2024年7月4日放送 題・遅刻して走っているシーン
今回のお題は、
「遅刻して走っているシーン」。
少し変なお題ですが、
要するに、
遅刻にまつわるシーンを
切り取ればいいのでしょう。
さて、
今回は、全7句の中から、
3句を添削してみました。
まず、
最下位(35点)に選ばれた、
俳優の
竹財輝乃助(たけざいてるのすけ)さんの
俳句を見てみましょう。
汗みずく脳裏を過る校門の鬼
「過る」は、よぎる。
「汗」が夏の季語。
「汗みずく」とは、
汗水漬と書き、
全身が
汗びっしょりになっていることです。
掲出句は、
下5が7音になっていますね。
ここは直したいところです。
夏井先生の添削例を見てみましょう。
校門の鬼へ向かって走る汗
「走る汗」は、
少し強引でしょうね。
もう少し良くなりそうですので、
添削例を挙げてみます。
A 駆けてゆく鬼待つ夏の校門へ
B 鬼の立つ校門へ駆け込む 雷雨
C 校門に汗ばみながら立つは鬼
こうすると、
一層臨場感が
出て来るのではないかと
思います。
次に、
第3位の凡人(50点)に選ばれた、
俳優の
美山加恋(みやまかれん)さんの
俳句を見てみましょう。
眠り明け車窓に浮かぶ梅雨雷か
少し分かりにくいですね。
夏井先生の添削例を見てみましょう。
オーディションへ向かう車窓の梅雨の雷
これで一応場面の分かる
俳句になりました。
しかし、
もう少し良くなりそうですので、
添削例を考えてみました。
A 白昼の雷オーディション会場へ
B オーディション間に合え車窓には白雨
C ゲリラ豪雨ずぶ濡れのままオーディション
こうすると、
一層場面がくっきりと
するのではないかと思います。
最後に、
句集掲載決定!と評価された、
永世名人の
千原ジュニアさんの俳句を見てみましょう。
埼京線運転再開扇子閉づ
「扇子(せんす)、団扇(うちわ)」が、
夏の季語です。
ただ、
いまどき扇子を
所持している人が
どれほどいるのでしょうか。
団扇なら、
夏祭りとかで
もらうこともあるでしょう。
添削例を挙げてみます。
A 埼京線運転再開ダブル団扇
B 山手線運転再開汗を拭く
C 二重虹電車三十分遅れ
D 電光掲示板は「運休」虎が雨
E ドア閉まりホームに二人油照り
電車と遅刻の取り合わせで、
いろいろと作ってみました。
「虎が雨」は、
陰暦5月28日に降る雨で、夏の季語。
この日、曾我十郎が死に、
それを悲しんだ
愛人の遊女・虎御前の涙が降るという。
虎が涙、曾我の雨も同義。
「油照り」は、夏の季語で、
空が薄曇りで蒸し暑いこと。
添削例Aでは、
季語の扇子を閉じるという
消極的な描写にしているため、
季語のパワーが
半減しているように感じられて
例えば「ダブル団扇」としてみました。
添削例Eでは、
「り」の脚韻で
俳句を一層リズミカルにしてみました。
今回は以上です。
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