第35話 リミット1

何か声聞こえたぞ?


【琴美、呼んだ?】


【呼んでないよ、何で?】


聞こえたんだけど。女性の声…気のせいかな?


友奈が、


【零、それ何持ってるの?】


【ああ、これね。琴美のだよ。返さないとね】


【何、何、私にも見せて!!!面白そう】


【琴美のだからさ、琴美の許可を得てから】


【いいじゃん、貸してって!!】


※ゴン…※ 落としちゃった…


【友奈、強引に…これ壊れたか?】


琴美は、


【いいよ、大丈夫。そう簡単に壊れないって…こ、壊れてる?何で?】


ごめんなさい…友奈も悪いぞ!!


【あ〜!零、おっちょこちょいなんだから〜】


お前、全て俺のせいか?このー!!


琴美は、


【どうしよう…】


【ごめんな、直せないの?】


【これ、もう手に入らないの…】


【琴美…】


可哀想…泣きそうだ。


そんな琴美を見て、友奈は、


【壊れたのは仕方ないよ。大丈夫!!】


【何が大丈夫だよ。琴美の気持ち考えろよ!!】


【いいの、零、喧嘩しないで】


そんな、琴美〜ごめんな〜ごめんな〜


友奈、反省もせず、


【だから、大丈夫だってば。これ見てよ!!】


【お前、なんて無責任…これ、何?何が写ってるの?ちょっと拡大出来ない?見たことある景色だ】


【うるさいな〜少し待って!!えーと、こうやって】


 おおっ!!聖奈、英二じゃん。公園かな、ここは?そうだ、ルック連れて散歩してるいつもの公園だ。


 現代と繋がるなんて。何で、こんなこと出来る?友奈、お前何者?


琴美も、


【友奈って…何者?】


 琴美も同じこと考えてる。何でこんなこと出来るんだ?友奈。


友奈は、偉そうに、


【零をここに連れてきたのも、私がここに来たのも全てはこのため。このモニターで私達が現代に戻ってもここと通信できるよ。私、戻ったらすぐにモニター設定するね。リンク出来るように】


そ、それは、最高!!最高過ぎる!


友奈は続けて、


【それでね、琴美の持ってるそれともリンクした。壊れる前にね。だから、さっき二人がどこ行ってたか、何してたか、バレバレ…いちゃいちゃもね】


【……】←俺

【……】←琴美


【何、その反応。私のおかげなんですけど〜それにこのタブレット私のなんですけど〜】


【……】←俺

【……】←琴美


【だから〜あのね〜これ置いていくから、このバッテリーパックもソーラー対応だから常に窓のとこに置いて。それの予備のも。これでね、いつでも長く話せるよ。でもプライベートに関することはお互いに自己責任でね。ちゃんとモニターされる範囲を把握しておいて。それにしても霊界タワー行きたかったな~】


 お、お、おれ感動してる!!戻っても琴美と話せる!!琴美の姿見れる!!モニターを通してだけど。


友奈、本当にお前は最高だ。※ギュ~!!!!!※


【こら、零!!琴美がいるじゃん。…いなくても駄目だけど…いてて…ほんとこういう無駄なとこに筋肉はあるんだね、零…だから、離れてって!!零、汗臭いって!!もう!!】


あっ、ごめん。シャワー浴びてないや、俺。


友奈って、何でこんなこと出来るんだ?


【友奈、凄いね。これ置いていってくれるの?壊さないように大事に大切にしないと】


【琴美〜それ、そう簡単に壊れないよ。耐久性重視だから。でね、通信状況によっては固まるから、それ勘弁して】


【ありがとう、友奈!!本当に本当に私の命の恩人だ〜】


※ギュ~※


恩人って大袈裟すぎ、琴美。


【琴美も強すぎ…いてて…何かあれば抱きつく二人だな〜もう、琴美はいい匂いするね。零は早くシャワー入って!!もう帰るんでしょ?】


【そうだった。じゃ、琴美、シャワー借りるよ】


【どうぞ。えーと、使い方解る?服、着替えのタンクトップだけど置いておくね】


【ありがとう。タンクトップだけ?ここの霊界の服って?】


【そう。それが正装なの】


もっと筋肉つけておけば良かった…



……………………………………………………………



琴美と友奈の会話が少し聞こえる。


【琴美、私達戻ったら、すぐにこれ繋げるね】


【うん!楽しみに待ってる!友奈のおかげで毎日楽しみになったよ】


【零と離れて寂しくなったら何時でもこれにログインして繋げて。ログインで通知が行くように設定しておくから。常にバッテリー充電しておいて】


【ところで、友奈、何でこんなこと出来るの?】


【だってそういうの專門だもん。琴美、壊れちゃったそれ、ちょっと見せて】


琴美は、スマホらしいモニターを友奈に渡して、


【友奈のくれたのあるから、それ持っていっていいよ。もう壊れちゃったから】


【うーん、これ壊れてないんじゃないかな?えーと、これで…ほら直った】


琴美はそれを受けって、


【友奈、ありがとう!!】


【外れていただけ、バッテリーがね】


【……ごめん。私詳しくなくて、こういうの】


琴美は、友奈の設定したモニターを見ながら、


【霊界との通信が専門なの?】


【それは違うって。応用出来るかな~?ってね】


【嘘?賭けだったの?】


【バレちゃったね。上手く行ったからいいじゃん】


【……それにしても凄いね。でも何かあったら繋がらなくなるね】


【それはこっちからアップデートするからね。メンテナンスも兼ねて。その間繋がらなくなるけど】


【すごっ!!!何から何まですごっ!!!】


【そう凄いな、私って。こう上手く行くなんて】



……………………………………………………………



何か楽しそうに話していたな。琴美と友奈。


俺はシャワールームから出て、


【シャワーありがとう!!こっちのお湯って柔らかいんだね。あー気持ち良かった〜服もありがとう】


琴美は、寂しそう…


【うん…じゃ、そろそろ出発しよう。零、友奈、気をつけて帰ろう。途中まで一緒に行くから。名残惜しいけどね。これ、友奈のタンクトップね】


【えっ、私もタンクトップに?】


【そう。怪しまれないように着て】


【私のナイスバディ、零に見られちゃうじゃん!!】


【……】←俺

【……そだね…】←琴美


普通、自分から言わないよな。


友奈は、


【何、その反応?似合わない?琴美より大きいと思うけど…】


うん。ある部分はね…


【…似合ってる…それと琴美はここでいいよ。念のため。もし琴美に何かあったらそれこそ俺は…】


【そうだね、琴美。この公園なら大丈夫。零はよく知ってる。私もだいたい知ってるし、大丈夫】


【……解った。それじゃ零、友奈。さようなら〜じゃなくて、またね~】


※ギュ~※


【琴美からギュ~は嬉しい!!】


※ギュ~※


【いてて…ほんと最後の最後まで痛いってば…零、大好き!!友奈も大好き!!元気でね~!!】


【琴美、このブレスレット離さないから!!】


友奈はブレスレット無いことに気がついて、


【あー。それ気に入ってたのに〜私がもらったのに。零のはどうしたのよ!!】


 友奈は事情知らないからな。説明は面倒だから後で。


ありがとう、琴美。


【琴美、じゃ。またね〜】


※バタン※


……………………………………………………………


 あの公園に着いたら、琴美に言われた通りにすれば帰れるのか。探してくれてるみんなを安心させないと。








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