第77話 突入商店街!

~~これは、地球を救うために手を繋ぎ合う仲間達の物語である~~




 商店街は、虹ノ森にじのもり高校からそんなに遠くない場所にあった。昔ながらの風景をつくりながら、食堂から金物屋までいろいろなお店が並んでいる。

 50店舗は下らない店が、今はすべてが“煎餅屋せんべいや”になってしまっていた。



「ミー先輩、あたし昨日買い物に来たんだけど、普通の商店街だったわよ!」

「あー知ってる。私も昨日ちゃんと見たんだ。…………一晩でこんなに変わるなんて!」


「きっと、これはまたウィルスの仕業なのよ!」

「ああ、マナの言う通りだ!なあ、早く、チェインジして戦おうぜ!」


「いや、待て!こんなに店があったら、どの店が本当の敵なのか分からない!この煎餅地獄せんべいじごく大本おおもとはどこなんだ!」




「…………!ミー先輩、看板よ!看板に〔本店〕って書いてあるはず!」

「おおマナ、いいところに気が付いたな!」


 3人は、急いで商店街を走り回り、店の看板を確認した。すると、どの店の看板も『虹ノ森海苔巻煎餅~霰チェーン店(△△)~』と、書いてあった。

 そこには(元祖)とか、(老舗)とか、(本舗)とか、(家元)とか、様々な表示が付随していた。



「マナ、見つかったか?」

「ダメ、どれも似たような感じ……それらしいものはないわ」

「ミー先輩、どうしましょう?……適当にどこかに入ってみましょうよ!」

「いや、それは危険だ!……今回は、高温との戦いだ。コスチュームの冷房装置も長くは続かないかもしれない。もし、違っていたら、私達はエネルギー切れで戦えなくなってしまう」


「ミー先輩、コロナちゃんの充電があるじゃないですか?」

「ああ、でもあの充電には、弱点があってな。コロナが弱ってしまっては、充電も出来ないんだ!今回の灼熱地獄しゃくねつじごくでは、コロナも危ないかもしれない」


「んーコロナちゃんでも危ないのか」


 真夏美まなみは、もう一度商店街を見渡し、どの店に突入すべきか考えていた。



「ミー先輩…………あの店にしましょう!」

「……?……あれか?……『虹ノ森海苔巻煎餅のりまきせんべいあられチェーン店1番店~か?……なぜ?」

「んーーん……だって、あそこの店が、1番店って書いてあるから……きっと1番最初に作った本店なんじゃないのかなあ?」



「よーし、マナの勘に賭けよう!みんなチェインジするぞ!」


「「おーー!」」




≪レッツ!オンダン・ファイブ(今は、スリーだけど)・チェインジ・アーーープ!≫




「行くぞ、ピンク、イエロー!」


 3人は、1号店の中に飛び込んだ。もう、店に入ると熱気が充満していた。商品を展示しておくプラスティックケースもドロドロに溶けていた。

 もちろん、店の中は冷水ミストが止まっている。



「店長は、どこだ?いるのは分かっているんだ!出て来い!」


 ブルーが叫ぶと、奥の間に通じる引き戸が静かに開いた。しかし、誰も出てくる気配がないので、イエローが痺れを切らして飛び込んでいった。


「待て、イエロー!罠かもしれない!」


「罠でも結構、もう俺は待てません!先手必勝です!」





「もーイエローったら、待って、あたしも行くーーー!」

「あーーピンクも…………仕方ない」



 1号店の奥の間には、いったい何があるのか?3人が飛び込んで、無事で戻ることができるのか?




「キャアアアアアアアアアアアーーーーーー!」




(つづく)

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