第60話 解けない魔法

==これは、地球を救うヒーロー達の日常に密着した物語である==




「(ううーーーっ!やったーー!……オレの信念、岩をも通す!やっぱり、オレって、強運なんだなあ~)」


 熱太郎あたろうは、入学式が終わって教室に戻るなり、全身とろけるような笑みを浮かべて悦に入っていた。

 念願の真夏美まなみと同じ、私立虹ノ森学園高等部(みんなは虹ノ森高校と呼んでいる)に見事合格した。



 それだけでは無く、1年1組という真夏美と同じクラスになれたのた。


 ただ、熱太郎がとろけているのは、それだけではない。担任が、“胸山 湿図絵むなやま しずえ”という超ナイスボディーの美人だったことが、もっとも重要な理由だった。



「(うーん、サスガ“《むねやま》”先生だけのことはあるなあああーー。すでにソフトボールを超えて、バレーボールに近いかもしれない………ふううーーん)」



「よっ!アッツ。やっぱり、居たな!…………あたしは、もうあきらめたわ。あんたと離れることはできない運命かな!……ま、よろしく頼むわ!」


「お、おお。まっかせなさーーい!…………マナも早く、ソフトボールになれるように、影ながら応援するから………」


「????……ああ?」









 ホームルームが終わり、今日はこれで解散ということになったが、真夏美はそそくさと荷物をもって教室を飛び出していった。


 熱太郎も慌てて、真夏美の後を追った。




「マナーー!マナ――!……待ってくれよー。どこ行くんだよーー!」


「決まってんじゃない!あそこよ!……アッツも付いて来る?」





「ああ、もちろんだとも。……姫の行くところ、このファイヤーボーイの熱血ねっけつ熱太郎あたろうは、地の果てまでも追い駆けて行くでござるよ!」


「あー、はいはい。……まったく、アッツさあ~、もう高校生なんだから、“中二病”は卒業したら?」




「ううっううーー、わしの“中二病”は、ひ、ひ、姫様の治癒魔法ちゆまほうがなければ~~な、な、なお、ら、ないーーので、ござるーーーーー!」




「んんんーん。仕方ないなあーー、じゃ、しばらく、そのままわずらってなさい!」



「え?え?……ひめえええーー!……どうか、ヒールをヒールを…………」









▲▽▲▽▲▽▲▽

……と、いう訳で、未だ“中二病”患者としてマナには扱われるが……


「おーーーい、マナーー、こっちこっち!」


「何よアッツ、約束の時間にはまだ早いわよ…………あんた、いったい何時から来てるのよ!」


「そんなの決まってるだろ?朝の4時から並んでますよーー!」





「まったく、この店の水着がそんなにいいの?……あたしには、どこにでもあるようなものに見えるんだけどなああーー」



「姫っえーー!何をおっしゃるウサギさん。この“UNISIROウニシロの特別限定チラシ”でしか買えない、夢の水着をゲットするんじゃああああーー!」



(つづく)

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