第9話 レッスン

 稽古場にバレエ教師が入ってくると、すみれがその女性と何か話していた。

 すみれが美織みおりと優一に言う。

「あなたたちは別メニューでお稽古してもらうから、二人は私と一緒にストレッチね」

 それならここでレッスンを受ける意味があるのだろうか、美織は不満に思ったが、すみれは二人にストレッチのメニューを指示していく。

 団員のレッスンを横目にストレッチを続ける。


 団員が自分と同じ空間で練習している。

 団員といっても、ここにいるのはバレエ団最高のダンサーたちだ。

 その稽古を見れることが、いかに勉強になるかということは、説明されなくても美織にも理解できた。


 団員に見惚みとれている美織に、すみれが言う。

「あなたたちはストレッチ、ストレッチ」

 すみれも二人の隣でストレッチをする。

 一瞬目を疑った。なんて柔らかいんだろう。

 そういえば、彼女のことをよくわかっていなかった。

 同級生たちは、すみれのことを知っていた。一階の大教室に彼女が入って来た時の緊張感はすごかった。

 しかし、美織は彼女のことをまったく知らない。


 そんなことを考えながら、ストレッチと筋トレをして、すみれの指導でバーレッスンを通した。バーレッスンでは、今まで言われたことがないような細かいところまで注意された。


 そんなレッスンが毎日間続いた。

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