第3話

 「お兄ちゃん!!転校って私聞いてないんだけど」


「えっ?みよちゃんも知らなかったの?」


「うん、聞いてない。お兄ちゃん転校ってどうして?」


「・・・」

俺は周りにいる人達が俺を見て笑っている。


 だから、俺は転校するんだ。


 「答えてよ!お兄ちゃん!!」


 本当は妹を含めて、最後の最後くらいに言い返してやりたかった。


 今までの鬱憤を返したい。けどそれだと両親が転校を用意してくれた意味がない。


 「・・・俺は用意あるから」


「ちょっと待てよ!」

 俺に暴力を振っていた暴郎が俺の前に現れた。


「帰らせて」


「いいんじゃん、最後だから付き合えよ」


「待って!!」

幼馴染が声をかける。


 「せっかくだから、今日はみんなで派手にやりましょう」


「そうね、転校する気がなくなるくらいに!!」

妹もテンションが上がっている。


ーーーーーーーーーー


 「グハっ」


「お前は・・・ずっとこうやって!!」

蹴られ続けている。


 「俺たちに従うべきなんだよ!!」


  今度は拳を入れられる。


 「お兄ちゃん、転校しないって約束するなら、私が辞めるようにお願いしてあげるよ」


「そうだよ、私かもお願いしてあげるよ」

と言う幼馴染。


 俺は直ぐに答えた。


 「転校しません!!」


「やったーお兄ちゃん!!」


「それでこそ、だよ。」


ーーーーーー


 妹が両親に転校しないって言ってたと、録音付きで聞かせていた。


 「よみ、ごめんね。」

お母さんに抱きしめられた。


 「お母さんっ??」

 そんな光景にみよは、証拠を聞かせたのに全く違う行動を起こす母に慌てている。


 「みよ、兄にこれはやり過ぎだ」


  「お父さん、これは違うよ。友達がやったんだよ」


「ねぇ、よみ。転校は本当にしたくないの?」


「する!」


「お兄ちゃん!!さっきはしないって」


「あんなの嘘だよ、言わされたの!」


「お兄ちゃんこそ、嘘を付かないで!自分で」


 母親はみよの両手を掴んで震えた声で話す。

「みよ、・・・よみは私の息子よ。よみの声だけで分かることがあるの。」


「お母さん、それは」


「俺だって分かるぞ。みよ、今回のは虐めの証拠になったな。」


「違う!!違う!!私はお兄ちゃんのこと大好きなの!!だからお兄ちゃんを傷つけるようなことはしない!!」


 「うんうん、みよは覚えてないだろうけど、」


  母親は七夕を出してきた。


 いつまでもお兄ちゃんを虐められますように、

                     みよ


 

 それわざわざ見せられたから俺も覚えてる。


  「・・・そんな前のこと」


「みよ、あとね。お兄ちゃんはずっとみよにされてたことを私達に教えてたの。だけど、お兄ちゃんのプライドもあるだろうし、私達からは余りみよのことは怒らなかった。だってみよが本当にお兄ちゃんのことを大好きで虐めてるのは知ってたから」


「なら、」


「でも、流石にやり過ぎだ」

父親が決めた。


 「そう、最近は特にやり過ぎてる。私達もボロボロのよみを見るのが我慢の限界だったから、ついに動くことにしたわ、みよを傷つけてけても」


「私だって!妹で家族で娘でしょ!!なら大切にしてよ」


「それもし過ぎた。だから今回は反省してもらうことにした」


父親はみよを抑える。


 「話は終わりそうにないし、準備もあるから、私達は行きましょうか」


「うん、お母さん!!」


 「ちょっと!離してよ!!待ってよ!!お兄ちゃん!!」


 俺は妹の声を無視して準備を始める。

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