第15話 思い出してみせる

何かとてつもなく、大きな出来事があったような…


 ずっと昔のような、最近のような、何か記憶から空白があるような…なんだろう?このモヤモヤしたものは。なんかひっかかるんだよな。


 明日休みだから、今夜は出来そうだな。聖奈と、オンラインゲーム。これで、この気持ちリセット出来ればいいな。


【聖奈、ちょっとステージ手伝ってくれない?どうしても攻略出来ないとこあって。夕飯の後でいいからさ】


【いいよ〜いつものケーキ🍰&ワンドリンク☕で】


ケチっ!!俺より給料いいくせに。


お袋は、


【仲いいのはいいけどさ〜金曜日の夜に。誰がいい人いないものんかね〜零はともかく、聖奈は会社でモテるでしょ?】


【いないも〜ん】


俺はともかく?お袋、ひどくない?


【お互いいい年なんだからさ、浮いた話でも聞きたいな。何か二人を見てると姉弟っていうより彼女彼氏みたいに思えてくるよ】


【……】 二人して無言。


変なこと言うなよ、気まずいじゃん。


養子なんだからさ、聖奈は。そして俺の姉。


血の繋がりなくてもさ…


【零、いつから姉ちゃんとか姉貴でなく、聖奈って呼ぶようになったの?不思議に思っていたけど】


【……まぁ、何となく、養子って聞いてから。姉ちゃんって言ってるのもどうかな?って。ほら、それにさ、こんな素敵な女性だからさ、なーんてね】


お袋、聖奈、二人でびっくり(@_@;)


【えっ、零、お世辞でも、嬉しい!!】


お袋は、疑ってきて、


【零、あんた何かあるでしょ?そんなこというなんて。聖奈もびっくりしてるじゃない!!】


ヤベっ、何気なく言ってしまった一言が…


 意識しないようにしてきたけど、養子って聞かされて、それに素敵な女性には違いない。


【あっ、それは、その…】


聖奈は、ポンっと肩を叩いて、


【ゲームね。あー、そういうこと。ケーキ🍰はいいや、とか甘いこと言わないよ!!そんなお世辞言っても。ケーキ🍰だけに甘いって!上手い!!!!!】



寒いぞ、それ😱



お袋は、呆れた表情で、


【聖奈、あんたキャラ変わったね。そう言えばお父さんが家族旅行考えているみたいだよ。あっ、これナイショだった!!】


【えー、私はパス】

【俺もパス】

🐕いるじゃーん。無理だろ。


【お父さんがっかりするよ~せっかく海鮮焼と焼き肉食べ放題付きの見つけたのにって】


【私行く!!!】

【俺も行く!!!】


【やっぱあんた達姉弟だよ。🐕も泊まれるとこだから、お前も楽しみね】


※キューン、キューン🐕※ ランラン♪♪♪


やっぱ、ランラン♪って言ってない?


そんな訳ないか…


【聖奈、早く食べてゲームやろ】



……………………………………………………………



※ここクリア出来れば、あとは大丈夫。助かるよ※


※ケーキ🍰ケーキ🍰ケーキ🍰!!!!!※


※解ってるよ。忘れてないから。それに、オンラインであまり言わないほうが※


※フレンドリーだから大丈夫。他にいないじゃん※


※それはそうだけどさ。じゃ、聞いていいかな?※


※いいよ。何?何か聞きたいの?※※


※俺が名前で呼ぶの駄目かな?姉貴っほうがいい?※


※別に全然気にしないよ。どっちでも※


※何で?俺、いつから名前で呼ぶようになったんだろ?※


※何か大きな出来事あったよね?あの時からじゃない?※


※思い出せないんだよ。その出来事のこと、確かにあったんだけどさ※


※何でだろうね。あっ零、クリアしたね!!※


 いくらフレンドリーでもさ〜さすがにオンラインで、名前って、どうなの?



……………………………………………………………



もう、朝か。ゲームつけっぱなしだった。


 あれから聖奈はログアウトして、俺は調子に乗って、途中で寝ちゃったから…難航していたステージはクリアしてある。聖奈のおかげだけど。



あれ、この引き出しのメモって…



※コンコン※


【聖奈、入るよ】


………………返事がない…………寝てるのか?……


※コンコン※


【聖奈…寝てるの?】


【ん…零?いいよ…開けて】


※ガチャ※


【やっぱ何かあったよな?このメモ偶然にみつけて…何もなかったらこんなの残すか?ふつうは】


琴美、彼女、遊園地、同級生、🐕散歩、👻屋敷※


【これ、彼女って、俺にかな?】


【零、何か思い出せた?】


【何も思い出せない。琴美って?】


【これ、零、遊園地に行かないと。そこでなにか解るかも】


【👻屋敷ってあるけど、聖奈駄目でしょ?】


【零のために頑張る。何も解らなかったらきっぱり諦めて】


【そうだよな…遊園地に行って何もなく、解らなかったらか諦めるしかないな】


【じゃ、その時は私の彼氏になってよ】


彼氏?そんなの無理に決まってるじゃん!!


【あのさ、連れて歩くのはいいんだけど、聖奈の彼氏にはなれないだろ…お袋の手前さ…なれないことは無いんだけどさ】


何ていう発言してるんだよ、焦るぞ〜これは!!


【零、勘違いしていない?遊園地にいる間だよ】


なんだ、そういうことか。焦ったよ〜


【じゃ、遊園地の間だけ、よろしくお願いします】


【はい、彼氏さん、リードしてね】


 すっかり彼女きどりだよ。不思議と隣に連れて歩くのは…悪くない。


【よし、すぐ行こう】


【俺が残したメモの遊園地って、たぶん、近くの遊園地だね】


【私、着替えてくる】 ※ランラン♪※


あれ?あいつ、ランラン♪って言ったような…


※キューン?🐕※



……………………………………………………………



 とりあえず入ってヒントになるアトラクションを。と思ったが👻屋敷か、大丈夫かな?


【これ、これ、乗ろう!!】


【聖奈、これ👻屋敷じゃないよ】


【うん、解ってるよ。これ乗りたかったの】


何か、普通に、楽しみに来ていない?聖奈…







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