第22話 霊界

【ルック、お留守番ありがとう!!】


※キューン、キューン🐕※ 


【なぁ、ルック、聖奈は転勤中止になったよ。暫くはここにいると思うよ。ルックはうれしい?】


※キューン、キューン🐕※ ランラン!!


【親父達聞こえた?ルック、ランランって言ったよな?間違いなく】


親父もウキウキ、ランラン♪


【それはお父さんの声だね】


【そう、俺の声だね♪】


なんだよ、それ。そんな訳ないだろう。


 そんなに嬉しいのか?ほんと聖奈のこと大好きなんだな、親父。


【お母さん、俺、牛肉買いに行ってくる。今夜は、すき焼きにしよう】


【そんな高級取りでも無いくせに。いいの?】


【俺の今月のお小遣い全て使って買うさ】


親父、無茶言ってる。でも微笑ましいな。


 聖奈が転勤だって聞いて寂しさを紛らわすことしか考えて無かったもんな。


【聖奈も俺みたい人と結ばれるいいのにな。とにかく優しさを持ってる人。それがなければ認めん!!】


【お父さんは、言うほど優しくないと思うけどね。それにほとんど家にいない人と結ばれるほうが不幸。聖奈は零みたいな人がいいって、ねっ、零?】


【……】


お袋、何、それ?俺にフルなよ。


【何だ、零もそんなに聖奈のこと大好きだったのか?俺も負けずに大好きだぞ!!】


……親父、たぶんそれとは違うけどな、意味が……


【お父さん、早く肉買ってきて。国産のだよ】


【おっと、じゃ、行ってくる。他にも必要なものも買ってるからな。ポイントカードもくれ。それじゃ。早く戻るからな】


 忘れるな、肉以外は全て。もちろんポイントカード出すことも。


お袋は、


【お父さんあんなに喜んでる!!ほんと聖奈のこと、不器用だから素直になれなくて、でも空港であんな大泣きして、あれでも何とか父親やってるんだね。同じ聖奈のこと大好き男として。どうなの?】


【お袋、それは、姉として好きだけどさ】


【聖奈のこと姉としてって、思えるの?】


【ど、どういうこと?そ、そ、それは!?】


【そんな、あからさまに同様して…それはどうでもいいかな。いずれ、なるようになるから。ところで、今日はこれからどうするの?用事あるの?】


【ちょっと出掛ける。夕飯には戻る】


【聖奈、帰ってきたらすぐ夕飯にするからね。それと零の用事の帰りに買ってきてほしいものが、ネギ、豆腐、えのき、えーと…】


【ちょっとちょっと、後でメールしてよ。それにさ肉買いに行ってる親父に頼めばいいじゃん】


【忘れるから、あの人は絶対に!!たぶん他にケーキとか買ってくるよ。とにかく零にメールする。後で見て。頼んだよ】


【……解ったよ、もう。面倒だな】



……………………………………………………………



 俺は確認したいことがある。家では聞かれたくないんだよな。


さっきの声だ。琴美の声だ。


 もう聞くしか無いな。友奈に。思い切って電話するか。それしかない。霊感の強い友奈なら。


……国際電話だからね、早く出て!!……


※【もしもし、友奈ですけど、え〜この番号って零?国際電話だよ。高いけどいいの?】※


【友奈、元気だった?早速要件だけど、琴美の声が聞こえて、それと聖奈が転勤中止に…知ってる?】


友奈の転勤先と同じだもんな。何か知ってるよな?


※【この地区、急激な治安悪化で、空港も閉鎖してるんだよ。そのために全て無しになったの】※


【友奈?大変じゃないか、それ。友奈は?大丈夫?】


※【とりあえず外出禁止に。たぶん政府の専用機で退避することになると思う。この内容のニュース見てないの?】※


【ごめん、今、空港から帰ってきて…】


※【そう。急だったからね。とりあえずこれ以上の詳しいことは解らないけど…琴美って、何?】※


【ああ、琴美ね。あのさ、空港で聖奈を止めてって!!声が聞こえてさ。どの道欠航になったけどね】


※【ああ。それね。もしかして霊感強い零だから聞こえたのかも。でもね、そういうこと良くあるから。不思議じゃないよ。私は良く聞くよ】※


【マジ?それよくあるの?】


※【私くらいになるとね。それと琴美の声って言ってるけどここ最近、実際に会ったりした?零が前に会ったのとは別に、ここ最近に】※


【遊園地の👻屋敷で…あの遊園地覚えるだろ?占い師に化けていただろ?友奈…あの後、聖奈たちと行ってさ、そこで、ほんの僅かな時間だけど会った】


友奈の沈黙、思い出したくなかったのかな?


暫くして、友奈が、


※【👻屋敷だけに、占い師に化けて…】※


 そんなくだらないこと考えてやがったのか。これ国際電話だぞ。高いんだぞ。


※【……零?繋がってる?】※


【…友奈、それで?】


※【その反応辛いって!!ちょっとは触れてよ!】※


【それ触れたら、つけあがるだろ…そんなこと言える女性に見えないよな〜元学校のアイドルなのに。みんな知らないよな、こんな友奈のことはさ】


※【そう?普通だと思うけどね】※


【国際電話何だから早く教えてよ。とにかく琴美と会う方法を】


※【無理だよ、霊界に行くとか。気になるのは再び会ったこと、聞こえたって声。霊界との距離が近くなってるのかな〜ってことくらいだね、私に予想出来ることって。それは喜べることではないけど】※


【何で?琴美と会えるかも知れないんだよ!!】


※【この世界と霊界が一緒になったら?生死となる基準は?そうなると…予想だけど全ての秩序の崩壊、やがて全ての崩壊に繋がる…】※


【そんなことない。だって再び会えて嬉しい人々なんてたくさんいるだろ?喜べることだろ?俺だって琴美に会えたら嬉しいことしかない】


※【零みたいな人だけならいいけどさ。あっ、緊急放送だ。ごめん、切るね】※


【気を付けて、早く戻れるといいね】



……………………………………………………………



現実世界と霊界の繋がりか…本当にあったらな〜


現実問題は、通話料!!!当面節約だな。


※ブーブー※ 


📧…夕飯の買い物って内容だろ、これ。



……………………………………………………………



※キューン、キューン🐕※


【ルック、お出迎えありがとう!!】


【買ってきてくれた?📧の内容の野菜】


【大丈夫。どこが安いとか、この店とか、かなり面倒だったぞ】


【あー、それで、こんなに遅かったんだ。でも助かった。お父さんやっぱりケーキ🍰買ってきて肉以外何もすき焼きの材料買ってきてないんだよ】


 親父ってそんなもんだよな。料理してるのとか俺は見たことない。


聖奈が帰って来てる。早かったな。


【零、荷物ありがとう!!もしかして中身見た?】


【そんなことする訳何だろ。部屋にあるから】


【あー。良かった!鍵掛け忘れたからさ。じゃ、すき焼き食べ終わってからこれからのこと話するね】











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る