2024年8月22日放送 題・幼少期の写真 特待生一斉査定

特待生一斉査定スペシャルの

今回のお題は、「幼少期の写真」。

といっても、

ほとんどが、

自分の幼少期の思い出を詠んだものでした。

そんな中、

永世名人のフルポン・村上さんの俳句、

「星明かりほどの重さの子に汗疹」は、

群を抜いて、良かったと思いました。

「汗疹」は、「あせも」と読み、

夏の季語です。


さて、

今回は、全7句の中から、

3句を添削してみました。

まず、

現状維持と評価された、

特待生3級の

的場浩司さんの俳句を見てみましょう。


波飛沫母笑みて抱く裸の子


「波飛沫」は、「なみしぶき」と詠みます。

「裸」が夏の季語で、

傍題に「裸子(はだかご)、裸足」

などがあります。

掲出句は、

少し詰め込みすぎでしょう。

夏井先生の添削例を見てみましょう。


母の抱く裸子は吾ぞ波飛沫


「吾」は「あ」と詠みます。

これはこれで悪くないのですが、

「ぞ」が少し大袈裟に響く感じがします。

添削例を挙げてみます。


A 裸子を抱く写し絵の母若し

B ほほえみて母が裸子抱く渚

C 母の抱く裸子真顔波の音


「写し絵」は写真のこと。

波飛沫が散っているということは、

この場所は、渚なのでしょう。

そこで、「波の音」を使って、

聴覚にも響くようにしてみました。


次に、

特待生2級から1級へ

ワンランク昇格と評価された、

森迫永依さんの

俳句を見てみましょう。


夕芒祖母の黄ばんだひらがな帳


「芒(すすき)」が秋の季語で、

傍題に「夕芒、花芒、糸芒」

などがあります。

掲出句は、

十分いい句だと思います。

別案として、

添削例を考えてみました。


A 黄ばみたるひらがな帳や夕芒

B 色褪せたひらがな帳や花芒

C 銀やんま祖母のひらがな練習帳


祖母を捨象すると、

ひらがな帳の

ミステリアス感が強くなるでしょうか。

添削例Cでは、

「芒」と「祖母」が、

やや近い感じがしましたので、

思い切って、

季語を「銀やんま」にしてみました。


最後に、

ボツと評価された、

永世名人の

千原ジュニアさんの俳句を見てみましょう。


祖父に兄縛られしこの柿の木や


令和の今なら、

児童虐待ですが、

昭和には、

これに似た情景は、

珍しくなかったのでしょう。

夏井先生の説明によると、

「柿」は秋の季語なのですが、

「柿の木」だと秋の季語にはならないそうです。

なぜ?不思議ですね。

とりあえず、

夏井先生の添削例を見てみましょう。


1 祖父に兄縛りし柿の木の夕焼

2 祖父に兄縛りし柿の木よ秋よ


「夕焼(ゆやけ)」が夏の季語です。

悪くはないのですが、

もう少し良くなりそうですので、

添削例を挙げてみます。


A 木に兄を縛りし祖父が柿を喰う

B 木に我を縛って栗を喰わす祖父

C 木に我を縛りし祖父の喰う石榴

D 木に祖父を縛る復讐できぬ秋

E 木に君を縛る復讐星月夜


「兄」だけだと、

祖父の兄なのか、

作者の兄なのか、

少しぶれる感じがしますので、

「我」に替えてみました。

添削例D、Eでは、

私の妄想が膨らんで、

「復讐」の場面を描いて、

ホラー俳句の要素を入れてみました。


今回は以上です。




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