セーフ?
「アハハハ、いきなり出禁宣言とはね。山本詭弁くんが入部してから、面白いことばかりだよ」
「まだ仮入部です」
猿島さんはキーボードを叩いて可笑しそうに笑っている。僕は訂正をして溜息を吐いた。今日の猿島さんはグレーのジャケットと同色のスラックス姿で、デキるオーラを漂わせている。
仮入部早々に、癖のある先輩に睨まれてしまった。
「昼休みはもっくんが部室を占領しているんだ。それで昼休みに行くことは勧めなかったんだけど、私の言葉が足りなかったね」
「もっくん?」
「
黙然堂さんは、「可愛い」と対極に位置しているんじゃなかろうか。
「執筆中じゃなければ、言葉が通じるから」
「出禁扱いされたのは、取り消してもらえますかね?」
「勿論だとも。私もよく言っておくよ。さて、これが今日審査するサークルのリストだ」
猿島さんはパソコンの画面を僕に見せてくれた。表にサークルと、チェック項目がずらっと並んでいる。審査する項目は二十を軽く超えていた。
審査する団体は五つ。十六時から始めて、完全下校時刻の二十一時までに終わらせるのだという。
僕は猿島さんがサークルを審査しているのを、サポートしつつ見学することになっていた。
「各団体の長と茶飲み話をするだけさ。難しいことはないよ。君のお友達の音無さんも今頃、スタートしているはずさ」
「音無さんはその黙然堂さんと組んでいるんですよね? 正直不安です」
「大丈夫大丈夫。彼、仕事はきちんとやるから」
猿島さんはジャケットの上から、赤い腕章を装着した。マルサーとして活動している時は、身に着けるらしい。風紀委員みたいだ。
「研修中の腕章もあるよ。要る?」
「つけるべきでしょうか?」
「ご自由に」
マルサーの関係者だし、つけることにした。僕は猿島さんに倣って、シャツに腕章を装着した。若葉マークのような緑色だった。
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