第12話 思い出せない

俺は誰と付き合っていたんだろうか?


琴美ってメモがある。書いた記憶がある。メモは、



琴美、彼女、遊園地、同級生、🐕散歩、👻屋敷



何で書いたんだろう?


何もかも記憶が薄れていく。


 そんなことをなんとなく気にしながら、ゲームをしてる俺って。



※こら、集中して。私ばっかで突破してるじゃん※


※ごめん、助かったよ※


※何か集中出来ない理由あるの?※


※大丈夫。集中する※


※零、悩みごとなら直接聞きに行こうか?※


おい、身内ってバレるじゃん。オンラインで…


※あっ、ごめん。零ったあだ名で呼んじゃって※


遅いっての!フォローになってないよ。姉ちゃん。


※ごめん。やっぱ集中出来ないや、ログアウトする※



ふ〜、集中しないとこんなにヘタクソなんだな。



※コンコン※


【どうぞ】


【零、入るよ】


【姉ちゃん、ゲームごめん】


【うん。しょうがない。無理してなんてさ】


【相談したいことあるんだけどさ】


【いいよ。聞くよ】



俺はメモを見せて、覚えてる範囲で説明を。



【零、これは本当にあったことなんたよね?】


【うん。不思議なことに姉ちゃんも記憶ないだろ?メールも。このメモも覚えていないんだよ。徐々に記憶が消えていく感じで。何なんだろう?】


【琴美か…友奈は?何か知ってる?同級生だよね?】


【明日出勤で聞くしか無いな、友奈に】


【私から聞いてみるよ】



……………………………………………………………



【零、起きなさい!ご飯用意できてるから】


ああ、憂鬱な月曜日か…でも友奈に聞かないとな。


【零、おはよ】


【お袋、姉ちゃん、おはよ】


【零、聖奈のことよろしくね。満員電車って心配たから。守ってあげなさい】


【お母さん〜私大人だよ。大丈夫だよ】


【心配なの。それとも女性専用車両に乗る?】


【零と行く】


【じゃ。零、聖奈のことお願いね】


【うぃ〜〜す…】 眠い…



……………………………………………………………



【聖奈さん、おはようございます。零、おはよ】


【友奈、よろしくね。零も途中まで同じ電車だからいいかな?】


【もちろんです。じゃ、女性専用車両でなくていいですね】


二人、ほんとハイスペックだよな。


姉ちゃんも友奈に負けてないや。


【友奈、零から彼女のこと聞いてる?】


俺のメモを写メに撮ってあって、それを友奈に


【彼女?聞いてないです。もしかしたら覚えてないだけかも。ごめんなさい】


【いいの。こっちこそ、変なこと聞いてごめん】


やっぱ知らないよな。そうだよな~


友奈は、俺に、


【あの〜噂なんだけど、全然関係ないけどね、ちょっと気になることがあって。あっ、次着いちゃう。今度詳しく解ったら伝えるから。じゃ、零くん】


【友奈、解ったら教えて。姉ちゃんをよろしく】


【零、今夜遅くなるから】



……………………………………………………………



友奈が電車の中で話してくれてからから数ヶ月…


 姉ちゃんとは時々ログインして二人でゲームしてるけど、頻度は少ない。姉ちゃんって解ったから。


 少しずつ、少しずつだげど、友奈に話したことさえも忘れ始めている。


メモだけは大切に保管してある。


※バタン※ 


【零、明日暇?】


【普通に仕事だけど。あのさ~いきなり開けないでよ。せめてノックしてから】


【ごめん、ごめん。友奈からメール来たでしょ?】


【メール?来てないよ】


【迷惑フォルダに入っちゃっかな?よく見てみて】


迷惑フォルダか。えーと、入ってる。


📧※明日有休取得して私に付き合ってくれますか?※


【何だよ、これ。急すぎる】


【とにかく伝えたからね。あとは友奈とメールで】


【解ったよ。必ずノックして…聞いてないや】


友奈に返信と、


📧※仕事だけど、終わってからでいい?※


いきなり休めないって、もう返信きた。早っ!


📧※じゃ、今週末ならどう?お願いします※


📧※通勤で話せるじゃん?そこで※


📧※聖奈さんがね、同じ場所にいない時でないと※


えっ、意味深…ドキドキ💗


📧※解った。今週末に※



……………………………………………………………



今週ほとんど眠れなかった。不眠症?


友奈と二人で会うんだもんな~


【零くん、お待たせ。いこ!】


【うん。何処へ?】


【いいから着いてきて】


友奈に連れられて、何処へ行くんだ?


【友奈、何処へ行くって?何で教えてくれないの?】


【あなたの記憶を試しているの。先入観は無しで確認してほしいから】


 先入観?なんのこと?何もかも解らない?何で教えないんだ?こっちは友奈と二人でドキドキ💗だぞ。



……………………………………………………………



ここは遊園地。記憶ってここのこと?


【零くん、私も信じてないけど、ここの遊園地の👻屋敷、本物が出るって知ってた?】


【友奈、👻屋敷に入るためにここに?そんなに👻屋敷入りたかったの?先入観関係ないと思うけど】


【いいからいいから。私だって怖いんだ〜】


【訳解らん。👻屋敷入ればいいのかな?】


 幸い👻屋敷は平気だ。ゲームのせいかホラーには強い。友奈は怖がってる。それもそれで嬉しいが。


 くっついてくれる可能性が高いからね。友奈は何で俺とここに?期待していいのかな?期待するぞ。


 そもそも👻屋敷で初デートなんて、親密になれるチャーンス!!!!!


【零くん、怖くなってきちゃった…】


【じゃ、入るのやめる?その他のアトラクションにする?】


【駄目!ここで無いと】


ここでって、確かに親密になるには、ここだね。


【友奈、じゃ離れないで】


【うん。出たら言うね】


【怖いこと言うなよ】


二人して👻屋敷に。中ではギャーギャー言ってる。


※バタン、ギャー!!泣いてるよ〜※


【零くん、泣いてるって。何が?】


【👻だろ。スタッフも大変だな】


【出たんじゃない?本物】


【そんな訳あるか…あるのか…怖くなってきた】


【零くん、見てきて。大事だから私も頑張る】


【そんな気合、友奈どうしたの?】


【ほら、次の扉開けて】


※ギー…バタン※


可愛い雰囲気の女性。泣いてる演技もハンパない!


普通の姿してる。余計に怖いよ。


【友奈、大丈夫だよ。友奈?】


【ごめん、私リタイアする!お願いクリアして】


【じゃ俺もリタイア】


【駄目!!出口で待ってるね】


何だよ、それ。確かに👻は怖く感じないが。


この女性の演技は、怖さより寂しさを感じる。


凄いな、これほどの演技。


 後ろ向きでは解らない。でも、この女性は俺好みの可愛いって雰囲気は解る!


とりあえず、そーと、次の扉に、


※ガタガタ※ これ開かない…


じゃ、戻るしか無いかも。


※ガタガタ※ こっちも、何で?


閉じ込められたのか?怖っ!


 このスタッフの女性、演技とはいえたいしたもんだ。しかも、ここ本物が出るとか言われてるみたいじゃん。


で、次に進むには、どうすれば?


※ピンポンパンポン〜※


 怖っ!学校のチャイムみたいだ。このタイミングはさすがにビビッた!!


※アトラクションお楽しみにお客様にご連絡いたします。トラブルが発生いたしました。今暫くお待ち下さい。順次係の者が案内いたします※


 怖いんですけど〜さすがにリタイア…この部屋にリタイア用の扉、無いじゃん。そこの👻役のスタッフの人〜さっきから背中向けて泣いてるじゃん。


何で無反応なの〜ここアクシデント起きてますが?


これは話しかけるしかないな。ルール違反だけど。


アクシデント無視して演技とは…立派だ。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る