第8話 小6 最後の時間

いつかの私視点


 お兄ちゃんと居られるのは今年が最後らしい。親が離婚して、離れ離れになるようだ。最悪だった。お兄ちゃんは確かに裏切ったし、最近は仲が良くなかったけど、ずっと優しくしてくれた恩も沢山あるし、性格もお兄ちゃんより好きな人は居ない。それにずっと前に兄妹としも恋愛的な気持ちも自覚しており、義妹だしいつかは結婚したい望みだってあった。

 義母とお兄ちゃんが居ないところで初めて父を説得したがダメだった。父は離婚したあと再婚する予定があるらしい。そして相手に再婚するには私達が卒業してからにしようと相手から提案してくれたらしく、父はそれを承諾した。

________

 兄視点


 親が離婚することになった。親は子どもを勝手に振り回して、自分たちの都合のいい道具にしか見ていない。冬ちゃんのことも思い出す。

怒りが・・・怒りがたまる。

 妹の再婚先は父と妹がこっそりして居た話によると良い人そうなので安心した。もしかすると新しい兄が居てそっちで新しい人と楽しくやってるかも知れない。妹の幸せを例え離婚しても心から祈ることにした。

 

 

 こんな嫌われ者で、ダメな兄だったことを申し訳なく思っている。だから、妹はこんどこそ幸せに家族に恵まれて欲しいし・・・

 もう、あんなことは起きてはいけない


________


いつかの私視点

 

 今日は私の誕生日だった。お兄ちゃんはプレゼントとしてくれて、流行りの化粧道具を買ってくれた。私はそんなの買うならお金頂戴よと言ってしまった。本当は高いし、私が欲しいことを虐められてるなかでも必死に調べてくれたことに感謝してかったけど、


 私にとって誕生日はトラウマだったから・・・勝ってな思い込みで



 私達は友達とイタズラを計画を話してしまった。友達も私も楽しそうにして居た。


________

 兄が学校に隠してカードを持って来ていること気付いていた私はそれを密告し、先生に没収して貰った。


 兄は仕方ない顔で渡して居たけど、私達はそれを見て笑って居た。


______

 体調が悪い振りをして、教室から先に抜け出した。


放課後

 兄が先生にカードを回収しに行ったが、兄が取りに気忘れていると嘘をついて回収した。

 

 教室を覗くと、ソワソワしている兄がいる。早くカードを回収したいみたいだった。

 

 友達がお兄ちゃんを出さないように押さえつける。


 「何、離してよ!!」

お兄ちゃんは珍しく、友達、クラスメイトに怒った顔をする。


「待ってて、お前のためでもあるからさ」


 「ど、どいうこと?」


「そうだよ。お兄ちゃん、」


「・・・春??良かった体調治ったの?」


お兄ちゃんは私の方を見る。


 「これでしょ、お兄ちゃんが欲しいの」


「春!!先にもらって来てくれたんだ!!」

凄く嬉しそうな顔をする。・・・そんなにこれが大切なんだ。


「ありがと」


「待って、お兄ちゃん」


 「??」


「どうしたの?」


 「こんなの、学校で没収されるなんて妹としては恥ずかしいなぁ」


「え、あそうだね、ごめん。でもこれからは気をつけるから」


「わかった。なら」


 ビリッと音がなる。

「えっ??」


 カードが破れる。兄はそれを眺めて居た。まるで起きたことが理解できないように・・・そして


 「あ、あ、あ、あ、あ、ああ、あ、」


兄はふらふらはしながら、カードに手を伸ばす。

 

 「そんな、そんな・・・ゆ」


 そして、惨めに半分になったただでさえ、ゴミカードを拾って


 「辞めてよ、お兄ちゃん。本当にダサいし、こんなカードなんか」


兄を死んだ絶望した顔を笑いながら、手を足で強く踏みつける。そしてそのままカードもさらに破れる。


 「や、・・・てお願い、は」


 「もう、なんで、こんなゴミなんかにさぁ、一生けん・・・」


 兄は泣いて居た。


この時、やっと私は自分でやって来たこと愚かさを理解し始めて居た。


 兄は・・・お兄ちゃんは基本的に全くない泣かない。どんなに虐められてもどんなに暴力を振られても泣かない。泣くのは私が傷ついた時にだけ泣いていた・・・そうだから、絶対に自分のことでは泣かないのだ。

 

 


 「ださっ、」「カードごときで」「低学年かよ」「恥ずかしいね」

「あんなのがお兄ちゃんなんて、大変だね」


 冷静になりかけて居た私にクラスメイトが焦られせて来る。

「うぅうん」


でも、さっきのような勢いは出せなくて、やり過ぎと思っていた。



「本当に、死ねよ」

 一人の男が言った。

 そして、みんなも言い出した。

 「死ねよ」「本当に死ね」「ダサッキモいから死ね」「妹がかわいそうだろ、お前が兄だと。死ね」

お兄ちゃんは耳を閉じて


 「うぅー、うゎぁーーーーーーー!!!」


 と悲鳴をあげ、腕で体を押さえて悲しみを抑えるようだった。

 「うるせぇ!!」「死ね」

「ねぇ、春も死んでほしいと思うよね」


「・・・う、うん、こんな兄、死んでほしいと思う」

 お兄ちゃんは下を向いて静かになった。ぶつぶつ何かを言っている。

そして、


 「・・・っ」

 初めて向けられた兄の怒りと殺意、ビビった私は力が抜けてそして


 「お、おお、お、お兄ちゃん」


「死ね、死ね」

 お兄ちゃんは叫びながら、の方にやってくる。


 「お前が死ねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 兄から絶対に聞くことがないと思って居た言葉だった。どんなに家族やクラスメイトから酷いことをされてもやり返さないし、兄はいつも私の為に必死にお金を払って来たり、友達を作ることを手伝ってくれたり、親から守ってくれた。そして親の代わりに沢山褒めてくれて遊んでくれたお兄ちゃんに死ねと言われた。


 「・・・」


 何も言葉が出なくて、兄は紙を集めてその場でただ泣き続けたらしい。クラスの子達に蹴られたりしたが何も反応はしなかった。

私もただその場でずっと泣いていた。そして先生が来て、みんなに帰るように言った。


________


その日から兄は私にお金も何も用意しなくなった。クラスの子にはたまにくさいと言われるようになった。だけど、そんなことはどうでも良かった。今はお兄ちゃんにあの言葉を言われた時から、ずっと後悔をしていた。お兄ちゃんだって、完璧な人間じゃないんだって、お兄ちゃんだって傷ついて怒りを感じるんだって当たり前のことに気付いた。


 後悔した今更大切な兄を傷つけ続けたことを、虐めたことを・・・

 お兄ちゃんはお金とかは用意してくれなったが、虐待からは守ってくれた。

 あれから謝ろうとした。けどお兄ちゃんは私を見るたびに睨んできた。だから近づけなかった。私達は卒業式に参加することになった。(再婚相手にいい顔するを為に)色んな人に卒業を祝って貰った。父の再婚相手の新しく義母になる人にまで祝って貰った。そのまま私はその義母と父と新しい家に行くことになる。私は父と義母に手を繋がれている。これでお兄ちゃんとはお別れになる。


 嫌だ!!こんなお別れなんて、お兄ちゃんと喧嘩したままなんて!!謝りたい、ずっと守ってくれた感謝を言いたい。あの時私を助けてくれてありがとうって、友達を作るために、頑張ってくれてありがとうって、

お金を払い続けること大変なのにありがとうって、テストの時に私のために怒ってくれてありがとうって、ずっと、ずっと、大切にしてくれて


 大好きって言ってくれて、私も大好きって!!


 二人の手を離して、私は走った。


 そして、お兄ちゃんを見つけた。


 「お兄ちゃん!!」


「・・・」


お兄ちゃんは私に気付き、睨む


 「本当は、ずっとずっと」


「・・・なぁ春」


まさか、ずっと話したくれなかったお兄ちゃんが最後に私に言ってくれるなんて、


 そうだよ。これでお別れじゃないこれからまた会えば、いい離れても連絡とって高校生とか休みの日に会いに来て


 「・・・お兄ちゃん」


「お前が破ったあのカード、大切な形見だったんだ」


「・・・・・・・えっ??」


「俺はお前に嫌われてから一人だった。そんな時に冬にあって俺と唯一仲良くしてくれて俺の救いだった。」


「・・・ど、どういうこと??」

なんで、その話を今するの??私達の別れなんだよ。今日が最後なんだよ。私が悪かったのは悪いし、ずっと嫌なことをして居たのは分かるし、言いたい気持ちもわかるけど・・・形見って


 「でもな、冬は亡くなったんだよ。」


「・・・・・・・・・っそんな、そんなぁ」


じゃあ、じゃあ、私があの時してしまったのって、あの時


 『本当に、死ねよ』『死ねよ』『ダサッキモいから死ね』『妹がかわいそうだろ、お前が兄だと。死ね』


 『こんな兄、死んでほしいと思う』

 


私はなんてことを、なんて大切な物を破いて、こんな酷いことを・・・


今更理解する。お兄ちゃんが辛そうにして居た理由あの時の


 『はぁ、本当に死ぬばいいのに』


以上な程を苦しんで辛そうにして居たお兄ちゃんの顔を


 「・・・お兄ちゃん、私は」


「お前の兄は死んだよ。」  


 「・・・っ」


「俺はこれからは、冬と二人でこれから過ごす。もうお前は妹じゃない」


「・・・私は、私はお兄ちゃんがお兄ちゃんしか」


「・・・これからは、新しい家族と上手くやれよ」

 そして、お兄ちゃんはどっかに行こうとしてしまう


「待って!!お兄ちゃん!!ごめん、ごめんなさい。謝るから!!なんでもするから、これからはお兄ちゃんに恩もあの時のことも返すから、行かないで、お兄ちゃん!!」


お兄ちゃんの足は止まらない


 「やっと見つけた!!こんな時くらい落ち着け」

 父親がやって来る


「お兄ちゃん!!待って!!」


「行くぞほら!」


両腕を掴まれる。


「離して!!待って!」


「いいから、あんな奴ほっとけ!!もう行くぞ!!ほらぁ!!」


「あんな奴じゃない!!お兄ちゃんだ!!私の私の大切な!!」


お兄ちゃんの姿はもう見えない。


 「お兄ちゃんーーーーーーーー!!!」



こうして、私とお兄ちゃんは離れて暮らすことになる。心が張り裂けるくらい辛い後悔と絶望しかなかった。


 そして、私は知らないうちに、お兄ちゃんはまた大切な人を失うことになってしまう。


中学編

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