第3話

 

「私、偽物のお兄ちゃんにキスしちゃった。」

 

 「ゆず、偽物かどうかお兄ちゃんでも分からないんだ。」


「どう言うこと??」


「だって、ほら俺刺されて死んだ筈だろう。」


その言葉を聞くと義妹は一気にテンションが暗くなる。


 「俺は刺されたあと、魂になってずっとゆずを見てた。」


「・・・」


「ゆずの中に入りたいと願ったらこうしてゆずの夢の中に入って来たんだ。」


「・・・本当なの??」


「そうだよ。俺もありえな過ぎて自分が本物なのかわからないだ。とりあえずごめんなゆず、義妹って呼んで」


「・・・いいよ許す。それよりじゃあ本物かもしれないってこと?」


ゆずは義妹と呼ばれることを嫌っている。


 だけど俺はたまに義妹と呼んでしまう。


「そうだ」


「・・・お兄ちゃん・・今まで、生意気でごめんなんじゃい」


「いいよ」


ーーーーーーー


 義妹が落ち着くまでしばらく待った。


 「ねぇ、お兄ちゃん」


「どうした?」


「呼んだだけ」


なんだろう?流石に今までの態度があるから不気味だな。


 「私、お兄ちゃんにもう一度会えて良かった。」


「俺もだよ。」


「また、会えるかな?」


「会えるかは分からない。」

 そもそもここから俺は出ることが出来るのだろうか?


「そっかぁ」

義妹は全力で落ち込んだ顔をする。


 「お兄ちゃん、」


「何?」


「私、お兄ちゃんのことが大好きだった。いつもあんな態度だったけど、本当はずっと愛してたの」


「そうか。」


「そこは、俺も愛してるでしょ!!」

 少し生意気に戻ってますよ。


「あれ、なんだろう、お兄ちゃんにもっと一緒に居たいのに、眠気が」


「目覚める時間が来てしまったんだよ。」


「嘘!?でもダメ、寝ちゃう」

もうほぼ目が開いてない。


「俺はずっとゆずを見守ってるから、俺のことを引きずらないでこれからはもっと楽しく生きて」


「私にとってお兄ちゃんが生きが・・・」


ーーーーーーーーーーー

 急に周りが明るくなる。


 そして、義妹が起きたばっかりの顔をしている。


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