第67話 校長の復活!

~~これは、地球を救うために手を繋ぎ合う仲間達の物語である~~



 コン コン コン!


「……失礼するよ」


「あ、校長先生!」


「あ、みんなそのままで、いいから。気にしないでおくれ」


「こ、こ、校長せ、っせんせ……どうされたんです……か?」


「いやあ、胸山先生、本当にありがとう。この“地温研ちおんけん”の顧問を引き受けてくれていたんだってね」


「い、いいえ。た、だ、私が……みんなと……仲良くなりたかったから……」



 厚着あつぎ校長が、放課後の地温研同好会に不意に顔を出した。

 いつものように、南中子みなこ部長はオヤツを頬張り、

 熱太郎あたろう真夏美まなみは漫才を繰り広げ、

 顧問の胸山むなやま先生はまったりと休憩していたのだが、


 全員挙動不審になって焦りまくった。


 そんな様子を見ても、校長は笑みを浮かべて、楽しそうに話しを続けた。





「僕があんなウィルスに感染さえしなければ、本校の温暖化研究室は、世界一になってきっとこの現状を打破出来ていたはずなのに、本当に悔しいんだ」



 ウィルスから解放された校長は、10歳は若返っていた。

 それは、ウィルスに汚染されていた時間を取り戻したようだった。また、時間だけでなく、若さも取り戻していた。

 

 身長が高く、スラっとして痩せ型の体形は、どこから見ても40歳には見えなかった。

 髪も襟足は短くスッキリしているが、前髪をきれいに整えていて洗練された感じがする。

 



 復帰してここ数ヶ月、本校の置かれた様子を隈なく調べ上げて、温暖化研究の舞台へ再び上り、失われた10年を取り戻そうというのである。



「そこでだ、胸山先生!僕は、君に頼みたいことがあるんだ!」


「え?え?……こ、こ、こんな、私で……よ、よければ……校長先生のために……な、な、なんでも……やります」







「おや?シーセンセ?……顔がちょっと赤い?……いや、ピンクだわ!」

「マナ?シーセンセ、可笑しくないか?」

「んー、アッツも感じたか?……あれは、やっぱり……アレだな~……ふっ!」



 真夏美まなみは、腕を組みながら、校長先生と胸山むなやま先生をカワリバンコに、見比べていた。



「ミー部長!……校長先生って、独身でしたよね」


「うー、確か、感染前は独身だったはずだな…………。

 結構若い女の先生からは評判がよくて、モテていたって、姉さんから聞いたことがあったなあ~

 ………ただ、ここ数年は、感染のせいか意地悪ばかりして評判は最悪だったぞ!だから、結婚なんてしていないはずだけど…………


 マナ?何か大事なことなのか?」



「うふっ!ふふふふふふ……これは、チャンスかも………」


 



(つづく)

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