第40話 ダンジョン攻略配信
「うわ~~、ゴブリンがいっぱいだ~~」
進んだ先の溜まり場にはたくさんのゴブリンが群れていた
ゲームといっても4.50匹もいいるのだから集合恐怖症にはきつい映像だろう
『めちゃくちゃいるんだけど』
『一体一体は雑魚だけど数が多いから』
『どうするティティルちゃん』
『ゴブリンは登ってくるから高いところから打つだけじゃ無理だし』
『というかゴブリンの中にいろんな種類のゴブリンがいない?』
コメントの指摘を聞いてこちらで確認してみたが、全体の6割は普通のゴブリンだが、ほかにゴブリンジェネラル、ゴブリンエンチャンター、ゴブリンアサシン、ゴブリンライダーといったゴブリンの派生形のゴブリンが存在している
ゴブリンジェネラルは全体の指揮、ゴブリンエンチャンターはバフデバフ付与を行い、ゴブリンアサシンは暗殺、ゴブリンライダーは機動力で突撃
すべてのゴブリンのレベルは最大で6,しかし群れ、特に役割がはっきりしている群れを相手にするのは難しい
「ん~~、確かに普通とは違うのもいるね、でも大丈夫かな、最初はMP最大の【カタストロフレイン】でできるだけ多く削れればいいけど、あっ、魔力矢生成で最大MPで作成した魔力矢があるしそれを使おうかな」
『カタストロフレインはいいけど魔力矢は温存したほうがいいと思う!』
『個体のステータスはそこまで強くないから』
『この後ボスもいるからそこまで取っておいたほうがいいと思う』
『今できる最大を見たくはあるけど今回はね』
「あ~そうだね、じゃあ今回は普通の矢で行こうかな、隠密」
ティティルはそこからばれないように隠密スキルを使い、ゴブリンから気づかれないところ、カタストロフレインで多く倒せる場所を探る
「ここでいいかな」
場所を決めると弓矢を構える
「カタストロフレイン」
スキル名を唱え、自身の最大MPを消費する
「っ!」
上に向かって放ち、放物線を描くようにゴブリンたちの真上に届く、そこから弾けるエフェクトがおきるMP分の大量の矢が展開、自由落下的にゴブリンたちに向かっていく
途中天井にあたり、瓦礫となってゴブリンを潰したりと、予想より多くゴブリンが倒されていく
「ぐぎゃがぎゃ!」
「ぎぐぎぎぎ」
「ぎゃぎゃ!」
「ぎあーー!」
「たこす!」
「ぎぎぎぎぎ!!!」
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンジェネラルを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンエンチャンターを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
【ゴブリンを討伐しました】
:
:
:
司令塔のゴブリンジェネラルに集中していたためか、4.50匹の6割は削ることができた
討伐報告のログが乱立し、ほかの情報を見れずに流れてしまったが、ティティルは気にせずほかのゴブリンを狙う
「ぎぎゃぎゃぎゃ!」
「わん!」
「っ!」
気が付けば数匹のゴブリンライダーが乗っているウルフの機動性でティティルに迫る
数は5匹、それ以外は先ほどのカタストロフレインで倒れた
『ゴブリンライダーはやばい、数は少ないけどちょこまかと動くから当たらないし、視界にちらつくからイライラするし』
『ジェネラルとエンチャンターが全滅だからまだいいほう?』
『いや~~弓兵一人だときついぞ!』
コメント欄では絶望的な様子、しかしティティルのほうは余裕そうであった
発射位置からすぐさま離れ、今まで来た一本道に移動する
「ぎぎゃぎゃぎゃ!」
「わん!」
ゴブリンライダーたちはそのまま一本道に誘い込まれる
「まっすぐ来てくれるから狙いやすいね」
今現在MPが0の為、普通の矢を構えてそのまま射出
「ぎぎゃぎっ、がががあ!!!!」
矢に反応してか、ギリギリ眉間から腕に当たる箇所を変えたゴブリン
しかし
「ぎゃっ?」
腕に刺さった矢から目に前にいるティティルに目を向けると、いつの間にか眉間に矢が刺さっていた
アニメでよく見る2発目を1発目に隠して打つテクニック、対面していて対処されやすいと判断した
ゴブリンライダーはウルフから倒れ落ち、ポリゴンに消えると、騎乗していたウルフも一緒に消えてしまう
のちにわかったことだが、ウルフはゴブリンライダーの武器枠であるため、主が消えれば一緒に消えてしまうらしい
「このままほかの4匹もっ、っ!」
ティティルが他のゴブリンライダーを狙おうとした瞬間、背後から攻撃されたかのようにサイドステップで回避する
「グッ」
「ギッ」
「ガッ」
そこにいたのは全身を黒い布で隠し、ゴブリン特有の鼻と耳以外肌をさらさないゴブリン
ゴブリンアサシンが3匹いた
『ゴブリンアサシン!!』
『3匹生き残ってたか』
『ゴブリンアサシンはライダーと違って見えないところから暗殺してくるからきつい』
『ライダーが見える分アサシンがなおのこと見えずらい!』
「へ~~、まさか背後を取られるとはね思わなかった」
MPがない状態でカタストロフレインは打てない、ほかの手はないかと考え
20匹以上ゴブリンを倒したログを確認し、何かスキルが追加されてないか確認する
「あっ」
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■スキル
武器スキル:《遠射:Lv.8》《急所射撃:Lv.13》《弓当て:Lv.1》《カタストロフレイン:Lv.4》NEW《爆裂矢:Lv.1》NEW《スナイプステップ:Lv.1》
魔法スキル:《隠密:Lv.11》《魔力矢生成:Lv.5》
生産スキル:
常時スキル:《矢筒:Lv.なし》
■アイテム
MPポーション(小) ×13
爆裂矢………………弓用スキル、MPを消費してその消費したMP分の爆破による追加ダメージを付与
スナイプステップ…遠距離攻撃武器を装備してる場合、半径20m以内の場所に転移することができる
MPポーション(小)…MPを3割回復することができる
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「っ、MPポーション!」
コンソールを操作し、使用するアイテムを唱えるとポーションが消費される
アイテム、特にポーション系を使用する際、口に入れるor使用アイテムの名前を宣言の2種類がある
基本宣言するのはほとんどだけど。臨場感を味わうために口に入れる人がたまにいる
一つ消費し、MPを3割回復したティティル
「爆裂矢!」
ステータスゲージを確認してみると3割回復したMPの更に3割を爆裂矢に消費し、構える
その様子を見る俺や視聴者は考えた
ライダーとアサシン、どっちを先に攻撃するのかと
もうすぐティティルのいる場所につきそうなゴブリンライダーか、後ろからじりじり隙を狙っているゴブリンアサシンか
『どっちを狙うべき?』
『アサシンだろ、まずそっちを何とかしないと』
『でも3匹にあたるか?』
『カタストロフレインで3匹まとめてやれば』
『いや、事前に公表されてる情報で調べたけど、爆裂矢とカタストロフレインは同時使用できない!』
『うっそだろ!?』
後に聞いた話だが、MPを消費するスキルを同じ武器に同時使用はできないらしい
リリース前のデバックで剣に二つのMP消費スキルを使用した場合、挙動がおかしくなり、アイテムが破壊されるバグが発生したからだ
「大丈夫」
アサシンは警戒してか、それともライダーが来るのを待っているのかなかなか攻撃してこない
ライダーは全力疾走でもうすぐ着く
『ティティルちゃん!?』
『ゴブリンライダーがもうすぐ来るよ!』
『なんで動かないの?』
『というかどこ狙ってるの?』
「ぎぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
「わんわん!」
もうすでに目の前、ライダーは手持ちの武器を構え、ティティルに襲い掛かる
アサシンもライダーの動きに合わせるために構える
「っ!」
そしてティティルは爆裂矢を放った
洞窟の天井に
『え?』
『ん?』
『あ~~そういうことか!』
『え?え?』
天井に到達した矢は爆発し、大きな瓦礫を生み出し、下にいるゴブリンたちとティティルに襲い掛かる
先ほどのカタストロフレインでたまたま天井を破壊したため、ここでも可能ではないかと考え、予想は的中した
「スナイプステップ!!」
ティティルは新たに得たスキルでその場から転移、最大範囲の20mの地点に飛ぶ
「がyじゃgじゃgjygyjがsぢゅsdjkbsだjかsdbjk!!」
「zbfjbfjkdbふぇうbfjkzvbjbd」
「brbyhvbじゃssbjkだsbでhばjばlんc、mんk」
「うえgrwbjkbdsyhjzxbhじゃbj!!」
「わん」
先ほどいた場所に瓦礫が落ち、アサシンやライダーは潰れてしまった
【ゴブリンライダーを討伐しました】
【ゴブリンライダーを討伐しました】
【ゴブリンライダーを討伐しました】
【ゴブリンライダーを討伐しました】
【ゴブリンアサシンを討伐しました】
【ゴブリンアサシンを討伐しました】
【ゴブリンアサシンを討伐しました】
【倒したすべてのモンスターのドロップアイテムを手に入れました】
『おーーーー、すげぇ!』
『一気にまとめてやるとは』
『というか天井って破壊できたのか』
『さっきのカタストロフレインでも壊れてたぞ』
『さすがティティルちゃん!』
「えへへ、みんなありがとう!」
その後、残党をきっちり片付け、最後にあるボスの部屋に向かって進むティティル
『これいけるんじゃない?』
『ダンジョンを初見でクリアか』
『今いるプレイヤーで最強なのでは?』
『否定できない』
『ほかのガチプレイヤーも黙ってないだろうな』
♦♦♦
RWOではログイン中でもコンソールを操作してネットで調べ物をしたりニュースを見たりすることができる、もちろん生配信も
始まりの町、今現在多くのプレイヤーが集まる街で、戦闘行為が禁止で休憩所や喫茶店、クランハウスがあるため、皆休憩中に配信を見れる
喫茶店で紅茶を飲みながら配信を見ている二人
「あねさま、この人強いよ」
「多分私たちみたいに現実で鍛えてるよ、それに私たちと違ってガチの実践経験者よ」
「………、あねさま勝てる?」
「完全近距離ならまあ7割、遠距離なら確実に無理ね」
「そこまで?」
「そこまで」
プレイヤーネームは【ラン】と【リン】、現実でも姉妹であり、実家が中華拳法の道場だと本人たちが公言している
始まりの町にある大きな教会
「へぇ~これはすごい、よくあんな判断ができますね」
「室内で弓兵があの数相手に一人で、エルフロールプレイだとしてもクオリティが高すぎですね」
教会の一室で配信を見ていた男
彼のプレイヤーネームは【ザーク】
自他ともに認める女神教の狂信者である
といっても、その狂信者は一種のロールプレイである
彼自身が狂信者ロールプレイを楽しんでおり、悪徳な勧誘や布教はしないでただ一人で女神に祈り続けてるだけなので、ほかプレイヤーからは少し変わった人程度の感覚
「さてと、配信はまだ続きそうですが、このままだとずっと動けなくなりそうですし、レベリングに戻りますか」
そうして彼はフィールドに赴く
「女神さまの糧となりなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」
これが彼のいつものスタイルらしい
とあるクランハウス
「リーダー、ティティルちゃんの戦闘終わったんで聞きたいんですけど、前に話してたティティルちゃんのこと、どうします?」
プレイヤー自警団、そのクランハウスでは幹部とほかメンバーが大画面でティティルの配信を鑑賞していた
「そうだね~~、やっぱりあんまり干渉しなくていいと思うよ」
その真ん中にいたのはプレイヤー自警団のリーダーであり、最強Vゲーマー八皇である男、プレイヤーネームお呼びにゲーマーネームは【ツルギ】
ディシア押しの臣下である
「どっかの誰かさんが私のことを流しちゃったからほかのプレイヤーからいろいろ言われてますしね」
「うっ、あの時はすみませんでした!」
「よくできました」
「リーダー、そういえば第一回イベントの告知出てましたけど内容ってサバイバルPVPでしたよね?ティティル無双になるんじゃないですかね?」
「ん~~、そうかな?こうやって配信してるから誰もが対策するだろうし、建物の屋内に逃げ込めば回避できるだろうし、それに僕が運営ならステージを森や建築物のような遮蔽物が多いステージがイベントステージにするよ」
「なるほど、運営もバランスをとるために対策するってことですか」
「ただの予想だけどね」
「じゃあリーダーならどうします?」
「僕?そうだな~~」
ツルギは少し思案し、すぐに答える
「まずティティルちゃん対策で重要なのはティティルちゃんの居場所を把握すること、遠くから打たれると一度捕捉してもすぐにまかれて打たれるを繰り返すことになる」
「これって最初のほうはきつくないですか?今調べた限りイベントでは時間が経つとエリアが縮小されるらしいですから、そこから捕捉するのがいいと思います」
「そうだね、でもそれまでティティルちゃんに狙われないとも限らない」
「確かに」
「正直たった一人でサバイバル形式でティティルちゃんに勝てるとは思えない、一対一のトーナメント性、武闘会なら多分勝てるけど」
「リーダーでもですか?」
「あぁ、だから自警団のメンバーをバラ消させて、ティティルちゃんの情報を集めながら戦うしかないだろうね、イベントに自警団が本気になるのはどうかと思うけど」
「いやまあ自警団って言いますけどクランですし、自分たちも楽しんでいいでしょ」
「まあ、そうだね」
「リーダー、どこかにさそいこむのはどうでしょう?」
「あ~~いいかもね」
自警団は秩序を守りつつ、自分たちもゲームを楽しむ
そう、ほかにもいろんなプレイヤーがティティルに注目している
RWOの第一イベントに向けて
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