第20話 猫耳とシッポ・

==これは、地球を救うために立ち上がった“若いヒーロー達”の物語である==




「ちょっ、ちょっ、ちょっ……と!コロナさん!……どうしてチャージできるの?あなたの手は何?いったいどうなってるの?」


 びっくりしたあたしは、そこに笑顔で立っていたコロナに詰め寄っていった。







「まあまあ、ピンク……いや岡崎真夏美君、別に隠していたわけじゃないんだが……?」


 ところが、所長は平然として、そんなことを言うのよね。





「そ、そうだよ!俺ら4人一遍にチャージなんて、しかも早かったよなあ~

 ……今度は俺の携帯ゲーム機もチャージしてもらおうかな?」


「もーアッツったら、ゴン!🤛(#^ω^)……それどころじゃないでしょ!」


「そ、そうよ。コロナちゃんは、普通の、女の子なんでしょ?」


 ちょっとトンチンカンなこと言うアッツと、またオドオドしているシーちゃんセンセだって、普通に驚いていた。






「いいえ!私は、普通じゃありませんの事よ!普通なんかつまんないの事ね!」


「まあ、湖路奈は、こんなやつさ。

 ふっ……みんなにわかりやすくしたつもりなんだけどな~?

 …………ほら、この耳!可愛いだろう?」





「う!そう言えば、所長の趣味?

 ……と、言うことは、コロナちゃんのお父さんは所長なの?」



「落ち着けマナ!

 ……どう考えても、年齢的におかしいだろう?所長は25歳、コロナさんは20歳ぐらいに見えるんだ。

 …………そしたら、所長の5歳の子どもってことになるだろう?」




 ん~ん。なるほど。……ミー先輩はいつも冷静だ。


「ああ、そうですね。言われてみれば、ミー先輩のおっしゃる通り!

 ……じゃあ、いったい?」






「私が、推測するにコロナさんは、アンドロイドではないのですか?」


「「「ひぇええええ、アンドロイド~~」」」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇一休み

https://kakuyomu.jp/users/kurione200/news/16818023212774400559

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ん?何をそんなに驚いてる?南中子君の言う通りだ。

 ……湖路奈は、僕が作ったアンドロイドだ。……可愛いだろう?この猫耳!」


「所長は、おかしなところに凝るの事よ!……本物の耳は、こっちにちゃんとあるのに、ただの飾りの猫耳を作るんだから、変わってるの事ね~」


「いいじゃないかよ、お前は料理もダメ、洗濯もダメ、ちっとも僕のお世話が出来ないんだから、せめて猫耳で……」


「所長?猫耳だけでしたっけ?……シッポも付けるって、騒いでいたくせに、ですの事よ!」




「え?何?猫耳とシッポで、お世話?……うへっ?……ひょっとして、そんなお世話のアンドロイド?」




「ば、ばか!……何を言っているんだよ。……湖路奈も余計な事はいいいから!

 …………ぼ、僕はだな、研究に集中するために、身の周りの世話をだな…………家政婦必須だろ?な!


…………ところが、こいつは家事より戦う事が大好きで、悪い奴を見つけては暴れるんだ。

 それで、仕方なくあのコスチュームとチェインジシステムを開発したのさ。正義のためなら、少々暴れても問題ないだろう?」




 え?そうすると、このコスチュームはコロナの為のもの?

 …………え?……じゃあ、あたし達はコロナの巻き添えで、一緒にこのコスチュームを着せられてる?



「そうそう、南中子君達の論文のお陰で、僕達の活動の正当性が確かめられるんだよ!だから、僕は君達を“オンダン戦隊”にスカウトしたのさ!

 素晴らしい論文をありがとう!」



 ウヒェエエエェエエエーーーーー!やっぱり巻き添えじゃん!



「マナちゃん、改めてよろくし頼みますの事ね」



「あ、ああ、はい、はい、コロナさん……こちらこそ……」



 有耶無耶の内に、よりオンダンファイブの活動の理由が出来てしまったわ。

 こりゃ、この先面倒くさくなる…か…な?

 …………と、ミー先輩に愚痴をこぼそうと思ったら、ミー先輩の目がコロナさんに釘付けになってる…………?


 あれは、物珍しさじゃなく…………どことなく、信頼?憧れ?……そんな目のような気がする。

 まさか、アンドロイドに憧れる?




 …………ふと、隣を見ると、夏野所長も目が一点で止まっていた。




 うわ!こっちもだ!

 …………ミー先輩を見つめてる!

 ただ、黙って見つめているだけなんだけど。

 その、ニコリともしない真剣な眼差しは、ただならぬ秘密があるような…………。




(つづく)

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