第6話 小4 取り返しの付かないプレゼント
「うるせぇ!!」
「・・・いたっ」
「・・・」
妹を庇えた。
「お願いです!!妹には手を出さないでください!!」
「お前はだから関係ないだろう!!」
「・・・っ!!」
「・・・」
妹は何もしてない。何もしてないのに叩かれそうになって本当に可哀想だ。
________
4年生になったが仲直りが出来ないままだった。出来れば仲直りしたいけど、謝っても許してくれなかった。何より許して貰わない方が今は友達と一緒にいることを優先出来るとも思った。とりあえず、シャンプーやお菓子、お金はこっそり公園のある場所に隠して置いて勝手に取ってくれている。これで今まで通り妹も生活が出来ている。
基本一人で、家でも別々で寝るようになって寂しいと思っていたけど仕方ないと思って居た。
そして、公園でボロボロの服の女の子がいた。その子は泣いており、なんだかほっとけなく感じた。
「どうしたの?」
「・・・お母さんに叩かれて」
頭を見ると晴れている箇所が沢山ある。嫌なことをそれだけで色々思い出してしまう。痛いだろうなぁ・・・辛いだろうな・・・
それにこの子は俺よりも年下で多分小2か小3だろうに、辛過ぎる。
「なんで叩かれたの?」
「分からない、お父さんとお母さんが喧嘩したと思ったら、急に」
とても、覚えのある出来事だ。嫌なことだよ。本当に・・・
「ねぇ、なんで、私叩かれたのかな??」
「悪くない!!」
「お兄ちゃん??」
思わずその子を妹を抱きしめるように抱きしめてしまった。
「君は悪くないよ。悪くないよ」
思い出す。最近は全然してなかったけど、辛い時はいつもこうやって抱きしめあっていた。
「そうだよね!!私何もしてないもん」
「うん、君はしてない」
「なのに、すごく痛かった。痛かったよ」
女の子は痛みを柔らげるように頭を俺の体にもっと痩せてくる。
「そうだよね、そうだよね」
この子の痛みを代わりに受けてあげたい・・・本当に凄く痛かっただろう。もしかするとあのクソ(父親)よりも強いかも知れないし・・・
・・・本当になんでこんな酷いことを平気で出来るんだよ。
「お兄ちゃん、優しいね」
「いや、・・・そんなことはないよ」
褒められて驚く。
妹とはよく喧嘩するし、友達は出来ないし、
「うんうん、優しいよ!!」
「あ・・・ありがとう」
褒めて貰ったのいつぶりだろうか、あと妹と先生とお姉ちゃん以外に・・・子供に初めて言って貰った。
「ねぇ、また辛かったらお兄ちゃんに会いに来ていい??」
「いいよ!いつでも」
俺もこの子とまた会えるなら一人じゃなくなるし、
「やった!!来てよ。また来てね!!お兄ちゃんが出来たみたいで嬉しいな」
お兄ちゃんは私を守る王子様になってよ
もう全く守れてないダメな王子様になってしまっている。
「じゃあね、お兄ちゃん!」
「うん、またね!!」
最近、妹も冷たかったし、色々落ち込んでいてやる気がなくなってたけど!!よし頑張ろう。
「俺はお兄ちゃんなんだ。お兄ちゃん!!」
________
「本当にごめん。俺はもっと春と」
「なら、友達を作りなよ」
「・・・え、それは」
「前にも言ったじゃん。友達居なくて嘘つきなお兄ちゃんは嫌いだって」
だけど、みんな俺を無視するし、話しかけてくれたと思ったら煽られだったりするし・・・
ーーー
「ねぇ、妹無視しないでよねぇ」
「フン」
一応頑張って拾い続けたお金とか、他の物とかは貰ってくれるんだけどこうやって無視されてしまう。
ーーーー
今日は少し落ち込むことがあった。ノートを隠された。そして見つけたらグチャグチャになっていた。いつもならこれくらい当たり前なんだけど、妹も一緒に笑って居て落ち込んだ。
ーーーー
妹からもついに軽く虐めにあったりして、辛い。
でも
「お兄ちゃん!!一緒に靴飛ばししよう!!」
今は新しい妹が出来たみたいで楽しい。
「私ね、最近楽しいの」
「俺も」
いつか、春に冬ちゃんを合わせて見たいな。
________
いつかの私視点
ずっとお兄ちゃんに謝るタイミングを見失っていた。本当はずっと謝りたかった。いつも私のために一生懸命で、喧嘩したのだって私のためだって覚えてる。だから私から謝るべきなんだ。だけどタイミングが難しい。それに仲良くなったら、なったで学校の友達が私をまた虐めてくるかも知れないし・・・お兄ちゃんには少し私以外のことも知って欲しいし・・・
もうすぐお兄ちゃんの誕生日なのを思い出した。そこで謝ることにする。ついでに、初めてのプレゼント。ずっと貰ってばっかりだし、そこで今まで恩もしっかり伝えるんだ・・・やっぱり友達よりお兄ちゃんと一緒に居たいし・・・
貯めたお金(全部お兄ちゃんから貰ったけど)でプレゼントを買った。
四つ葉のクローバーのハンカチにした。貰った四つ葉クローバーはいつまでも大切にとってある。
_____
初めてあげるプレゼントにドキドキしながら、謝れるかも心配で、でもどんな反応をしてくれるかも楽しみにしていた。
だけど、見てしまって足が止まってしまった。
そのありえない光景は、私より年下の女の子からお兄ちゃんがプレゼントを貰う所だった。しかも私よりいいやつ。お兄ちゃんがずっと欲しいって言ってたカードだった。
こんなので、私が勝てるわけがない。喜んでくれるわけがなかった。
しかも声が聞こえた。
「こんなの何処で」
「えへへ、」
その子は笑顔で何も言わなかった。
「それより、お兄ちゃん大好き」
お兄ちゃん・・・なんて、そんな・・・しかも・・・キスをされている。
「そんなぁ・・・そんなぁ」
失恋だった。そして完全に私の位置が取られた思って、二つの意味で絶望した。
ーーーー
私はハンカチを捨てた
ーーーー
「・・・春、どうしてそんなに」
「うるさい!!死ぬ兄貴!!」
私は今日がお兄ちゃんの誕生日だと言うことを気にもしないで、そんな言葉を吐いてしまった。
「・・・酷いな。仲良くしてよ」
お兄ちゃんは少し寂しそうに笑顔を向ける。
その顔に、私はさらに自分が強がってるだけのように感じて惨めに感じていた。
ーーーー
結局、私はその日からお兄ちゃんと仲良く出来ずに、ずっとお兄ちゃんら酷い態度だった。
この時にもし、私も勇気を持てたら、もっと早くお兄ちゃんと一緒に居て、もしかすると私も冬ちゃんと話して仲良く出来たのかも知れない。
これは人生の中で4回も大きく間違えた始まりの一回だった。
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