第28話 留守の研究所

==これは、地球の熱を冷ますために、日々奮闘する“カラフルなヒーロー達”の物語である==


🎵オープニングNo.3〔負けるな オンダンV〕

 ♪ きれいな 色がある~ すてきな 色もある~

   そして未来は バラ色だ

   空を見て 海を見て 宇宙を見て

   暑さから 守るんだ この地球~

   いつでも 我らの ヒーローたちは

   必殺 技で 懲らしめる~

   オンダン オンダン オンダン オンダン

   ファイブ~ ファイブ~ ファイブ~

   オンダン ファイブ~          ♪





ド・ド・ド・ド・ド・ド・ドン………ドンドンドン……バンバンバン………

「所長!所長!居る?……返事してよ!……開けて!(╬▔皿▔)╯」



 なんか、今日のあたし燃えてるわ!絶対、所長をやっつけてやるんだから!





「あ、あ、はいはい……今、開けますの事よ…………あら!マナちゃん?どうしたの?そんなに真っ赤な顔して」


「あ!コロナちゃん。ねえ、所長は居る?」



「いいえ、所長は、今、完成した制服を学校に届けに行ったわよ!」


「チェッ!入れ違いだわ…………もーあたしったら(#^ω^)」



「いいじゃないか、マナ。今日は、ゆっくりしよう。所長が帰って来るまで、ここで待たせてもらえばいいだろう?」


「そうだよ、ミー先輩の言う通りにしよな、マナ!」





「そうそう、入って休んで!今、コーラを入れるからの事よ!」


「え、え、え……コ、コ、コーラが、で、でるん……ですか?」


 そりゃ、シーちゃんセンセが、驚くのも無理はないわよね。あの超貧乏だった研究所で、コーラが出るなんてね。


「ねえ、そのコーラは、本物なの?」






「あれ~マナちゃん、疑ってるの?…………はい、お待ちどう様!みなさん、飲んでみて?」


 まあ、ミストの中を歩いたとはいえ、外は暑くて疲れたの、目の前のコーラは、とってもおいしそう。


「……グビッ、ああ!!……ゴクン、ゴクン、ゴクン……ゴックン!……ファアアアーーー」




 おいしい!……変?……なぜ?




「あ~あ、マナちゃんは、まだ疑ってるの事?……もうね、私達、地球温暖化研究所はね、貧乏じゃないの事よね~。

 所長の開発した“オンダンもどきコスチューム”が、バカ売れなのよね~。

 女性から男性まで、色違いの水着セットを買い求める人で、ネット回線がフリーズするくらい、大盛況な事なのよね~」



「そんなに、売れてるの?……大儲けじゃない!」



「だから、所長が、あなた達にって…………はい!」


「うっわーー、これ、“オンダンブラック仕様のプレミアム水着セット”じゃない!」


「これを、みなさんにって、所長がプレゼントするって言ってたの預かったの事よ!」



 やったー!やったー!あたしは、これが欲しかったの~……んー何ていい所長さんなのかしら!あたし、うれしいわ~



「ねえねえ、マナ?……マナ?……どうしたの?……なんだか、すっごく嬉しそうに見えるんだけど?」



「何言ってるの!アッツ。

 この“オンダンブラック仕様のプレミアム水着セット”ってね、実際には居ないオンダンブラックという仮想ヒーローを作り上げ、黒のビキニに黒のパレオや片袖の黒シャツを組み合わせ、胸と腰にワンポイントの真っ白な雪の結晶がとっても素敵なのよ!

 ……これはね、今、地球上で最高の水着なの!」




「良かったな、マナ」



「ありがとうございます、ミー先輩!」



「わ、わたし……も、貰って……いいの、かしら……?」



「もちろんの事よ!シーちゃんセンセは、他にもたくさん買ってくれているから、お得意様ね~」



 うー、何ていい人なのかしら!所長さんは、サスガヒーローの生みの親ね。地球の正義みたいな人だわ!


「あーーー、マナってば、あんなに所長のこと怒ってたのに、もう、許したりしてるんじゃない?」



「アッツ、あったり前田の冷奴よ……所長さんが、悪い人の訳、ないじゃあ、あ~りませんよ!」



「ま、いいけどさ。……ところで、コロナさん、この服ってどこで誰が作っているのさ?」



「ああ、この服は、この研究所の1階の空き部屋に、全自動のオンダン制服加工機器ってのを作ったの。だから、材料を放り込んで、スイッチを入れておけば、24時間体制で作業をしてくれるの事よ」



「販売はどうしてるの?」



「そんなの簡単じゃい、出来上がった製品を段ボールに詰めるの。そして、ネットの注文通りに宛先を書いて送るの事よ。定期的に、運送屋さんが取りに来てくれるの事ね」



「じゃあ、どうして所長は、高校の制服だけは、自分で持って行くの?」


 お!ミー先輩は何か気づいたわね。



「それがね……分からないのよ……私も、運送屋に頼んで持って行ってもらったらって、言ったのに……所長は、自分で行ってくるって、きかないの事よ……?」



「マナ、ほらっ!やっぱり怪しいかも知れないよ!……所長は」



 うー、やっぱりミー先輩は、凄いんだな。あたしなんか、目先の事に浮かれて、すっかり騙されるところだったのに~~。キーッ!ヽ(≧□≦)ノ



(つづく)

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