第18話 分岐点

【うわ、ここ…ほんとに出るって噂の…】


みんな怖がってるね、👻


【大丈夫!!俺達がガードします。ご安心を】


 英二と友達たち、凄く張り切ってる。聖奈が連れてきた女性陣もかなり可愛い。類は何とかだね。


俺は昔入ったような?入ってないか?ふぁー眠い…



………………………今朝の出来事……………………



【聖奈、零、どっちでもいいから散歩連れてって。ルックの散歩、私ばっかりだから。最近、零行ってないでしょ?】


【行ったよ。今週聖奈だろ〜】


【女性は準備があるの!!お願い変わって。零♥】


なんだよ♥って…もう…


甘えられると弱い俺。聖奈は親父にも甘え上手。


【じゃ、俺は、散歩行ってくるよ。お前は眠くないのか?】


【零、やっさしー!!】


 これだよ〜俺、準備簡単だからいいけどさ。なんで聖奈はこんなに時間かけてるんだ?


※キューン、キューン🐕※ ランラン♪


ルック喜んでる。じゃ、とことん歩こうね。


このあと遊園地なんだけどさ…


遊園地も意外と歩くんだよな。



……………………………………………………………



【零くん、始めまして〜うわ、可愛い弟!!聖奈いいな〜こんな可愛い弟ならもらいたいくらい!!お友達もいい感じ!!】


 さすがにお世辞と解ってる。でも、ちょっと嬉しいです。チヤホヤされて…


【零は、あげないよ〜駄目駄目!!】


【ほんと、弟想いだよね〜何か買う時も弟はこれ好きかな~とかさ。ほんとに姉弟?彼氏みたい…】


【ちょっと、ちょっと変なこと言わないでよね】


【こんな可愛い弟くんいたら、仕方ないね。私も同じになるね、きっと】



 そう言えばさ、可愛いって、それって、ディスられてない?



【あっ。ここです。ここが有名な👻屋敷で、ほんとに出るって有名になって、それでですね……………ヒャッ!!!何?】


【どうしたの?、英二くん】


【今、何か通って…急に寒気が…なんですかね】


通用しないよ、そんなわざと怖がらすことなんて…



あれ、みんな、どうしたの?



【零、これ入るのやめない?なんか気になる…】


聖奈がしがみついてきて、怯えている。


それを、英二が見ていて、羨ましいそうに。


【聖奈さん!!俺達が守ります。それとエスコート、俺にさせてください!!!】


聖奈は渋々って雰囲気で、


【うーん、じゃ、お願い…】


【ありがとうございます!!零、お姉さんは任せて】


👻よりお前のほうが危ないけどな…


 英二の連れてきた友達も、聖奈とペアになりたいんだろうな。



……………………………………………………………



入ったはいいが、前がつかえてる。


 俺は聖奈の連れてきた友達とのコンビで、うん、なかなかの可愛いって言うよりも大人〜って雰囲気だね。



【弟くん、👻怖くないの?】


【零で、いいですよ。怖くないですけど】


【零くん、頼りになる〜じゃ、つかまらせてね】


いや〜これは、嬉しい!!年上の女性に頼られて。


緊張で汗が…デオドラント効果大丈夫か。



何してんだよ、早く行けよ、何でつかえてる?



扉の向こうで、もう、俺達が入れないじゃん。


【聖奈たち、だよね?何かあったのかな?】


【英二、ビビリなんですよ。カッコつけて、あいつ。強引に開けてしまいますか?】


【そうだね。これじゃね。私達で追い抜かそうよ。よーし!!】



※バタン※



何してるの?英二?腰抜けてるのか?


【零、ヤバいって。ほんとに出た!!】


【だからやめようって言ったのに〜】


 何だよ二人して。どうせスタッフだろ?スタッフ演技がとても…



あれ?なんだろう…この感覚は。



知っている!!間違いなく知ってる!!!!!この感覚は。



⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡



誰もいない…何で急にいなくなった?


扉からも何も聞こえない。


でも、この感覚は知っている。



静かすぎる部屋だ。


ただ何も感じなくなって、音も人の気配も。



 俺とペアの女性、聖奈と英二がいたと思うけど、みんな、どこ行った?先に行ったか?


俺の後ろから…わっ!!焦った〜女性?


【ほんとに霊感強いんだね。まさかここにリンクして来るとは…大丈夫そうだから来て!!】


 可愛い、とても可愛い、ちょー好みの女性が手を引っ張って、


【俺、きみのこと知ってるような…】


その女性は立ち止まって、


【嘘でしょ?思い出せるわけない…効かないの?】


その女性は、その女性は!!!!!


 一気に思い出した!!とてつもないオーラが俺を包んで…立ってられないや…


【零、大丈夫?大丈夫!!!意識保ってる?】


【ああ、大丈夫だ、琴美…】


琴美?俺、琴美って言った?


………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………


琴美!!!


【思い出した。琴美!!!会いたかった】


強く強く抱きしめて、


【ちょっとちょっと、痛いって…】


【ごめん。でも、もう少し…】


【解ってるよ、私も会いたかった】


もう離さない!!!!!何もかも思い出した。


 あのメモのことも、一緒に散歩したことも、デートしたのことも、そして、何よりも好きになったこと、大好きに、大好きに、なったことも。


【何でいなくなったんだよ!!!会いたくて会いたくて、でも、記憶が曖昧になっていくことで不安もあって…】


【ごめんなさい…零】


【もう離れるよな!!離さないけどな】


 俺は強く強く抱きしめて…琴美の存在を…腕の中に琴美は確かにいる。


【零、こっちへ来ないで。駄目だよ。零とは違う世界にだから】


【何言ってるんだよ。離すことなんかしない!!】


【零…嬉しいけど…】


【俺といたくないから離れたの?】


【違う!!絶対にない。私は…あっ、これ以上は…】



⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡⚡



【弟くん、大丈夫?】


【零!!大丈夫か?】


【私が支えてる。ゆっくりゆっくり寝かせて】


ん?なんだか人が多いな。どうしたの?


【気がついたみたい…良かった〜零、もう心配させないで。あっ、起き上がらないで】


聖奈に支えられてるのか?聖奈の腕の中に…


心地いいな…とても安らぐ…情けないが。


それを見ていた聖奈の友達は、英二に、


【英二くんだっけ?ここは聖奈と零、二人にしてあげない?それとも私とじゃ嫌かな?】


【そんな、とんでもないです。零は大丈夫そうなので、では、エスコートします】


ここでペア交代。聖奈と俺になった。


聖奈は俺を支えてくれている。恥ずかしいな。


【ごめん、大丈夫だから】


【駄目!】


【聖奈?】 ※泣いている…?※


【もしさ、もし、零に何かあったら…わーん😭】


【ちょっとちょっと、大丈夫だから泣かないでよ】


こんなに大泣きする聖奈って。


 聖奈に包まれて、大泣きされて、聖奈の涙が俺に伝わって、どうしてそんなに泣くの?










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