めた矢があればそれに爆裂矢の重ね掛けでいけるか?』
『確かに火力は上がるけど、一発では終わらないしその後MP0だし』
『MPポーション持ってたっけ?』
『(小)が残り12、MAX4回分』
『ダメージ計算とかわかんないけど、それだけじゃきつくない?』
『そういえば新しいスキル手に入れてなかった?』
視聴者が初のダンジョン初見ソロ踏破に立ち会えるのではないかと興奮しているせいか、コメントの流れる速度が速い、外部から変なコメントがないか確認している俺は全く見えない
「ふむ、これは削除じゃな」
「動体視力の訓練になりそうだな」
ということで視力が高い異世界組にモデレーターのようなことをしてもらっている、本当はもうあきらめようかと思ったけど2人が自分以外の配信でやってみたいということで頼んでみた
「それにしても、ティティルはうまくいっておるの」
「まあ最新のゲームの配信だし、ティティル自身の射撃能力が相まってって感じだな、思った以上の成果だ」
「うむ、それにしてもこのRWO、俺たちもやってみたいな、ディシア殿もそう思わないか?」
「かかか、それはもちろんじゃ!、龍錬よ、わらわたちもゆくゆくはこのゲームをプレイできるかの?」
「まあ今すぐにってのはあれだが、RWOの熱が少し落ち着いたら購入してみる、今はどこを探しても売り切れだからな、再販もすぐ来るだろうし、転売ヤー対策もされてたから大丈夫だよ」
「かかか、ティティルの動画を見たらやってみたくなっての~~」
「俺も久々に全力で戦ってみたい」
「わかった、再販が来たらすぐに買うから」
そういって俺はティティルの配信に目を向けた
♦♦♦
「結構レベル上がったね」
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
前→現在
■名前:ティティル
■種族:エルフ
■ジョブ:弓兵(アーチャー)
■性別:女性
■ステータス
Lv (レベル):3→21
HP (体力量):115→425
MP (魔力量):75→160
STR(攻撃力):33→115
VIT(防御力):16→43
INT(知 力):20→51
VIT(生命力):16→45
AGI(敏捷性):25→80
DEX(器用度):13→40
LUC( 運 ):10→31
割り振りステータスポイント:210
■装備
武器:卯月の弓(鉄級)
格好:弓兵の衣(石級)
■装飾
なし
■スキル
武器スキル:《遠射:Lv.8》《急所射撃:Lv.20》《弓当て:Lv.1》《カタストロフレイン:Lv.4》《爆裂矢:Lv.2》《スナイプステップ:Lv.2》
魔法スキル:《隠密:Lv.13》《魔力矢生成:Lv.5》
生産スキル:
常時スキル:《矢筒:Lv.なし》
■称号
『世界初の弓兵』『最初の獲物』『孤高の狩人』
NEW『大虐殺』『地利の味方』
■加護
なし
■アイテム
HPポーション(小) ×10
MPポーション(小) ×12
■矢筒
魔力矢(MP最大消費) ×10
魔力矢(MP半分消費) ×20
魔力矢(MP三分の一消費) ×30
矢 ×87
大虐殺………一人で30以上の敵を倒す
地利の味方…地形攻撃でとどめを刺す
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
『本来5,6人でやるダンジョンだからね』
『今最高レベルっていくつだっけ?』
『自警団のリーダー、ツルギさんが35だったはず』
『あの人はリリース時から最前線だから』
『でも21って普通に上澄みだよ』
「へ~~、ツルギさん?が一番強いんだ~」
『あの人最強Vゲーマー八皇の一人だし』
「え?確かディシアさんがお世話になってる人も最強Vゲーマー八皇って言われてたような」
『そう!アマツレベルの人』
『ディシアさんに勝ったアマツと同じレベルっていえばヤバさが分かる』
『ワイ臣下、めっちゃやべえじゃん!』
『格ゲーだとアマツが強いけど、VRMMOだとツルギがめっちゃ強い』
「めっちゃすごい人じゃん!!」
『ディシア@マーシャルコード:ほう、あのアマツレベルの強者か、かかか』
「あ、ディシアさん!」
『ディシア様!』
『見ていらっしゃったのですね!』
『ははーー!』
『臣下のコメント速すぎ!』
『ディシア@マーシャルコード:ティティルよ、わらわも見ておるのだ、最後のボス戦でマーシャルコードの威光を見せつけてやるのだ!』
『ディシア様ーーーー!!』
『魔王の加護来たなw』
『すげえ魔王だったな、アマツに一回かったって聞いたけど』
『お前も臣下にならないか?』
『よその配信ではNGね』
『すまぬ』
「いこう?まあわかった、頑張るね!」
準備を終えたティティルは立ち上がり、ボス部屋に向かって歩いていく
道中ゴブリンが数匹いたが相手に気づかれる前に射貫き、難なくボス部屋に到着した
「えっと、多分ボス戦の間はコメントが読む余裕がないので、返事ができなくなります!」
『まあそりゃそうだな』
『がんばれティティルちゃん!』
『初見ソロ攻略!』
『ボスってどんな感じだっけ?』
コメントが流れていくが、ティティルはコメント欄を非表示にし、余計なものを取り除いてボス戦に挑む
ボス部屋の前には石でできた中開きの扉があり、すこし力を籠めれば簡単に開く
「へ~~」
ティティルがボス部屋に入る、洞窟の壁で円形の部屋。壁には松明が設置される
直径100mほどで、真ん中からすこし奥側にボスはいる
見た目はゴブリンだが他と違って大きさがオークレベル、体には骨や布でできたアクセサリーが散りばめられており、少し大きめの玉座のようなものにどっしりと座っていた
【ゴブリンキング】
「とりあえず高火力の一撃を入れてからじわじわと攻めていこうかな」
ちなみにこのゲームは敵にHPバーは表示されないので、モンスターの様子で察するしかない
「MP最大消費の魔力矢と爆裂矢の重ね合わせ、どれくらい削れるかな」
ゴブリンキングは玉座から動かない、一定の距離に近づくか遠距離から攻撃されると動き出す
「爆裂矢」
矢を構え、ゴブリンキングの眉間、ではなく目を狙い、放つ
矢は正確に狙いに向かい、無防備なゴブリンの右目に接触し、追加の爆発が発生する
「ぐががががが!!!!」
爆発の煙が晴れると、矢はゴブリンキングの右目に刺さっており、目を痛そうな仕草をすると、怒ったようで左手でゴブリンキングと同じぐらい大きい棍棒を持ち上げ、振りかぶりながら突進してくる
「ぎゃぎゃががががぎがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ティティルに叩き込める距離に近づくと狙い目掛けて突進の勢いをつけて振り下ろす
「スナイプステップ!」
ティティルはスキルを使用し、ゴブリンキングの背後に移動する
「しっ!」
即座に矢を構え、がら空きの背中、うなじを狙って3本打つ
「ぎゃぎっ!ぎぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ゴブリンキングは不意打ちで食らった矢を自力で抜き取ると後ろに向き、ティティルに襲い掛かる
「隠密!」
クールタイムがまだなスナイプステップは使わず、隠密を発動、自力で棍棒を回避すると棍棒の勢いで舞う土煙に身を隠す
「ぐぐぐ?ぎぐ?」
ゴブリンキング手ごたえがないためティティルを探すが、今は土煙があって見えない、5秒ぐらい待てば晴れると考えて晴れるのを待つゴブリンキング
しかし、狩人は土煙でも獲物を見逃さない
ティティルは土煙の中、隙を逃さずに矢を放つ
「!?がぎゃぁぁぁぁ!!!!」
棍棒を持っていた左腕、手首に数本矢が刺さっている、痛みに耐えきれずに左腕で持っていた棍棒を落とす、刺さったところが悪かったのか、手で握る力がうまくいかない
左手で棍棒を持ち上げようにも持ち上げれない状況
次に右手で持つと、タイミングよく土煙は晴れた
ティティルはゴブリンキングが今見えない右目の死角に移動し、今度は足に狙いを定める
ティティルの技量があれば2つ以上の矢を正確に狙い撃つことも可能
今回は4本、ゴブリンキングが構えて後ろに動かした左足の脛を狙う
「ぎゃ、ぎゃぎゃぎゃがぁぁぁぁぁぁ!!」
4本すべてが命中すると、先ほどの怒りの叫びとは違った、苦痛による叫びが響く
足に痛みが入ってしまい、その場にしゃがみこんでしまう
動かなくなった相手にティティルは容赦なく矢を放つ
もう片方の眼、腕、肩、足
腕がだらんと動けない状況に追い込み、余裕ができてMPポーションでMPを回復する
「狩ってね、最初から急所を狙ったりとどめを刺そうとするんじゃだめなの、手足を封じ、身動きが取れなくなってからやっととどめを刺せるの」
「妖精のみんなが狩をするときは慌てずにじっくりと相手の動きを封じることを意識してみてね」
今回のボスは、ティティルからしたらただの獲物でしかなかったことを、視聴者たちは理解し、戦慄する
「爆裂矢」
最後に最高火力の一撃を与え、ゴブリンキングはポリゴンとなって消えた
【ゴブリンキングを討伐しました】
【倒したすべてのモンスターのドロップアイテムを手に入れました】
【レベルが26に上がった】
【称号『初ダンジョンソロ攻略』を手に入れました】
【称号『孤高にして志向』を手に入れました】
【称号『無傷の兵士』を手に入れました】
『やったーーー!!』
『ティティルちゃんやべえ!』
『ここまで来るとボスがかわいそうってレベルで一方的だったw』
『嘘だろ!?あんな簡単に?』
『今度のPVPは実質ティティルちゃんのハンティングゲームになるんじゃ?』
『↑否定できない』
『おれ参加予定だったけど辞退しようかな』
『にしても射撃が正確過ぎる、狩人ってレベルじゃないだろ』
『これチートやない、リアルチートや!』
『わかってた以上にヤバかった』
『誰だよ屋内ではそこまで強くないって言ってたやつ!』
コメント欄、そしてRWOプレイヤーは皆こう思った
『このティティルちゃんに勝てる相手はいないのだろうか』と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます