第19話 恋してる?

【聖奈、もう大丈夫だ。ありがとう】


【零、私につかまってて。体重かけていいから】


そんな、恥ずかしいよ。でも、確かに足元が…


【ほら、無理しないで!!!】


聖奈の肩を借りて、少しずつ少しずつ歩き出す。


【そこ!!リタイアの扉がある。出よ】


【ごめん、情けないな〜俺…】


 これじゃ俺が👻屋敷でビビって腰抜かしてるみたい。恥ずかしい…


【そんなこと無いって。出よう】


俺達はリタイアの扉を。暗闇から一気に明るい空。


【眩しー、凄いいい天気!!零、観覧車乗ろう!】


【みんなは?待たなくていいの?】


※ギャーギャー、ドタバタ、ギャー、ドタバタ※


【ほら、当分出てこないよ。行こう!!すぐ戻ればいいからね。ほら、観覧車空いてる。ラッキー】



……………………………………………………………


 

半ば強引に乗せられて、聖奈は俺に、


【零、あの👻屋敷で何か出たの?】


【あのさ、この世界と繋がる世界ってあるのかな?あの部屋でリンクしてるってことあるのかな?】


【ゲームの世界だね、その話は】


 現実だとは思うけどさ、無理かな?理解してもらうのは。


【……信じてないね、俺のこと】


【信じてるけど、そんなことあり得ないよ。何かの見間違いだよ】


【でも、話したし、触れたりも】


【触れた?誰に?幽霊?】


【琴美…】


【零…頭ぶつけた?】


【ぶつけてない、信じないなら別にいい…】


【ごめんね、信じるよ、零のこと。それで、琴美ってメモに書いてあった人?その人が零の彼女さん?】


【何と言うか、彼女っていうか、かけがえのない女性。ずっと思い続けていきたい女性】


聖奈は、うつむいた。


俺も何となく聖奈の気持ちを理解した。


【聖奈、俺は、】


【解ってる!!零の気持ちは解ってるよ。そろそろかな〜戻るの】


【何、戻るって?】


【前のとこに。打診あってね、私もそのほうがいいかな〜と。ルック🐕の散歩やお母さんのことよろしくね。実はどうしても、零と思い出の作りたかったんだ。それで強引に、ごめんね。楽しい思い出ありがとう…ありが…とう】


聖奈…ごめん


 泣きだしそうな、我慢している聖奈を、自然と抱きしめていた。聖奈の気持ちに答えられないことを謝っている俺がいた。


 血の繋がりのない姉と弟。俺も聖奈のことはずっと大好きだった。それは姉としてだけど、その気持ちも姉としてではなく、一人の女性として。


聖奈の様子から察していた。鈍くても解る。


【聖奈、こっちに残ることは出来ないの?昔のように仲の良い姉と弟には戻れないの?】


【すぐには無理だよ、零。もう嘘つけないよ。でもね、少し吹っ切れたような、琴美って女性のおかげかな?ありがとうって言わないとね】


【ルック🐕やお袋のことは任せて】


【出世して、向こうでいい男つかまえて、幸せになってやる!!!後悔するよ、零。こんないい女を手放してさ】


【後悔するかもな】


【するって!!!今度戻って来るときは結婚報告だからね。あ〜あって、ならないようにね、零】


【じゃ、暫くお別れだね】


【そうね、ところで、いつまで抱きしめてくれているの?】


くれている?って言葉はおかしくない?


【そうだな〜俺の気が済むまで、かな?】


【自分勝手〜でも、何か暖かくて幸せ!!】


 そろそろ着いてしまうな、観覧車のドア開く前に離れないとな。


【零、琴美って人に今度会わせてね】


【解った…聖奈、そろそろ下に着くから】


【だ〜め!!もうちょっとこのままで…】


※お疲れ様でした〜足元お気を付けて※


ふー、危なかったよ〜


聖奈、いたずらっ子ような目で、


【ふふっ、零、ドキドキ💗してなよね?】


【当たり前だろ!!もう少し遅かったらさ】


【そうじゃなくて、もう〜解ってないな…】



……………………………………………………………



【おーい、零、何勝手に観覧車乗ってんだよ。お前、聖奈さんと乗ってたのか?羨ましいぞ。弟だろ?おかしくないか?】


【聖奈〜ブラコンにも程があるよ。もう!!弟くん、私とも観覧車乗ってよ〜聖奈ばっかズルい】


俺は困ったが、聖奈は、


【いいでしょ〜私だけの零!!!って冗談】


聖奈の友達は、???って雰囲気で、


【聖奈、冗談に聞こえないよ…ほんと姉と弟?】

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