第18話 聖騎士長召喚



「おかしいだろ、なんで3日間も戦い続けれるんだよ!?」


「魔獣ももういないし、気をゆるんだ兵士からどんどん切られていく!」


「本当に化け物じゃないのか!?」





あれから3日間過ぎた


数百を超える兵士も80を切り、魔獣に関して言えば全滅した


敵国も最初はたった一人に数時間で倒すことができると考えていたため、撤退するなどという考えはなかった


しかし3日間も凌がれ、大幅に戦力を削られれば撤退することも考える




対して俺は鎧が傷や返り血だらけであり、常に汗を流す


ガッチガチの全身鎧のため切り傷はないがやけくその突進による打撲系の傷、常に動き続けたためのスタミナの削れ、精神的にも疲れが来ていた


本人からしても3日間も戦えてることを奇跡だと思った




本来ならどこかで退却するべきだったかもしれない


そのタイミングはあったかもしれないが、今逃げてしまっては退却中の部下に敵兵が向かうのではないかと思い、すぐには逃げなかった



敵兵が部下たちが対応できるだけの人数になるまでここで削っておかないといけない



そして、どんなに遅くても確実に王国に誰か一人は着くだろう3日まで戦い続けた














「はぁ……はぁ…………あいつらは王国に着いただろうか……」



もうここまでくれば退却しても文句は言われないだろうしお褒めの言葉をもらえるだろう


相手兵士も腰が引けており、早く逃げたいだろうが


自分がたった一人であるから大将も引きに引けないのだろう





「はぁ……ははっ…ははははは」



自然と引きつった笑いがこぼれてしまう、自分の強さを理解していたつもりだったがここまで戦い続けることができるとは思わなかった


そしてまだ戦えるような気がしてならない



「ははっ…ははははははははははははは!」



連戦の疲れがあってか狂ったように大きく笑う



「ひいぃぃぃっ、た、退却っ退却だ!!!」


「っ!」


「総員退却!」


「逃げろ!」



どうやらこの笑みに恐れたせいか相手は退却するようだ






「はぁ、やっと終わったか………疲れたな」


敵兵士たちが全員見えなくなると荒野の中、一人で腰を下ろす




兜の口元を少し上げて、貯蓄していた最後の水を一気に飲みこむ



「っは~~、水もうまいが、やっぱり酒が飲みたい」


3日間の疲れがどっと来たようで、足はもう動かせそうになく、体力が回復するまでここで休むことにしよう



そうなると暇になってしまう、他に誰もいないがぽろぽろと独り言が零れ落ちる



「死ぬ気で殿をしたがまさか生き残るとはな、これは儲けものだな」



「早く帰ってあいつらが準備してる酒飲みたいものだ」


「王に褒美なんかもらえたりしてな」


「功績でモテたりしてな、そろそろ嫁さん探しをしてみるか」


「にしても腹が減ったな~」






誰かに語り掛けるように話した後、しばらくしたとき


座っている地面に円乗の紋章のようなものが出てきた



「っ、なんだ!?何かのスキルか!?」


すぐに立ち上がろうとしても足は言うことを聞かずに動かない


紋章のようなものが上に向かて浮くとその紋章を通過した部分の足が消えていく


「っ体が、くそっ………ここまでか!」




座っていたからかすぐにおなかあたりまでに達し、もうどうしようもできない状態だった




「まあ、後はあいつらに任せるか、でも嫁さん作りたかったな~~」


そして俺はこの世界から消えた































そして龍錬たちの世界



「鏡花、今日の夕食はなんじゃ?」


「今日は焼きそばよ、麺をいろんな具材と一緒に焼くのよ」


「ほう?うどんやラーメンのように汁に着けるわけではないのか!?」


「ふふっ、そうね」


「楽しみなのじゃ!」






子供みたいな反応だな!



今日の配信を終え、夕食の時間だ


最近ディシアの配信は視聴者に好調だ



今日はイベントで知り合ったアマツと1対1のコラボであり、大いに盛り上がった


リベンジマッチという名目だが二人が楽しんでゲームをするだけの配信だったのだが、試合内容のすごさからアマツの切り抜き師が切り抜き動画をバンバン上げてる


不安だったのは対決ものでよくあるそれぞれのファンが喧嘩して視聴者のコメントがあれることだったが、二人のプレイ内容に驚嘆のコメントばかりで問題なかった






怖いくらい絶好調だ




振り戻しで何かやばいことが起きないか心配なくらいだが、まあ杞憂であってほしい





少し時間がたち、テーブルのど真ん中に大盛りの焼きそばが置かれていた




「えっと~、余ってた食材もまとめて炒めてたらたくさんできちゃった♪」


「大盛りなのじゃ!!」


「まあ食べれる分だけ食べてべ、余っても明日に回せますし、はは」


皆そろい、テーブルに座る




「それじゃ、いただきます」


「いただきます」


「いただきます」


「いただきまーーすなのじゃ!」




その声に反応したのか、




ピカーーと部屋の床が光り輝く



『!?』


「な、なんじゃ!?」


「これってディシアさんが来た時と同じ!」


「なんじゃと、まさか転移魔法!?」



正弥の発言を聞き、自身と同じように誰かが召喚されると察したディシア




「【Dedicate one's allegiance Legion】、ナイト!」


光が収まるまでに自分含めた四人の前に壁役のナイトを召喚し構える










光が収まる




「………………ほう?」



ディシア以外はすぐに目が慣れなかったが、すぐに慣れたディシアは床で座る全身鎧の男を観察する


そばに大剣と盾を持ち、鎧は汚れてはいるが傷自体はほとんどない


そして見るからに疲れてそうな雰囲気も出しているが、それ以上に殺伐とした警戒の敵意を漏らす男



「……………っ?ここは?」




男は周囲を観察すると……




ぎゅるるるるるるっと大きな腹の音を鳴らした



「ん?」


『え?』



ようやく目が慣れた3人には、目の前に現れた全身鎧の人物の腹から大きな音が鳴ったという状況が映っていた






「えっと?」


「はっ……………」



「え?」


ぼそっと聞こえた何かを聞き直そうと近づく龍錬



「…………………………腹が減った」


それを言い残すと座っていた状況から横に倒れ、気絶したかのように眠ってしまった



「……………」


「……………」


「……………」


「……………」








『えっ、えぇぇぇぇ!?』



これが異世界人二人目、聖騎士長ガガルとのファーストコンタクトだった










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