スタート

けろよん

第1話

「新年あけましておめでとうございます」


 と挨拶をすると、皆もそれぞれ挨拶をしてきて、俺の後ろにいるユノを見て少し驚いていたけど、エルサがキューを要求してる声を聞いて納得していた。

 まぁ、こんなに大量のドラゴンを連れて来たら驚くよね……。


「リクさん! 明けましておめでとう!」

「モニカさん、今年もよろしくね」

「えぇ、こちらこそよろしくお願いするわ」

「うむ、今年はモニカ達とも一緒にいられるのじゃな?」

「そうだね。モニカさん達とは一緒だね」

「ふっ……この国には私がいるからな」

「……それなら私は別の場所に行くのです」

「あー、アメリタちゃん行かないで〜!」

「……仕方ないですね。でも、また会いに来るです」

「うん! 待ってるよ〜!」

「ふぅ……。みんな元気そうで何よりだよ」

「リク様、お疲れですか? お茶をお持ちしました」

「ありがとうソフィーさん。ちょっと気疲れしちゃったかな」

「ふふっ、皆さん賑やかだからね。私も少しだけ驚いたわ」

「そうですね。でも、とても楽しかったですよ」

「……ん」

「あはは、ルリにも迷惑かけたね。ごめんね?」

「いい。気にしない」

「ありがとう」


 皆がワイワイと話しながらお節を食べている様子を眺めていたんだけど、なんだかんだで騒がしい人達だったなぁ……。

 ユノだけは静かに食べてたけど、あれは美味しくなかったのかも。

 今度何か作ってあげようかな……。そんな事を考えつつ、モニカさんの入れてくれたお茶を飲みながら、ゆっくりした時間を過ごす。

 お茶菓子として出された物を口に運び、まったりしていると、突然部屋の入り口が大きな音を立てて開かれた。


「おおぉ!! ここが王城なのか!? すげー広いぞ!!」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ師匠~!」

「おいこら、勝手に行くんじゃねぇ!」

「あははは!見て見て、あの人頭に変な被り物をしてるよー!」

「……あれは、獣人の戦士?」

「そのようだな。しかし、随分と派手な登場だな」

「……騒々しいわね」

「お姉さま〜!」

「ぐふぅ!……エ、エルサ様? いきなり飛びつかないで下さい……」

「む? お主達は……確か、前に会った事があるのじゃ」

「えっと……はい。以前リク様に助けてもらった時に……」

「そういえばそんな事もあったのう。まぁ、細かい事は良いのじゃ。それより、なんでここにいるのじゃ?」

「えっと……それは……」

「おぉ! そこにいるのはドラゴンじゃないか!?」

「ほほう……これは珍しい……」

「うむ……確かに珍しいが……どうしてこんな所に?」

「そりゃあ、今年は辰年だからな」

「うぇへへ~。モフモフだよ~」

「……リク、どうするの?」

「……はぁ。とりあえず中に入ろうか……」


 突然乱入してきた人達によって、さらに騒がしくなった室内でため息を吐きつつ、俺は諦めて中に入る事にした。


「リク様! お久しぶりです!」

「リク殿! お邪魔します!」

「えぇと……はい。お久しぶりですね、ロイドさん、ギルマス。それにそちらの方々は……初めてお会いするような気がしますね」

「うむ……。リク君、この者達を知っているのか?」

「いえ、直接会うのは初めてですけど、名前だけは知ってます。確か、魔導士ギルドの副ギルドマスターと、戦士ギルドのギルマスですよね?」

「リクさん、よくご存知で……」

「いやぁ、流石リクさんだな! 俺達を覚えていてくれるなんて嬉しいぜ!」

「ふっふっふ……。私の事も覚えていてくれましたか……」

「………………」


 魔導士ギルド副ギルドマスターは男で、年齢は40代くらいに見える。

 身長は高く180cmはあるだろう。細身だけど、鍛えられてる体つきをしている。

黒髪で前髪を真ん中分けにして後ろへと流し、眼鏡をかけていて知的な雰囲気だ。

 戦士ギルドのギルマスは女で、こちらは20代後半といった感じだろうか? 女性としては長身で、170cm近くありそうだ。

 赤茶色の長い髪の毛で、ポニーテールのように頭の後ろで束ねている。

 胸は大きくはないが、引き締まった体をしていて、動きやすそうな服を着ていた。

ギルマスは筋肉質で、腕や足が太くてガッシリとしているから、パワーがありそうに見えた。

 2人とも冒険者のような格好をして、武器を持ってはいないけど、杵と臼を持っている。


「これから餅つきをするぞ!正月だからな!」


 と言って笑っている。

 まぁ、今日は特に予定もなかったからいいんだけどね。

 それからはモニカさん達を見て、騒ぎ出したり、ドラゴンであるユノやエルサに興味津々だったりと、色々と大変だったよ……。


「それで……何故ここに?」

「おう! さっき言った通りだ!」

「正月を祝いに来たのだよ!」

「……すみません、もう少し詳しくお願いできますか?」

「あぁ、そうだったな。実はな、俺達は毎年正月にここで餅をつくんだ。それを見に来てる奴らもいる」

「私達がいつもやっていると、他の人達も興味を持ち始めるんだよ。それで、いつの間にか一緒についてみたりするようになったのさ」

「へぇ、そうなんですか……」

「はい。私達にとっては当たり前の事だったのですが、それが王都では珍しく見えていたようでして……」

「そうなのか。それで今年はドラゴンも連れて来たって訳か!」

「ウサギ年はもう終わったからねえ。……んー……でも、ここではあまり大きな音を出す事は出来ませんよ?」

「なぁに、大丈夫だ! そこは考えてある!」

「はい。事前に相談しておきましたので」

「えっと……それはつまりどういうことなんでしょう?」

「ふっふっふ……それはだな!」

「ここなら、いくら騒いだところで問題ありません!」

「カクヨムは読者がいなくてPV0だからな!遠慮はいらねぇ!」

「なるほど! それは問題ないなあ!」

「……え? いやいや、そんな事ないですよ! 皆さん読んでくれています!」

「そうかい? それならいいんだけどねぇ」

「まぁ、なんだ。そういう事だ!」

「はぁ……」


 確かに、ここなら騒いでも迷惑にならないかもしれないけど……。

 そんな事を思いながら新年一発目の小説は終わっていくのだった。

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