2024年5月9日放送 題・文房具

今回のお題は、「文房具」。

鉛筆やクレヨンなど,

筆記用具の俳句が多かった印象です。

もう少し変わり種の文房具の俳句も

見てみたかったのですが、

実際に作るのは、

難しいのでしょうね。


さて、

今回は、全7句の中から、

3句を添削してみました。

まず、

最下位5点に選ばれた、

お笑い芸人の

ゆりやんレトリィバァさんの

俳句を見てみましょう。


消しゴムが白き水面にボウフラを


「蚊」が夏の季語で、

傍題に「蚊柱、ボウフラ、蚊帳(かや)」

などがあります。

ボウフラは蚊の幼虫です。

さて、白いノートの上に

消しゴムのカスのボウフラが現れる

というシュールな発想の俳句。

悪くは無かったと思います。

5点の査定は厳しいかな。

夏井先生の添削例を見てみましょう。


1 消しかすはボウフラみたい子どもの日

2 消しかすはボウフラみたい夏休み


このままでもいいのでしょうが、

もう少し良くなりそうですので、

添削例を挙げてみます。


A 消しゴムがボウフラの屍(し)を生んでゆく

B 消しかすはボウフラの屍か授業中

C 消しかすは蟻の骸(むくろ)か日曜日

D 消しかすは何の骸か夏休み

E 消しかすは何の卵か夏の夜


「蟻」が夏の季語です。

消しかすから、

イメージを膨らませて、

添削(やや改作?)してみました。


次に、

第2位の才能アリ70点に選ばれて、

特待生に昇格した、

俳優の内藤剛志さんの俳句を見てみましょう。


虹の下クレヨンの箱踊り出す


メルヘンチックな俳句ですね。

このままで十分ですが、

添削例を考えてみました。


A 虹を見て箱のクレヨン踊り出す

B 分度器を虹の魔法が踊らせる

C コンパスを虹の魔法が踊らせる

D 峰雲や色鉛筆が踊り出す

E 蝉声や色鉛筆が踊り出す


峰雲(みねぐも)は、入道雲。

蝉声(せんせい)は、蝉の声。

ともに夏の季語です。

擬人法を使ってみたり、

分度器やコンパスや色鉛筆などを

使ってみました。


最後に、

句集掲載決定と評価された、

永世名人の

千原ジュニアさんの俳句を見てみましょう。


密やかに鉛筆登るてんと虫


「天道虫(てんとうむし、てんとむし)」が、

夏の季語。

良い俳句だと思います。

夏井先生も絶賛されていました。

私の歳時記には、

中村草田男(なかむらくさたお)の

「のぼりゆく草細りゆく天道蟲」が、

載っていますので、

この句を参考にされたのかもしれませんね。

私なりに

別案として、

添削例を考えてみました。


A 昼すぎの鉛筆登るてんと虫

B 鉛筆を登り来て飛ぶてんと虫

C ボールペン登る天道虫しずか

D 数式のあふれるノートてんと虫

E 君からの青い便箋てんと虫


文房具として、

ボールペン、ノート、便箋を

使ってみました。

添削例D、Eでは、

それぞれ、

ノートの上、

便箋の上に、

天道虫がいるという

イメージです。


今回は以上です。









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