第91話 布礼愛の声

~~これは、地球が爽やかさを取り戻した勇敢な人達の記憶である~~




 自動で再起動したコロナちゃんが、なんだか少し寂しそう。

 あたしの気のせいかしら?


 いいえ、違うわ!だってミー先輩もそう思ったのよ。だから、あんなにコロナちゃんを抱きしめているんだわ。




「コロナちゃん。いいの、大丈夫よ。あなたは、何も心配しなくても…………あたし達に任せて。きっと地球をなんとか、元のように、涼しい風が吹くように、戻してあげるから……」


 ほんとに、ミー先輩は、優しいのよね~。


 しっかりコロナちゃんを抱きかかえて、手まで握ってあげてるわ…………ちょっと悔しいけど、さすがミー先輩!






 ウィイイイン……ガチャガチャ……ウィンウィンウィン……キュロロロロロロロ……






 何?この音?あたしが、周りを確認したら…………





「……みなちゃん?……みなちゃん?……ごめんね、寂しい思いをさせて…………」

「え?お、お姉ちゃん?……お姉ちゃんなの?」


「ようやく、会えたわね……」




 何?また、コロナちゃんが布礼愛ふれあさんの真似をしてるの?…………いや、違うわ!あのしゃべり方は、コロナちゃんじゃないわ!正真正銘の布礼愛さんだわ!

 コロナちゃんの眼が、輝いている。淡いブルーの光を放っているわ!




「お、お姉ちゃん、会いたかったよーーーーーーーー」



 あの冷静なミー先輩が、泣いてる!



「泣かないで、みなちゃん。

 あたなた、よくがんばってるわね、私ができなかったこともできるようになったんでしょ?偉いわよ」


「……でもね、でもね…………あと、もう少しなの……お願い、お姉ちゃんの助けが必要なの……だから……だから…………」





「分かってるわよ………………太陽君、ごめんね!」

「ふ、布礼愛なのかい?……僕だよ、僕は、ここにいるよ」

「本当にごめんなさい、すべて、あなたに押し付けて……何もお手伝いできなくて……」



「何を言ってるんだい…………僕が、僕があの時、君を助けることが出来たら……うううう」




「大丈夫よ、分かってるわ。

 ……あなたは、しっかり私を助けてくれたじゃないの?……だから、今、会えるのよ。

 …………私はね、全てをコロナちゃんに託したの…………だから、コロナちゃんを大切にね、そしてコロナちゃんとい仲良くね。


…………ウィィィィィィ……ガチャガチャ……ウィィィィィィン……………」






「室長……サーバーが、データサーバーが、何かを受け取っています」


 この電算室のオペレータを任されている真黒まぐろ事務長が、壁に埋め込まれている計器を見ながら驚いていたんだけど、夏野室長もミー先輩もコロナちゃんの手をしっかり握ったまま、そこから離れようとはしないわ!


 いったい、どんなデータが送られているのか、あたしは気になったんだけど、コロナちゃんの方も目が離せなくて…………どうしよう?




(つづく)

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