第4話 疲れる日曜日

 日曜日。暖かい日差しで目を覚ます。


「んぁ……」


 俺は身体の状態を確認した。精神世界で戦ってボコボコにやられたが、現実の身体には傷一つついていない。身体も痛くない。

 安心した俺は二度寝をしようと再び布団を被った。今日は1日中寝ていたい。そんな欲望に従って俺は目を閉じたが、頭の中から聞こえる声がそれを許さなかった。


“なに寝ようとしてるんですか。朝ですよ”

“うるせ。今日は寝て過ごすって決めたんだ”

“今日は真人まひとさんにやって貰いたいことがあるので寝ないで下さい。今日じゃないと駄目なんです”

“はぁ……まぁ良いだろう。てもこれでしょうもない要件だったらお前のこと1回殴らせろ”


 何も聞かずに断るのは流石に可哀想なので、俺は有紗の要件を一旦聞いてみることにしてみた。それに有紗がわざわざ俺に頼んでくるようなものだ。大事なんだろう。


“いいですよ。それで要件は――”


 俺はその言葉を聞いて驚愕した。


“それ、本当に俺だけでやんのか?稜斗りょうととか黒波くろは連れて行っちゃ駄目か?”

“勿論です。それにお二人は別の用をこなしてもらう予定です”


 俺は天を仰ぎ一言。


「父さん母さん。今まで育ててくれてありがとう」



「赤点!」

「「怖い!」」

「補修!」

「「ダルい!」」

「平均超えたら!」

「「万々歳!」」


 俺は稜斗、黒波と一緒にランニングをしていた。あの後、有紗から体力をつけるように言われたのだ。そこで2人に声をかけて一緒にランニングをすることになった。因みに、この掛け声は黒波がランニングをする時に使っているものだ。正直共感しかない。


「(生徒)指導!」

「「怖い!」」

「落単!」

「「ダルい!」」

「『保護者呼ぶぞ』は!」

「「死を覚悟!」」

「A判!」

「「ほしい!」」

「(共通テスト)7割!」

「「取りたい!」」

「お前ら頑張れ!」

「「頑張ります!」」


 こんな調子で俺たちのランニングは続いた。日頃の運動不足が祟ったのか、終わる頃には俺と稜斗はフラフラしていた。そんな俺たちを見た黒波が一言。


「お前ら……ちゃんと運動しろ?」


 明日は筋肉痛で動けないだろうなぁ。と、覚悟して家に帰った。



 夕飯を食べ終え、部屋でゴロゴロしていると頭の中に声が響き渡った。


“さぁ。筋トレしましょう”

“お前マジで言ってる?”

“はいスクワット!”

“もう動けんよ!?”


 今日は沢山動いたのに、これから筋トレは流石にできない。だがこいつは俺に運動させようとする。鬼畜だろうか。いや、鬼畜なのだろう。そうに違いない。


“筋トレしないと……またボコボコにしますよ?”

“頑張ります”


 俺は仕方なく筋トレをするのだった。

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