第3章 温暖化の真実

第15話 真昼のラーメン屋・

==これは、地球を救うために立ち上がった“若いヒーロー達”の物語である==




 今日は、地球温暖研究所の夏野所長と約束した日曜日なのよね。まあ、それを口実にみんなでお外に遊びに出たって感じかな?



「久しぶりねアッツ、歩いて外に出るなんて、気持ちいいじゃない」


「何言ってんだマナ!外はこんなに天気がいいんだから……俺達みんな焼け死んじゃうよ!」


「ア、ア、アタ……ロウ君…………だ、大丈夫、よ……お外、にも……冷水ミスト、が……ちゃんと、あるから……」


「胸山先生、アッツは知ってて言ってるんだ。気にしなくて、いいよ」



 モー、アッツったら、すぐネガティブ発言するんだから……確かに外は暑いわよ。

 でもね、一度学校に集まって、UVケアのシャワーも浴びたし、自分だって街路樹ミストの間を選んで歩いているでしょ~に。


 こんな時ぐらい、楽しめないのかしらね、モー(#^ω^)


「あのね、折角みんなでお出かけしたんだから、楽しいことしようよ!」


「そうだな、マナの言う通りだ。今日は、“地温研ちおんけん”の外調査だ。いつもとは違うことをやろうか。

 この間、夏野所長に研究所までの地図を貰ったんだが、意外と学校に近いんだよ。

 …………まだ、約束の時間までだいぶあるから、商店街にでも寄っていくか?」


 さすが、ミー先輩。話が分かる~。


「あ!あそこにラーメン屋さんがあるわよ、ねえ、行きましょうよ」




「俺知ってるぞ!あのラーメン屋美味いんだ。この間、あそこで“氷味噌ラーメンのチャーシュー冷凍アイストッピング”っていうのを食べたんだぜ!」


「また、アッツはヘンテコリンな物を食べるんだなあ~」


「いいじゃねえかよ、マナ。このチャーシュー冷凍アイスってのが、ザクザクしてて、チャーシューの味がするんだけど、かき氷の感じもする、とっても美味いやつなんだ」


「じゃ、ちょっとお昼には早いけど、この“ラーメン雪男ゆきおとこ”に入るか」


「「「やったー、おおおー!」」」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆一休み!

https://kakuyomu.jp/users/kurione200/news/16818023212499714970

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「へい!いらっしゃい!」


 わー、本当に雪男みたい!もちろん上半身は裸で、海パンイッチョで胸毛ボウボウだわ!

 店はそんなに広くはないから、この男の人が、一人でやってるのかな。



「なー、みんな、さっき俺が言ったやつ、一緒に食ってみないか?」



 何さ、アッツったら、張りきっちゃって。……“楽しもう”って、言ったのはあたしなのよ!



「いいんじゃ、ないか?私は、その……なんとかチャーシュー冷凍アイストッピングでいいぞ」


 うわあ~ミー先輩は、チャレンジャーなのよね~


「あ、あ、あたしも!……あたしも、部長と同じのにする~😫」


「それ、じゃ…あ………私も、それ……お願いします」



「OK~!じゃあ、おじさんお願い!“氷味噌ラーメンのチャーシュー冷凍アイストッピング”4つください~」



「へい!お客さん!目が高いね~……これは、ウチで今一番売れてるやつだよ~……ほら、このお客さんも食べてるだろ😁」



 そういえば、店の奥に誰かいるわ。全身、黒ずくめの水着で、やせ型の女の人かな?ビキニじゃなくて、ワンピース型のクラシック型なのね。

 下を向いて食べているから、顔は良く見えないわ。



 “雪男さん”が、カウンターの向こうへラーメンを作りに入ると、「いらっしゃいませ~」と、言って奥から、別な男の人が、コップをもって出てきた。

 この人は、“雪男”じゃなくて、どちらかと言うと、“屋根の氷柱”という感じだわ。細くて、今にも折れそうよ。


 なんか、表情も冷たそうだし、何も喋らずテーブルにコップだけを置いていった。


「……?……中に何も入ってないぞ?これから持ってくるのかな?」






「なあ、アッツ?この店変じゃないか?」


 ミー先輩は、店の中を見渡しながら、小さい声で、呟いた。


「そ、そう、ですね、…………い、今時の……ラ、ラーメン屋なのに、……暖かい、メニューが……あ、ある、わよ……」


 え?シーちゃんセンセまで、何?


「変だな~先週来た時は、あの胸毛のおじさんが一人でやってたんだけどなあぁ~」


 え?え?……アッツまで、どうなってんのよ。




「ねえ、アッツ。大丈夫なんでしょうね?……美味しい氷ラーメンを食べれるんでしょうね?」






「へい、おまち、お冷だよ。たんと召し上がれ!」


 さっきの氷柱男が、大きなヤカンを両手で持って、こちらのテーブルに近づいてきたの。

 さっきとは違い、何か薄笑いを浮かべてる。……ちょっと、気持ち悪い感じがするわ。


「え?……そのヤカンは?」


 氷柱男が手に持っているヤカンの注ぎ口からは、白い煙のようなものが見えた。しかも、なぜか、ヤカンの蓋が、小刻みに震えている。



 まさに、今、氷柱男が、ヤカンからコップに注ごうとした時、



 ≪ガラガラガラ……………≫



 勢いよくラーメン屋の入り口の戸が、開け放たれた。




(つづく)

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