第16話 デート?

 聖奈、普通に喜んでる。これって目的完全に忘れたな。何かここであったような気がして調査に来たんだよ。


 でもさ、でも、聞かされているんだよ。聖奈は姉。血の繋がりのない姉。それ聞いてしまうとね。

変に意識してしまう、姉には変わりないのに。


【零、どうしようか?何かここで思い出すこと出来そうかな?】


 うん。普通に話せる。良かった。目的思い出したね。やっぱさ、姉ちゃんに変わりないね。俺も気にしすぎてたな。


【思い出すにも、このメモっていつ書いたのかな。俺はそれすらも思い出せない】


 困ったな~。せっかく聖奈も協力してくれているのに。何か手はないか?どうにかして思い出すことは出来ないか?


【零、この占いの舘って…ここで何か見てもらおうよ】


【アトラクションじゃないのこれ、それとも本当に占い?】



……………………………………………………………



【こちらへどうぞ】


 占い師は小さな声で案内してくれた。何か不思議な部屋だな。紫と青で包まれた部屋。


【あの、俺達の知りたいことは、】


俺が話す前に、


【言わないでください。貴方達からは何か特別なオーラが…これはとてつもなく…】


何、何のオーラ?


聖奈も俺も黙っていると、


【貴方達のような恋人の関係の行く末は…】 


恋人になってる…違うから!!


【ちょっとちょっと、違います!!俺達は…】


【違いません。少なくとも女性からは強く強く感じます。大きな大きな愛が、想いという…】


聖奈は、恥ずかしそうに、


【…零、出よ!!ここはもういいから…】


【とりあえずここに来た目的を伝えてから】


占い師は、


【あなたの目的…叶わないと思います。何故ならこの世界にはありません】


何言ってるんだ…この占い師は?


【あのですね、俺達は何も解らなくてここに…】


聖奈は黙ってる。困ってるような感じも。


【零、私出てるから、ごめん!!!】


【どうしたの?なにか慌ててない?】


聖奈は飛び出していった。お金払ったのにな〜


【占い師さん、どういう意味ですか?抽象的でなく詳しく教えてください】


【彼女さんはよろしいのですか?】


【だから、あの人は彼女でなく、姉です】


【違います】


何が違うんだよ!姉だって!


【姉だって言ってるじゃないですか!】


【血の繋がりのない女性ですよね?違いますか?】


!!!!!、何で????? 


血の繋がりのないって言い当てたのか?



本当に見えているのか!!この占い師…



占い師は、


【ここに来た理由も、あなたは解らないってことですね。その答えは、あなたはもう会えない女性を探しています】


女性、それが、このメモの…琴美!!!


【そこまで解っているなら、占い師さんのこと信じます。で、その会えない女性がこのメモの琴美って女性なら、何故会えないって言い切るのですか?】


【それは…とても伝えにくいのですが、この世界にはいないのです】


そういうこと…俺でもピーンときた。


【そういうことだったんですね。でも、会ったことには違いないからメモがあるってことですね】


【その女性はあなたに会うためだけにこの世界に来ました。それも幽霊として…ごめんなさい…】


ごめんなさい?ごめんなさいって?


【何で謝るんですか?謝ることなんて…】


【こうするしか…無かった…ごめんなさい。聖奈さん】


誰だ!あなたは?何故、聖奈の名前を…どうして?


誰なんだ?そのマスクとかで顔が解らないが、


この女性って…


【ごめん。ちょっと、取るよ】


【駄目です、困ります】


 俺は強引にマスクを、不思議なデザインのフードも、無理に取って、



あーーーーーーーーーーーーーそれで解ったのか!!



【友奈!!何してんだよ、ここで】


【ばれちゃった…】


【聖奈、でていっちゃっぞ】


【本心だよ】


【何が本心?】


【鈍感!!何で解らない!?】


そんな怒られることしたか?俺は。


【ずっと零君のこと見てきたの聖奈さんだよ。その想いただの姉の優しさと思った?そんなふうに弟として聖奈さん零のこと見ていたと思った?】


弟として、じゃなかったのか…


友奈は、


【追いかけて、急いで!!】



……………………………………………………………



 俺は占い師の舘を飛び出して、ベンチに座ってうつむいてる聖奈を見つけて、


【聖奈!!】


【零…ごめん。前から友奈に頼まれていて。零がどうしても知りたかったことを友奈が伝えたいって。でも、私のことは話してほしくなかった。聞いちゃったよね?それは友奈の優しさ…怒らないけど。忘れてね、私のことは全部】


忘れられない。友奈の言ったこと。


【聖奈、ごめん。俺が鈍くて】


【大丈夫。これからもずっと弟。よろしくね、零】


【うん。今日はありがとう】


聖奈、泣いていたな…手で涙を拭って、


【友奈のとこ行ってくるね。すぐ戻る】


【うん】


姉だと思っていた聖奈をこれからどう見ていけば…


 それにメモの琴美って、何故こんなに気になったんだろう?全て解った訳では無い。


 記憶がほぼ無いってことも気になる。友奈だけは知っていた。友奈の強い霊感ってものなのか?


まだ知らない何かがあるのか?



若い女性達が話しながら、


※ねえ、知ってる?この遊園地の👻屋敷のこと※


※何、何か本当に👻出たとかで中止になっていた時期あるって話は聞いたことあるけど※


※霊界と繋がってるって噂も※


※霊界?そんなある訳ないじゃん※


※だよね〜噂だもんね〜※


女性達の話の、霊界って、なんだろう?


存在するものなのかな?









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