🌞戦え！地温研同好会。地球の熱を冷ますんだ！！～それいけ！オンダンV〔ﾌｧｲﾌﾞ〕～

第74話 祝宴の中で

～～これは、地球を救うために手を繋ぎ合う仲間達の物語である～～

　細やかではあったが、大ホールでは祝賀会が催された。思い思いにモニターの向こうでも、喜びの声が響き合っていた。

「マナ、マナ、マナ……お前の大好きな氷スイカが並んでるぞ！」

「うっわーーー、半部に切ってあるけど、真ん中まで凍ってるわ。

　………………えいっ！」

「ひゃあ！…………マナ！何すんだよ！チべたいじゃないか！」

「えへへ、アッツの背中に…………エイッ！」

「ひょおおお！…………やめろよ、マナ。氷スイカの皮を背中にくっ付けるんじゃないよ！」

「あははは、こうやって見ると高校生も、まだ子どもだね、むっちょん！」

「もうーあっちょんったらーー。私だって、まだ、負けないのよ…………えいっ！」

「うひゃ！……こら、むっちょん、氷パイナップルの真ん中をくり抜いた芯を背中につけるんじゃないよ！…………お返しだ！えいっ！」

「いやあーーん！……あっちょんのイジワル～ウ！氷サクランボを背中に付けないでエエ～」

「ア、ア、あの～事務長？」

「いやですわ、教頭センセ！影子（けいこ）と呼んで！…………折角みんが楽しんでいるのよ！私達も楽しみましょう！」

「そ、そ、そうですね……ケ、ケ、ケイコ！」

「そうよ、雪男（ゆきお）！…………普段は、とっても暑くて、楽しく食事なんかできないじゃない。普段食べるのは、凍ったものばかり。氷カレー、氷チャーハン、氷うどん…………そんな冷たい物しか食べる気が起きないの」

「そうだな～。でも、時々ケイコが作ってくれる、氷肉ジャガは幾ら食べても飽きないぞ！」

「まあーー、ユキオったら！……もーえいっ！」

「ひゃほおおー…………この氷バナナは、利くな～……あはははははは」

「マナ？……みんなも、食べ物で遊んでるぞ！」

「もー、バッカねーアッツは！……これは、遊んでるんじゃないの！

　…………この凍った果物は冷たすぎて、硬くて、すぐには食べられないの！

　だから、仲良しの人の背中に押し付けて、適度に解凍させるのよ！そうすれば、相手も冷たくて気持ち良くなり、食べ物も食べごろになるわ！…………それに、こうやると………エイッ！……」

「ひゃあああ……」

「仲良くなれるでしょ！エイッ！」

「ひょおおお！…………なあ、チベたくなってるの俺だけじゃない？」

「そんなことは無いわよ、ほらっ！…………アッツの大好きなアイス、ちょっと温めて食べごろにしておいたわ！」

「わーーい！○ッパイアイスだー…………この丸いゴムの中に、甘――いアイスが閉じ込められているんだ！……そして、ここを吸うと、適度に溶けたアイスが、染み出してくる……………って、おい、おい、どこから出して来るんだよ～嬉しいじゃないか！」

「いいでしょ！似たようなもんだし！あははははは…………」

「…………みっちゃん？どうしたの？です」

「コロナちゃん！」

「氷フルーツも食べないで、何見てんの？です」

「うん、みんな……楽しそうだなあっと思って…………」

　普段からそんなに燥いだりしない南中子だったが、笑顔こそあれ、隅の椅子に腰を掛け、静かにみんなを見守る様子には、何か違和感を覚えた湖路奈（ころな）だった。

「ねえ、どうしてみっちゃんは、みんなと騒がないの？です」

　湖路奈（ころな）が、南中子（みなこ）の傍に寄り沿う様に座って、不思議そうに尋ねた。

「……お姉ちゃんがね……お姉ちゃんが居れば……私も楽しかったのかなあ？」

　南中子は、隣の湖路奈の顔をじっと見つめた。

　すると、湖路奈も南中子を見つめたまま、南中子の手に自分の手をそっと重ねたのだった。

（つづく）