第16話

 「おはよう、勇者くん」


「おはよう、可奈さん」


俺は昨日の夜のことを思い出す。


 よく考えたら、女の子とお泊まりとか初めてだから、凄く何と言うかこう、


 特に何もなかったのが残念だ。


 「私、今日は学校戻るね」


「・・・別に遠慮しないで幾らでもって、訳にはいかないよね」


「うん、今日だけならまだ普通に家に帰らなかったで済むから」


「でも、怒られない?」


「それは絶対。でもよくあることだから」


「・・・そうなんだ。でもこれからはいつでも泊まりに来いよ」


「うん、ありがとう。私もまた愚痴聞いて欲しいし」


ーーーーーーー


 それから、可奈はたまに俺の家に泊まりに来るようになった。


 可奈さん曰く、


 家に帰らない日は、父親はめちゃくちゃ怒ってると本人は言うが、普段からそうなので変わりはないらしい。


 俺も来てくれて嬉しい。

  

 やっぱり辛いことを話すと心が癒される感じがする。

 

 「勇者も頑張ったんだね」

可奈は俺の苦労を知って褒めてくれる。そんな毎日がとてもよく感じる。

 

ーーーーーー


 一方元家


 「アンタ、少しは庇ってよ!」


「いや、俺が言うと荒れるだろ」


「アンタが何も言わないから、お母さんとお父さんもアンタも了承してる見たいな感じで言ってくるんでしょ」


「いや、それは関係ないだろ」


「あるわよ!!前だってあるわよね!」


「・・・私は、」


  最近両親の喧嘩に巻き込まれる初めている姉。


 姉はこんな喧嘩に毎日巻き込まれて懲り懲りしている。


 「私はわからないな」


「はぁ、しっかり考えてよ!!家族のことよ!!」


 勇者と違うタイプのサンドバッグは、痛みを受け流す先が必要だった。


姉は少しずつ、弟の痛みを理解する。


 だが、それはベクトルも全く違うとは気が付かず。

 

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【修正前 05:04】あらゆる人からサンドバッグにされたからもう遅い 激 辛 @eaconnn

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