2024年4月18日放送 題・ぶらんこ

今回のお題は、「ぶらんこ」。

ベタなお題なので、

皆さん苦吟されたのではないかと、

推察いたします。

「ぶらんこ」は、春の季語で、

異称には、

鞦韆(しゅうせん)とか、ふらこことか、

半仙戯(はんせんぎ)とか、あります。

そして、

ぶらんこの名句と言えば、

三橋鷹女(みつはしたかじょ)の

「鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし」を

思い浮かべる方も多いでしょう。


それでは本編です。


今回は、全7句の中から、

3句を添削してみました。

まず、

第4位の凡人50点に選ばれた、

俳優の南果歩さんの俳句を見てみましょう。


ブランコと母待つ夕暮れ花吹雪


ブランコと花吹雪が季重なりですが、

いい雰囲気の俳句です。

50点は厳しい査定ですね。

60点くらいが妥当かなと思います。

夏井先生の添削例を見てみましょう。


1 ブランコに母待つ夕や花吹雪

2 ブランコと母待つ夕暮れに一人


もう少し良くなりそうなので、

添削例を挙げてみます。


A ブランコに母待ちおれば花吹雪

B ブランコを漕いで母待つ花吹雪

C 花吹雪ブランコ漕いで母を待つ

D ブランコを漕いで君待つ花吹雪

E 君待てば桜吹雪の半仙戯


添削例D、Eでは、

恋の俳句にアレンジしてみました。


次に、

ワンランク昇格と評価されて、

名人8段から名人9段になった、

俳優の森口瑤子さんの俳句を見てみましょう。


ふわっとふらここ水平になる手前


口語俳句の得意な、

森口さんらしい俳句ですね。

夏井先生は「添削なし」としましたが、

「ふわっとふらここ」が、破調で、

もう少し良くなりそうなので、

添削例を挙げてみます。


A 水平になる手前ふらここふわり

B 水平になりそうなふらここふわり

C 水平になりそうなふらここの君

D 水平になりそう君もふらここも

E 黄昏を水平めざす半仙戯


「手前」が、

少し硬い感じがしますので、

削ってみました。

それから、

「ふらここ」つまりブランコは、

出来るだけ最後に登場するほうが、

俳句の構造上、種明かしという点で、

いいのではないかと思いました。


最後に、

「ガッカリ」と評価された、

特別永世名人の梅沢富美男さんの

俳句を見てみましょう。


廃校のぶらんこは夜に揺れており


「廃校」という舞台設定は、

さすがに上手です。

梅沢さんは、

オカルト感を出したかったとのこと。

このままでも良さそうですが、

夏井先生の添削例を見てみましょう。


1 廃校のぶらんこ夜を揺れており

2 廃校や夜がぶらんこ揺すりおり


この添削で十分ですが、

代案として、

添削例を考えてみました。


A 廃校の夜のぶらんこ誰を待つ

B 真夜中のぶらんこ誰を待っている

C 真夜中のブランコに青白きもの

D 青白きものが漕ぐ夜の半仙戯

E 夜という時空が揺らす半仙戯


こんな感じでしょうか。

オカルト俳句として、

まずまず楽しめるものになったかなと思います。


今回は以上です。













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