第61話 日曜日のデート?

==これは、地球を救うヒーロー達の日常に密着した物語である==




「…………夢の水着をゲットするんじゃああああーー!」


「?……“夢の水着?”

 ……って、何?……え?(⊙_⊙)?アッツ?

 ………………………何のことなのかなぁ? o(一︿一+)o」




「そ、そ、そ、そそそそ……ソーメンは、白に交じっているピンクを食べたいい!」


「え?何?……なんでソーメンなのよ!今は、水着の話でしょ!」




「そ、そ、そ、そそそそ……ソージキは、コードレスがいい!」


「もー、アッツ!……何言ってるか、わっかんないわよ!」




「そ、そ、そ、そそそそ……そーいう訳で、開店でーーす!」




 何とか、熱太郎アッツはごまかしつつ、朝早くから並んだUNISIROウニシロの開店にこぎつけた。朝日が眩しく、冷水ミストに反射し、ところどころで小さな虹ができている。


 ところが、店に入ると同時に、店内のミストが温かいお湯になっているのに気付いた真夏美マナは、急いで熱太郎アッツの手を引いて、店内の試着室に潜り込んだ。




「ウーン、マナったら……こんな狭い部屋に、オレを連れ込んで、何をする気~?」


「何、馬鹿いっての!……この店、変よ!絶対、居るわ!」




 そう言って、マナは試着室の中から、そーっとカーテンを少し開けて、店の中を確かめた。すると、奥から出て来た女子店員さんは、真っ赤なビキニの水着を着ていたが、ちょうど両方の胸のあたりに温泉マーク♨️が描いてあった。


 そして、手にはスチームアイロンを持って、まわりのいろんなものにスチームを吹きかけていた。



『おーほほほ。UNISIROへようこそ、いらっしゃいませ!おーほほほ。みなさまの、おシワを伸ばしてさげますわよーー!おーほほほ』



 若くてスタイル抜群で、可愛い店員さんなのに、やってることはとても残念だった。



「うっひょーー!マナ、あれは絶対助けないと!」


「ダメよ、今は、あたし達2人しかいないもん。危険だわ!」






「マナ!……オレ達は、正義の味方なんだ!……今、戦わないで、いつ戦うんだ!」


「アッツ……」




「いけねえぜ、お嬢さん!

 ……オイラに惚れても、悲しくなるだけさ……所詮、オイラは流浪のヒーロー。

悪を倒した後は、またサスライの旅に出なけりゃならないのさ!」



「……………………………」




「ふっ……背中でオイラのギターが泣いてるぜ!」



「えっと、アッツ?……いつからギターって持ってるの?……背中にあるのは、さっきアッツが手にとったビキニのトップスだけよ……え?…………もう、いいかな?」



「あ、はい。……マナさま、もういいです。十分です。あざっーす」


「仕方ないわ、チェンジしましょ!……」


「え?この狭い試着室の中でチェンジするの?」


「いいじゃない、ここなら外から見えないし、あたし達のことも秘密にできるわ!」





「う、うん、分かったよ。……じゃあ、レッツ・オンダン……」


「きゃ、イヤ!……アッツ、手を伸ばさないでよ!……どこ、触ってんの!」


「あ、ごめん、ごめん!」





「あたしもチェインジ・レッツ・オンダン……」


「ウッフーン!……マナのえっティー――!」


「アッツってば、何言ってんのよー!」




「だって、マナの左手が、オレのお尻に……」


「ウゲッ!……もー…………アッツ、手を出しなさい!ほら!」


「え?両手を繋ぐの?」


「こうやって、向かい合って両手を繋げば、大丈夫!」






≪レッツ・オンダン・ファイブ・チェインジ・アーーーープ!≫




(つづく)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る