第25話 雪男の最後・

==これは、地球の熱を冷ますために、日々奮闘する“カラフルなヒーロー達”の物語である==






 いったいどうしたの?なに?あの声?



『………この冷水ミストのバルブを閉めてやる~………』




 たーいへん!体育館の中がパニックだわ!

 ……うわっ!……きゃっ!……あん!……いやっ!……


 あたしも……みんなに……もみくちゃに……巻き込まれ……あ~れ~……







「……んん、……あ、あ、ああ……マイクテスト、マイクテスト……


 みんな!落ち着け!落ち着いて行動しろ!!

 大丈夫だ!体育館は、私が必ず開けてやる!」




「誰だ?……」

「校長か?……」

「教頭か?……」

「いや、生活指導の規律先生か?……」


「いや違う!あれは、正義の戦士!オンダン ブルーだ!」





「トゥーー……やっ!…………みんな、待たせたな!もう大丈夫だ!」



 ワアアアアア……オンダン戦士だー……ヒューヒュー……待ってました!……




 あれ?ミー先輩、もうチェインジしてるし…………あれ?あれ?だれ?あたしを引っ張るのは……あれ?アッツも?……誰かに引っ張られて……あれ?あれ?………



「こら、何をボケっとしてる!早くこっちに来ないか!」


「あ!オンダンレッド!」


「いいから、お前達も人目のないところで、チェインジして来い!」


「え?え?……人目のないところって言っても……あ!あそこなら!ほら!アッツもおいでってば!」


「あ、う、うん……どこ行くんだよ~マナ~」






≪オンダン ピーンク チェインジ アーーープ!≫

≪オンダン イエロー チェインジ アーーープ!≫



「やれやれ、こんな舞台袖の暗幕の中で変身するとは思わなかったよ!」

「何言っての!アッツ。ここは、盲点なの。みんな体育館のフロアでバタバタやってんだから…………ほら、シーちゃんセンセもコロナも、みんなチェインジ終わってるのよ!」







「やあ、これで、みんな揃ったな!」


「すみません、ブルー!遅くなっちゃいました!」


「大丈夫だ、ピンク!……それより、早く、奴を倒さないと、大変なことになる!」



 



「グリーン、………サーチライト・オンだ!」

「了解!……索敵さくてきサーチライト照射しょうしゃ探索開始たんさくかいし―――!」


あの変な声の主は?……どこだ?…………あ!居た!あそこだ!






 ウオオオオーーアンドロイドのコロナがチェインジしたオンダングリーンの目から敵を焦点化しょうてんかしたビームライトが照射されている!

 これで、奴がどこに逃げても、すぐわかるぞ!




 あ!あいつは、“ラーメン雪男ゆきおとこ”の店長じゃないの?





 それにしても、会場の生徒が逃げまどって、奴を捕まえにくいったらありゃしない。


「あー、あー、……ウオッホン!!

 …………会場のみんな、大丈夫だ!落ち着け!さっき渡された制服を着るんだ!

もちろん、今の水着の上からでいいぞ~」


 そーだよね、こんなパニックのところで、スッポンポンになられても、パニック増大だもんね~……あれ?アッツ、何?ガッカリした顔して?……それにしても?


「ブルー?こんな時に、何を言ってるの?」


「いや、それで大丈夫なんだ!あの制服には、冷却システムが組み込まれていて、このくらいの暑さなら、冷水ミストが無くても十分快適に過ごせるんだ!」


「さすが、ブルー!システムをよく熟知している~」








『わあああー涼しい……』

『生き返る~』

『この制服、サイコー!』…………




「な、みんな、落ち着いてきたぞ!…………よし、じゃあ敵をやっつけるぞ!」



「「「「 オー――! 」」」」


「グリーンは、そのまま敵をサーチし続けろ!じゃあ、行くぞ“ドッジボール大作戦!”みんな、体育館のフロアに散れ!」


「「「了解!ブルー」」」



「よーし、最初のパスは、ピンクだー!」


「エイ!……ドン……次は、イエロー……ヤアッ!……人ごみを避けて天井高く上がったボールを……イエロージャンプだ!」


「届いたーー!天井ギリギリ、ここで天井のはりを蹴って、行くぞーレッドーー」


「はいよ!高速ボールだ!そのまま床スレスレで、回転キーーック……ボスン!……行ったぞブルー」



「よし、グリーン、敵に照準を合わせ!前方30メートル、ゲージOK!……たいショック、対閃光防御たいせんこうぼうぎょ!…………キーーーック!発射!ブワシャーーーーー…………ボヨン!」




 ピッカーーッ! ドギューーン! ゴロン、ゴロン、コロコロ……




(つづく)

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