第21話 役に立ちたい・
==これは、地球を救うために立ち上がった“若いヒーロー達”の物語である==
「ねえ、ねえ~ミー先輩!セ・ン・パイってばー!」
「ん、ん?……あ、マナか」
もうーミー先輩ったら、全然あたしの声が聞こえていないんだから!傍に行って、背中を突っついたら、びっくりしてようやくこっちを見てくれた。
「もー、どこ見てんですか?(#^ω^)」
「あ、ああ……すまんなあ。…………なんとなく、似てるんだ」
「似てる?コロナさんが?……誰にですか?」
「んー。……お姉ちゃん…………」
「ええ?お姉ちゃんって、布礼愛さんの事?」
「う、うん…………」
「ミー先輩、布礼愛さんって、5年前に……あたし、お葬式のこと今でも覚えているわ」
「そうだったわね、マナはあの時…………私を助けてくれた……ずっと傍に居てくれたわよね……」
「何言ってるのミー先輩!助けてもらったのは、あたしなの!
……あたしのお母さんが暑さで亡くなった時、ずうーーっと傍にいて面倒をみてくれたのは、ミー先輩じゃない!
…………あたしのお母さんが亡くなったのは、あたしがまだ小学生の頃よ。
…………同じ小学生だったのに、ミー先輩はいつもあたしのことを気にしてくれた。
学校でも、家に帰ってきてからも。
よく、ミー先輩の家に招待されたわ。何度もお泊りしたわよね。その時、お姉ちゃんの布礼愛さんにも、とっても優しくしてもらったの」
「あの時は、マナのお母さんが亡くなって、みんな悲しかったんだ。
…………だから、みんなで、その悲しさを分けることで、少しでも楽になると思ったんだよ」
「そう…………あたしもそう思ったの。
優しい布礼愛さんが亡くなって、一番悲しんでいるのは、ミー先輩だから、少しでもその悲しさを分けてもらおうとおもって……あたしは……」
ダメ、あたし、まだあの時の事を思い出すと涙が出る……それに比べて、やっぱりミー先輩は、強いな~。
あの後からのミー先輩は、布礼愛さんの後を継いで、論文を完成させるんだって、一生懸命だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇一休み
https://kakuyomu.jp/users/kurione200/news/16818023212824666751
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5年か…………あっという間だったわ……。
そんなミー先輩を少しでも助けたくて、高校生になってミー先輩と同じ部活を選んだの。
……ミー先輩の地温研は、人が集まらず、同好会にも成れず、一人で放課後頑張って論文を書いていたの。
あたし達の虹ノ森学園は中高一貫だから、中等部も高等部もすぐ近くに校舎があるの。
あたしは、女子野球部だったから、放課後は遅くまで練習していたわ。でも、如何せん気温が高いから、10分練習して、30分休憩をとらなければならないの。
その休憩の時は、何もしないで、日陰で冷水ミストを浴び続けるのよね。
ただ、何もせずボーっと。
そんな時、あたしはいつも、ミー先輩のことを考えていたの。
ミー先輩が高等部に入学して、温暖化の論文を書いているって、噂で聞いた時、あたしはどうしても手伝いたかったの。
だから、少しでも手伝う人を増やせば、“部”になって、学校から予算も貰えて、調査活動もしやすくなるって思ったのよ。
だって、中等部の時、あたしの女子野球部だって、人数が増えて部になったとたんに、活動費がもらえたんだもん。
それで、高等部に進学したと同時に幼馴染のアッツを誘って、ミー先輩の活動を手伝うことにしたのよね。
ただ、まだ人数が足りなくて、同好会なんだけど、少しは学校も活動を認めてくれて、今回論文を応募することができたって訳。
しかも、その論文が認められて…………それは、良かったの!……ただ、“オンダン ファイブ”は、ちょっと余計かな~?
……っと、『布礼愛』っていう名前を久しぶりに聞いて、こんなことを一瞬で思い出しちゃった。
(つづく)
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