第59話 どこまでも一緒

==これは、地球を救うヒーロー達の日常に密着した物語である==



・・・・・・・・・・・・・・・・・【小学4年生のある日】


「マナ?クラブは、何にするんだ~?」


「いいでしょ、何でも!」


「えーー、そんなこと言わないで、教えてくれよ~」


「あたしは、ソフトボールクラブよ!アッツは、何にするよの?」




「えーっと、ボクは…………ソフトボールクラブかな。あ!驚いた。マナと一緒じゃん!ボクの足引っ張んなよ~」


「何言っての?アッツは、サッカーじゃないの?いつからソフトボールになったのよ」





「へへへへ、あのソフトボールが、いいんだよね~大きさといい、丸さといい…………早く、マナもああなればいいなあああ」


「?……なんであたしが、ソフトボールになるのよ!モーアッツったら」



「う、あ、そ、そうだね、あははっはははは…………」










・・・・・・・・・・・・・・・・・【小学5年生のある日】


「マナ?……児童会の委員会は、何にするの?」


「え?アッツ、また、あたしに聞くの?…………あたしは、保健委員よ。何でそんなこと聞くのよ」




「う、うう、何となくかなああ………」


「ところで、アッツは何にするのよ!」





「うーーーん、そうだな?…………保健室の掃除とか、消毒液の取り換えの手伝いとか、朝の健康調査の集計なんかする委員会……何て言ったっけ?」



「えーっと、それは保健委員会よね。つまり、あたしと同じ保健委員になると?」



「へーーー、偶然だね~、驚いちゃった!……よろしくね、マナ!」



「ふーーん…………まあ、よろしくね……」










・・・・・・・・・・・・・・・・・【中学1年生のある日】


「マナ、マナ、マナ?……部活はどうすんの?」


「決まってるわよ!あたしは、女子野球部よ!小学校の時から決めてたの!

 ……アッツ?まさか、あなたまで、女子野球部に入るって言うんじゃないでしょうね?」




「さっすが、マナ姉さん!すべてはお見通しで、ござんしたか!…………さよう、拙者、どのような敵に襲われようとも、決して後には引かないのでござる!

 決して女に背中など見せぬ!…………いざ、尋常に勝負でござる!」



「あはははははは、アッツ、無理無理無理!今回ばかりは、“女子野球部”だぞ!“女子”なんだぞ!」



「うぬぬぬ…………うはははははは、そんなことは百も承知!オレに、不可能はないのだ!見ておれーーー!」














・・・・・・・・・・【しばらくして、女子野球部の練習開始前】


「えーみんなに、新しいマネージャーを紹介しよう!」


「え?監督?女子野球部にもマネージャーが付くんですか?」


「ああ、奇特な希望者が居てな……」


「「………「「「やったー、夢のマネージャーだー。いヤッホー」」」………」」


 部員全が大喜びだったが、たった一人だけ、浮かない顔をしている者がいた。真夏美まなみだった。




「おーい!こっち来てくれーーー」


 部室の中で、準備していたマネージャーが、グラウンドに姿を現した。


「えーー、今日から女子野球部のマネージャーをやることになりました、中村 熱太郎なまむら あたろうです。アッツって呼んでください。掃除から洗濯まで、なんでもやりますから、よろしくお願いしまーーーす!」



『アッチャーーーー!』



 真夏美だけは、まんまとやられたという顔をしたが、後の女子部員は、大喜びだった。これで、重たい荷物搬送やピッチングマシンの片付けをしなくていいと、女の子達は大歓迎だった。



「よ!マナ!……どうだ、これで俺も女子野球部だぞ!お前も、がんばれよ!…………まだ、野球ボールにもなっていないんだからな!」


「ん?また、変なこと言って……?」











≪そして、オレは決めたんだ……マナの行く高校へ行こうって!≫




(つづく)

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