第92話 セキュリティー

~~これは、地球が爽やかさを取り戻した勇敢な人達の記憶である~~




 暫く、こんな状況が続いたわ!

そしたら、夏野なつの室長が、なんだか目の周りを擦っているの。


「……ごめん、布礼愛ふれあ……こんなことにも気づかないなんて……僕は、バカだよ!…………君の手は、指紋認証しもんにんしょうになっているんだね」


「うふっ……ようやく分かったのね。太陽ちゃんだったら、すぐ手を握ってくれると思ったのになあぁ」


「そうだね、そうだよ。もっと早く君の手を…………ううううううう………うううう……」





「お姉ちゃん、だから、私って分かったのね!…………あ、だからあの時も……」


「そうよ、みなちゃん。きっとあなたなら、気づいてくれると思ったのよ……うふっ、ありがとネ!」

「もー、お姉ちゃんったら~~うううううう……」




 あれーー、あの二人、コロナちゃんの手を握りしめて、涙を流しながら笑ってるよ!どうしたの?





「なあ、布礼愛ふれあ、こうやって手を繋げば、また、会えるんだな!」

「そうなの?お姉ちゃん!」







「いいえ、ごめんなさい。

 これは、大切なデータ共有システムなの。一度、接続すれば元データはすべて消去されるようにプログラムされているわ……」


「え?じゃあ、もう、会えなくなるのか?」




「大丈夫よ、データは今、サーバーに送ったわ!後は、よろしくね。太陽ちゃん!」



「違うよ!そんな事じゃ無いんだ!……僕は、君に……布礼愛に会いたいんだ!」









「うん………………あたしも…………………でもね、それじゃコロナちゃんが可哀そうよ!太陽ちゃん……………お願い……分かって!」



「うわわわわわあああああああああああーーーーーん……あああああ……」



「そんなに、泣かないでよ!

 ……また、コロナちゃんが、拗ねるわよ!うふっ…………………。

 それじゃあ、データ転送も終わったわ……みなちゃん!太陽ちゃん!



 ……またね!…………プツッ」



(つづく)

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