第88話 地球の様子
~~これは、地球が爽やかさを取り戻した勇敢な人達の記憶である~~
「ただ、次に進むには、問題があるんだ…………」
「え?……いったいどんな問題があるんですか?所長!」
あれ?ミー先輩やけに熱心だな。さっきまでは、どんよりと元気が無かったのに……
「まあ、このパネルを見てくれ!……ここには、世界各地の地球温暖化観測所が示してあるだろ」
「ええ、現在は地球上で人間が暮らしていけるのは、大体南北の緯度60度以上のところよね。だから、国と言えるのはほとんど無いわ」
「ミー先輩の言う通り、本当に極地だけにしか人は居ないの……ただ、日本を除いてよね!」
「そうだな、マナは良く覚えていたな。日本は、いち早く冷水ミストの配備を完了させて、北緯約40度の場所でも人は暮らせるようになっているんだ」
「あ!俺だって知ってるぜ。この俺達が住んでいる“北の大地”だもんな」
そうそう、だからあたし達は、外でも家の中でもいつも冷水ミストを浴びてるのよね。
…………お陰で、お洋服は水着だけなんだけど…………。
もう何十年も前からだし、もちろんあたしが生まれた時には、水着の服しかなかったもんね。
今更、昔の洋服とか…………スカートとかいうやつ?……着る方が恥ずかしいもんね。
…………時々、昔の図巻とかで見るけど、喜んでいるのはアッツぐらいよ!
「まあ、実際に観測しているのは、我が“ブルー・アース・ラボ”の特別派遣員なんだが、もちろん緯度の低い地方にも観測点はあるんだ」
「そうなの、今回BELの発足と同時に、無人観測機を飛ばして計測器を設置したのよね、あっちょん!」
「ああ、夏野君と協力して、高性能ドローンを飛ばすことに成功したんだ」
「さすが、あっちょんよね…………断熱素材にセラミックを使って、ボディーを作るなんて、凄いわー」
「よしてよ、むっちょん!セラミックはね、日本独自の技術で、大昔は大宇宙船号にも使われてたんだよ」
「ああ、そうさ!
お陰で、このドローンは大気圏を自由に出入りしても燃え尽きることは無いんだ!
おまけに、筐体表面は透明なセラミックで梱包された太陽電池を埋め込んだので、燃料は尽きることが無いんだよ!流石だよ、
「…………いや、実はこの技術理論は、
「え!お姉ちゃんが?」
こりゃ驚いた!あの
「あ、まあ……布礼愛の理論を…………僕が見つけと言うべきかな?
僕だって、一緒に研究している時は、彼女がそんなことを考えているなんて、ちっとも知らなかったよ」
「じゃあ、所長は、いつお姉ちゃんの研究を知ったの?」
そうだよね……布礼愛さんって、所長の目の前で亡くなったはずだもんね。
「うーん……それは…………
「え?コロナちゃんが?……所長、どういうことですか?」
(つづく)
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