第36話 家族の場所に
ここに戻ってくる間に、少し気を失ったようだ。
何かとてつもない旅をしてきた、夢を見ていた、そんなふうに思える。戻ってきたんだな、俺達。
おおっ、横にいる美女!!なんだ、友奈だ。
寝てりゃ大人しい、凄く魅力的な娘なんだよな…
それほど起きている時との差があるってことか。
それにしても、ここにいて大丈夫って言えない。ここは人気のない夜の公園。時間軸も違うのかな。
ここに二人でいるんだもんな。タンクトップで。これは怪しいよな~真夜中の公園に。
【友奈、起きて。風邪ひくよ】
小さな声で話しかけた。返事はない…
【友奈…】
※グー…※
とりあえずベンチに座らせて、寒いな〜
俺も眠くなってきた…とても歩いてて帰る元気なんて無い。少しだけ眠ろう。そして風邪ひくよ、このパターンは。
……………………………………………………………
【寒っ!!】 夜明けだ、さらに寒くなってる。
タンクトップじゃ仕方ないと思うけどね。
【友奈、起きて!!帰るよ。寒すぎる!!】
【…食べれないにゃ…ムニャムニャ…】
何でいつも食べてる夢なんだよ〜
明るくなってきた。ランニングしている人がちらほら見てる。そりゃそうなるね~怪しいよな。
【寒いって!!起きてよ。友奈!!】
やっと起きたか。
【……ん…寒っ!!何ここ?…おやすみ…】
※グーグー😪※
また寝やがったな、起きてくれって。寒いって!!
【零?】
誰?
※キューン🐕…※
ルックじゃん!!ルック〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
※キューン!!キューン🐕※ ウキウキ!!
思わず抱きしめて、頬を擦り寄せた!!
※キューン!!!!!キューン!!!🐕※ ランラン♪
やっぱ聞こえた。ランランって言ってるな。
でも、ここにいるってことは、
見上げた先には………………聖奈!!
【零!!!零~〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!】
※ギュ~※
【聖奈、苦しいって】
【零…良かった…良かった😭戻ってきてくれた。何故タンクトップ?冷え切ってるじゃん?友奈も?】
暖かいな…聖奈。俺、タンクトップだからな。
【聖奈、抱きつかれるの、恥ずかしいって…】
【いいの!!零、戻ってきてくれて、やっと眠れ…眠れる…】
【おい、ちょっと、聖奈!!】
※グー😪※
聖奈、俺に抱きついて寝ちゃった。会えて嬉しいけど。
タンクトップの友奈は大丈夫か?寒いだろ?起きろ〜
【友奈!!】
※グー😪※
駄目だ、起きないや。
女性二人がここにいて、俺だけ起きていて、俺と友奈はこの寒空の下タンクトップで、と、なると、
ほら、予想通りに、
【すみません、署まで同行願えますか?】
と、なる訳だね〜巡回お疲れ様でーす。
俺が疑われても仕方ないか。この場合は。
これは説明しても解ってもらえるとは思えないが。
それにしても、寒!!寒すぎる。
※へックション!!※
【君たち二人は何でタンクトップなんだ?そっちの彼女はダウン来てるのに、大丈夫なのか?寒くないのか?】
【寒いです…はやく署に行きませんか?そこで説明します】
【そうだな。じゃ車に乗って】
……………………………………………………………
警察署に到着〜暖かいな〜
【ん?ここ何処?】
友奈はようやく目覚めた。聖奈も、
【ふぁ〜あれ?ここは?零!!夢じゃなかった〜零!!】
いてて…だから抱き着く力強いって、聖奈。
※【あのね、貴方達公園で倒れていたんだよ。実はちょっとあの辺りで事件があってね、念のため保護したって訳だ】※
いやいやいやそれ違いますって!寝てただけっす。それに事件?
※ガルルル…ガルルル…🐕※
ルック、怒ってるな!!落ち着いてくれ〜
【あの、俺から説明します。霊界から帰って…】
突然、友奈が、
【零!!ストップ!!あなたは説明下手だから、私が】
※【じゃ、お嬢さん、こちらへ】※
友奈が別室に、俺と聖奈も、
※【こちらのお嬢さんと貴方の関係は?】※
【姉弟です】
※【姉?本当?証明出来るものは?】※
ヤバっ、スマホも落としちゃった…何も無い。
【親を呼んでくれれば…】
聖奈、スマホを貸して…聖奈?
※グー😪※
俺に寄りかかって寝てるよ。ほんと寝てなかったのかな?悪かったな…
※【その様子では、あの事件と関連は無さそうだ。さっきの娘ももう帰ってもらっていいんじゃないかな。寒そうだし】※
おっ、仕事出来そうな刑事さん。
※【そちらのお嬢さんのワンちゃん🐕の胴輪に連絡先書いてあるね。そこに連絡していいかな?】※
ナイス!!それにしても観察眼凄いな、さすが!!
【はい、お願いします】
そういえば、家の電話って滅多にしないな。最近変えたって聞いてるし、だいたいスマホに連絡するから電話番号なんて忘れるよ。今回はルックの胴輪に助けられた。
※ガルルル…🐕※
※【噛むか?申し訳ないが、慣れてる君がこの電話で頼む】※
噛まないけどね〜、ルックは。電話番号、これは親父の筆跡だ。えーと、ちょっとルック横向いて、
※ガルルル…ガブ!!!🐕※
イッテー…ルック、噛んだ!!何故俺を噛む?
※【ははっ、やっぱ噛みついたな…】※
刑事さん、鋭い予測だ。
……………………………………………………………
結局、俺達は両親に迎えに来てもらい、友奈も俺達との関係が証明されたので、車のほうが早いってことで、友奈も乗せて帰路に。
聖奈は、ほぼ寝ずに数日探してくれていたらしい。
とりあえず友奈を先に送り届けてから、実家に。
友奈の家族も心配していて、でも無事に戻ってきてくれたと大喜び。友奈は暫く有給で休むらしい。
帰り道、聖奈がお腹空いてると言い出し、ワンちゃんも入れるレストランに。周辺ではここだけだ。
【とりあえず零、無事だったから何よりだ】
【ほんとこの馬鹿息子!!どれほど心配したか。聖奈がどれだけ心配したか】
【それはさ、お母さんも同じでしょ。そんなに怒らないで。とにかく帰ってきてくれたから】
俺は霊界のこと、友奈とのこと、覚えている限り全てを話した。両親は信じてもらえなかったけどな。聖奈は信じてくれてるようだ。
【零、そのブレスレット素敵だね。買ったの?】
後で聖奈だけに教えないと。両親には説明しても無理だ。霊界なんて…
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