第102話 最後の戦い!

~~これは、地球が爽やかさを取り戻した勇敢な人達の記憶である~~




『みんな、聞こえるか?』



『感度良好っす!室長!』

『バッチリよ!』

『ところで、夏野君、目的地は地球のあちこちに分かれているんだぞ。この艦載機で間に合うのか?』



『ああ、校長先生。大丈夫です!

 このアースタイガーは、小型ながらマグマと同じ太陽光エンジンを搭載しています。

 しかも軽量なため、マグマの10倍のスピードがでますよ!』



『おお、それなら地球の果てでも間に合うな!』

『ええ、もうすでに目的地に合わせて、11時50分には到着できるようにスピードも空路もセット済みです。自動操縦に任せてください!』





 さすが、夏野室長だわね。伊達に“オタク”じゃないわね……ここまで計画しているとは。驚きよ!





『それにしても、ものすごいスピードなのに、あんまり圧力を感じないわ。室長、何か特別な装置でも作ったの?』


『さすが、南中子君はどんなことにも気がつくね!

 フーちゃんそっくりだな、あははは…………うん、実は君達が着ているオンダン戦隊のコスチュームに秘密があるんだ!

 それには、冷却装置に加えて、対G圧力減少装置も組み込んであるんだ。普段、地上で着る分には、まったく意味もなく余計な装置なんだが、今回のように高速移動の場合などは、とても役に立つんだ!』


『へえー、そんな装置も付いているのか…………ほんとにこれは凄い発明だ!』






 ピッピ―……ピッピ―……ピッピ―……


『おや?第1艦橋のK-3から連絡が入ったぞ!……どうした?K-3、何かあったか?』



『ナッツ、ナッツ!……カクチノ カンソクチテンカラ レンラクガ ハイッテルゾ!ドウスル?』





『ああー分かった!チャンネルをすべて共有にして繋いでくれ!……アースタイガーのみんなも聞いてくれ!これから向かうポイントの状況確認になるからな!』


『……了解!……』






≪……聞こえるか?タイヨウ!……ジョンだ!≫






『アメリア支部のジョンか……何か変化はあるのか?』





≪ああ、どうもウィルスの奴が、活動を活発化しているようだ!

 地球の生き残った居住区画の中で、人に憑依するウィルスが増えているらしい。主に、電波発信基地などを狙っているようだ!≫





『ありがとう、ジョン……僕達も通信には気をつけるよ!』






≪検討を祈るよ!≫








≪タイヨウ!あたしよ、ナンシーよ!≫






『南極観測地のナンシー。一機、そっちにも向かっているからな!頼むぞ!』






≪ええ、こっちでも機影をとらえているわ!

 こちらは、特に変わったことはないんだけど……赤道付近の海水の温度が上がってきていると情報があるのよね!≫






『なんだって?とうとう、海底火山でも爆発させる気か?…………ありがとう、気を付けるよ!』



『みんな、聞こえたか?……ウィルスも最後の手段に出たようだ!各地、十分気を付けてくれ!』




 と、言われてもね……あたし達は決まった場所に向かって飛ぶしかないのよね。まあ、邪魔が入らないように祈るだけなんだけど…………


 お、そろそろ11時45分か…………みんなも目標地点に着く頃だわね!






『夏野だ!ボクは、今、ワイハのクラウエア火山に到着した。

 現場についたら、打合せ通りに頼む!決行の時刻は、正午だ!

 10秒前からカウントするから、合わせてくれ!いいな!』





 あーあ、とうとう来ちゃったよ!あたしは“ゲアテマラのイカヤ火山”なんだけど、よし、自動操縦解除!




 あと10分ぐらいあるから、余裕だと思うんだけど…………見えた!あれが火山の噴火口だ!なんだか少し煙が出てるわね。



 時間に合わせて、真っすぐ上から突っ込むのよね!





 冷却エナジーカプセルは、たった1個だけ。ロケット砲に装着されているのね。

真上から、火口目掛けて発射するんだけど、………うーん、上手くいくかなあ~……ちょっと心配!





『よし、30秒前だ!全機目標の真上に急上昇せよ!』



『『『『『『『『……りょーーーかい!……』』』』』』』』






『よし、急速反転、全機目標に向けて急下降!』






『10秒前…………5……4……3……2……1……発射!』






『『『『『『『『……はっしゃーーー……』』』』』』』』






『北極点、命中!』

『南極点、命中!』

『クラウエア火山、命中!』

『イワ・イジェン火山、命中!』

『ホジャリカ火山、命中!』

『イカヤ火山、命中!』

『ビェスヴィオ山、命中!』

『ヨークトル火山、命中!』


『ヤレラス火山、命中!……しかし、機体損傷!左エンジン破損……』









『?どうした?コロナ?……何があった!』

『左エンジン発火!……左エンジン離脱します!』

『コロナ!飛べるのか?』






『ナッチー…………冷却エナジーカプセル発射と同時に火山弾が飛び出してきたの……なんとか、右エンジンは生きてるけど……長くはもたないかも』





『コロナちゃん!どこか不時着できる場所はない?』

『あ、ミナちゃん……それが、火山の近くは岩場ばかりなの……少し行くと海があるから、とりあえずそっちへ向かうわ!』






『落ち着いてね!私達もそっちへ向かうわ…………頑張るのよ!』



 シーセンセも、励ましてはくれるけど、助けに行くっていっても…………みんな遠くて、そんなにすぐには行けないのよ!






『しまった!右エンジンからも煙が出てきたわ!……エンジン出力を絞るわ!』



(つづく)

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