第3話 梅ねえさんはどこに

そのころ、お花畑では花つみ太郎が梅を探していました。


「梅ねえさーん!梅ねえさーん!」


探せど探せど、梅ねえさんは見つかりません。


「いったいどこへ行ってしまったんだろう……」


太郎が諦めてうつむいたとき、地面に大きな足跡を見つけました。


「なんだこれは!?」


見ると、赤ん坊がすっぽり入ってしまいそうなほど、大きな足跡でした。


「これはもしや、鬼か!?」

 

その足跡は、山の方からやってきて、また山の方へ折り返しているようです。


そして、驚いたことに、山へ帰る足跡に沿って、摘まれた花も落ちています。


「もしかして……」

 

太郎は、落ちている花を拾いながら、足跡を追いかけることにしました。


**********


足跡をたどっていくと、山の中に続いていました。


山の中は、うっそうとしていて、暗くて……


ガサッ


「カーッカーッ」


「ひゃあっ」


太郎は、歩いているうちにだんだん怖くなってきました。


「うう……帰りたい……でも、梅ねえさんを助けないと……」


なんとか自分を励ましながら、花つみ太郎は歩き続けました。


どれくらい歩いたのでしょうか。


いつの間にか、洞窟の前まで来ていました。


真っ暗な洞窟の前で、花つみ太郎が立ちすくんでいると、


「キャーーー」


「ガーッハッハッハッハッ!」


梅ねえさんの悲鳴と、野太い、恐ろしい、大きな笑い声が響いてきました。


「ねえさん!」


太郎は、勇気を振り絞って、洞窟の中へ入っていきました。

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