第69話 進む、新体制!

~~これは、地球を救うために手を繋ぎ合う仲間達の物語である~~




 校舎4階の改築は、急ピッチで進められた。細かく分かれていた部屋を仕切り直し、大ホール1つ、中研究室3つ、小さい発電施設1つ、それに冷水ミスト用の保水タンク部屋が、バックアップも入れて3つ作られた。



 厚着校長は、この虹ノ森学園(小学部~大学まで)の理事長も兼任している、いわばお金持ちだった。

 その余りある財力を今回のプロジェクトに、惜しみなく注ぎ込んでいた。




「みなさ~ん、集まって、くださあ~い!」


 胸山むなやま先生が、地温研で招集を掛けた。




「ん?シーセンセ、何か最近調子いいよね」


「そ、そ―なんだ!マナも気がついていたんだ!」


 あの、オドオドしたところがすっかり無くなっていた。オンダンVにチェインジしなくても、自信に満ちた勇壮な笑顔を保ち、テキパキと職務に励んでいた。



「そう言えば、最近、授業には来なくなったなあ。体育の授業は、元カレが代わりにやっているみたいだけど……」


 南中子みなこも不思議そうに胸山先生を見つめた。




「みなさん、これから厚着あつぎ校長先生が、重大な発表をします!…………厚着校長先生、お願いいたします!」


「あ、ああ~……“むっちょん”、そんな堅苦しい呼び方はしなくていいよ~」


「え!あ、ああ、はい……では、“あっちょん”、お願いしますね!」






「む、むっちょん?」

 アッツが、目を擦った。


「あ、あっちょん?」

 マナが、耳の穴に指を入れてほじった。


「ふーん、二人のハートは、キュンキュンですね~」

 南中子が、無理して解説しようと墓穴を掘ってしまった。





「え、漸く虹ノ森高校地球温暖化研究室の改築が終わりましたので、報告に来ました。ほとんどの備品は完備できました。後は、君達の物だけだが、場所は広めにとってあるから、全部持ち込んでも大丈夫だよ!」



「校長先生!上杉うえすぎ部長のオヤツも運んでいいですか?」


「あ、こ、こらマナ、変なこと聞くなよ!」




「ああ、もちろん構わんよ!研究室には、大型の冷蔵庫を2台入れたぞ!もちろん研究用の保冷庫は別にあるから、これは好きに使っていいぞ!」


「やったー、ミー先輩!大好きな、スイカアイスを丸ごと仕舞って置けますね!」


「おう、あれは、丸ごと抱えて、一人でほじくって食べるのが、最高だからな……って、変なこと言わすなマナ!」



「…………へえ、ミー先輩って、あれ一人で食べるんだ!……胡坐かいて、そこにスイカアイスのっけて、スプーンで掘るんだなあーー…………ズズズズズーーズ」


「あ、アッツ!ヨダレ、ヨダレ……もー何想像してんのよ!≪ゴン!👊≫」


「痛ってー、ありがとうござっす!👏」






「う、うん…オッホン…………それでなあ、一つ提案なんだが、この研究室の呼び名を変えようかと思うんだ」


「校長先生!“地温研同好会”が無くなるんですか?」


「あ、いや、そういう事じゃなくな…………夏野所長とも話したんだが、今や“地温研”は、世界各地にあるんだ。今は、夏野君の研究所が本部として、全世界の支部と連絡を取り合っているが、あそこの機械も最近故障が多いらしくてな」



「へーあの地温研究所は、そんな事もしてたんですね」


 南中子は、何是か嬉しそうに呟いた。





「まあ、それで世界規模の活動をカバーしようということで、うちの研究室と夏野君の研究所を合併させようと思ったんだ。それで、名前を“ブルー・アース・ラボ”略して“BEL(ベル)”でどうかな?」



「“ブルー・アース・ラボ”ですか!いいですね、校長先生!私は賛成です」


「ミー先輩が賛成なら、あたしも賛成よ!……もちろん、アッツも賛成よね!」


「あ、ああ、……もちろん……意義なしで~す(反対したら、何されるかわからん!)」


「よし!偉い、アッツ!……ご褒美に、今度うちで美味しいスカイアイスを食べさせてやる!もちろん、食べさせてあげるからな!覚えとけ!」



「は、はい…………“食べさせる”?あれ?……うへへへ~!!(あーーん?)」



(つづく)

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