第11話 関係性

 不思議なことに、暫く黙ってる姉貴。何か言いかけたりしたけど、何かよほどのことがあるらしい。


 でも、これは少し待ったほうがいい。俺はそんな予感を。


 ずっと血の繋がりを信じていたが、別に何も変わらないのに。それでも俺とは違う何かあるんだろうな。


【ふ〜、零、ごめんね…私が言いたかったということは忘れて。それと、本当にゲームのこと騙していたみたいでごめん】


【姉ちゃん、無理しなくていいよ。それとさ、血の繋がりってほんと気にしてないから】


【ありがとう。本当に出来た弟だね。なんで彼女いないのかな~不思議?外見も普通だし、性格は優しくて申し分ないんだけど】


普通だけど、申し分ないって、微妙だよ、それ。


【血の繋がり関係なく風呂上がりは下着でうろつかないで。荷物とか届いたり、誰か来たら困るでしょ?頼むよ】


【了解!!弟よ!!】


 全然了解じゃないな。俺も何かと気を使ってしまうからさ。血の繋がり無いって聞くと余計にさ。


【じゃ、飯食いに行こう。ログアウトする。姉ちゃん後でステージクリア手伝って】


【もちろん、それは姉ちゃんに任せなさい!】


【いつからそんなに上手くなったんだよ】


【零のために努力したんだ。有休もだいぶ使って】


そんなことのために、有休使うなんて。俺のため?


【彼氏とのデートとかに使いなよ。勿体ないな】


【……彼氏か……】


【姉ちゃん?飯食いに行くだろ。お袋待ってるんじゃない?】


【そうだね。行こう。ログアウト途中でフリーズしてない?それ】


【ありゃ、先降りてて。強制終了するから。スペック低いんだよな〜新しい高性能PC買わないと無理かな】


もう、こうなると、くそっ、面倒だ!!



……………………………………………………………



【お母さん、さっきはありがとう】


【聖奈、ちゃんと話せたの?】


【話すのやめた】


【そう。それは自由だからいいけど】


【零、もうすぐ降りてくるから】


【解った。冷めちゃったから温め直すね】



※バタン※



【おー、聖奈、久しぶりだな〜随分と立派な女性になって。さすが我が娘!!Amazing!!ビューティフォー!!】


【臭っ!酒臭っ!お父さん近寄らないでよ!】


【何だってそんな寂しいこと言うんだよ、娘よ〜】


【臭いって、もう。なんでそんなに酒臭いの!!】


【酒は大事だぞ。付き合いってものはな〜】


【こら、聖奈に絡まない!!先に風呂入って!!ご飯はそれから。酔ってるからって容赦しないよ】


【ほーい…何だよ、せっかくケーキ🍰買ってきたのに。そんな冷たい…】


【ケーキはありがと。さっさと風呂!!ほら行け!!】



……………………………………………………………



【お母さん、お父さんの扱い慣れてるね】


【あの人は甘やかすと駄目、ケーキ買ってきたっとことは、おこづかいUPか、もしくは何かあるんだと思う】


【ふーん、そんなもんなのかな~】


【そんなに全てを疑ってはいないけど、お父さんなんかいいとこ無いし】


【そうなの?優しいんじゃない?私を引き取ってくれて育ててくれて】


【娘には甘いの!!どこも似たようなものだけどね、聖奈は特に待望の子供だったからね】


【そんな風に思ってくれてるんだ】


【それは当たり前でしょ。あの人ずっと娘がほしい娘がほしいって】


【そうなんだ。私で良かったのかな?】


【なにをそんなことを、当たり前じゃない】


【嬉しいな、そんなふうに言われると♪】


※キューン、キューン♪🐕※


【ケーキはあげれないけど、後でおやつあげるね】


※キューン、キューン♪♪🐕※ ランラン♪♪♪


【あれ、この子、ランランって言った?】


【そんな訳ないでしょ…聖奈、大丈夫?】


【そりゃそうだね】



……………………………………………………………



何か騒がしいな。親父帰ってきたのか。


【親父、出張から戻ったの?】


【聖奈が帰ってきてからじゃない?あの人の出張って一体?】


【ふーん、おっ、ケーキ🍰】


【後でコーヒー☕入れるから。夕飯後に】


【零、私、帰ってきて良かったよ】


何を急にそんな、


【俺も。姉ちゃんのこと、自慢できるから】


【何をいっちょ前にそんなお世辞…でも、ありがと。一応弟でも褒められると嬉しいもんだね〜】



……プシュ~…… 何だ?台所で



【お母さん、吹きこぼれてる!!】


【あっ、忘れていた!】


あーあ、吹きこぼれちゃった…


【しゃあないね、何か買ってくるかな?】


【じゃあ、私が行ってくる】


【聖奈、じゃ、零連れてって】


俺も〜、面倒…


【聖奈が選んで、零はガード。いいね】


【解ったよ。姉ちゃん行こう】



……………………………………………………………



【ここ、お弁当半額たくさん。お得〜!!】


 姉貴、大喜びだ。外見から半額とか買うイメージないんだけどな。


【零、お弁当以外にサラダも割引だから、何個か買ってこう。お惣菜も割引になってる!! …あれ、あっちに、英二くんじゃない?】


あいつも半額目当てか。偶然か?


【英二くーん、半額のお弁当こっちだよ〜】


そんな半額って大声で、姉貴、恥ずかしいよ。


【えっ、せ、せ、聖奈さん!!零も…いたんだな】


俺もいて、悪かったな。


【おー、半額!!聖奈さんが半額のお弁当なんてイメージないですね】


【なるほど、私はそんなイメージなんだね。英二くんにとっては】


【それはそうですよ。よく見ると零とあまり似てないですね。聖奈さん。姉と弟なのに】


姉ちゃん、いきなり腕組んできて、


【ちゃんと姉弟ですよ〜ね、零】


【まぁ、ね、姉ちゃんだからね】


【零、ポジション変わってくれ〜聖奈さん!!俺とも腕組んでください!!お願いします。それで全てが救われます。俺の全てが〜お願いします!】


大袈裟だな、英二。


【はい、英二くん。これでいいかな?】


何かニヤけ顔の英二…むかつく!


【マジ最高のサタデーナイト!!!】


サンデーだけどな、英二。


【姉ちゃん、買うもの買ったよな、帰ろう。腹減ったよ】


【そうだね。帰ろうか】


【じゃあな、英二】


【聖奈さん、お気をつけて。零、ちゃんと守れよ】



言われなくても解ってるさ。



【姉ちゃん、これからもさ、俺、姉ちゃんって呼んでても問題ないよね?血の繋がり関係ないけどさ】


【姉ちゃんでも、姉貴でも、聖奈でも】


聖奈なんて!!そんな呼べる訳無いだろ…


【零、試しに聖奈って呼んでみて】


【む、無理だよ】


【照れてる?】


【そんな訳無いだろ!!】


【じゃ、呼んでみて】


【……聖奈……】


【……やっぱ駄目だ〜〜〜〜〜姉ちゃんでヨロ】


そりゃそうだろ〜



……………………………………………………………



【お母さん買ってきたよ〜】


【ありがとう。な、なんでこんなに買ってきて食べれるの?半額で安かったのは解るけど。こんな食べきらないとだよ】


【お父さんもいるし、食べれるでしょ?】


【お父さん寝ちゃったんだよね…】


【えっ、そんなに酔ってたの?】


【お父さん、聖奈と暮らせるって、すっごく喜んで。あれからまたビール飲んじゃって。出張休日だったからその分明日休みだって】


 親父、そんなに姉ちゃんと暮らせるって嬉しいんだ。そんなもんなのかな?父親と娘って。


【とにかく食べよう。お父さんの買ってきてくれたケーキ🍰も。お父さんは余ったものでいいからね】


 姉ちゃん、何かとっても嬉しそう。本当にこの家に来て良かったね。








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