第9話 なにかが変わった…

【何、怒ってるの?そんなに買い物嫌だった?】


姉貴が心配そうにしてる。


【違うよ】


【友奈のこと黙っていたから?】


【違うよ】


【じゃあなんで?せっかく零と楽しく買い物出来たのに終わりがこれじゃ嫌だよ】


姉貴が子供っぽい表情で、こんな風になるんだ…


【姉貴のせいじゃない…英二のやつが、琴美のことすっとぼけて、つまらない冗談にもほどがある!!あいつ、俺が美女二人といるのがムカついたんだな】


ん?…姉貴のこと美女って、ポロッと、


 姉弟と立場で考えたら、変だけど、確かに可愛いとか美人とか合ってるもんな。友奈と並んでも互角なのは第三者的に見ても解る。


姉貴が、少し笑って、少し照れて、


【ふふっ、ありがとうね〜零。そう思ってくれてるんだね〜美女だって!私達のこと!】


【ち、違う!勘違い、いや、間違い、いや…その姉貴は違う!…いやそんなことはない…あー、もう!!】


姉貴は、パニクってる俺の唇をつまんで、


【いてて!!痛いってば!】


もうヤメて〜爪が痛いんだよ!おー、いてて…


そんなやり取りを見ていた、友奈が、


【いいな〜こんな風に仲良く出来る姉弟なんて、羨ましい…私もお兄ちゃんほしかったな〜】


羨ましいなんて、そんなことないぞ。


子供の頃は喧嘩ばっか。


姉貴は笑ってる…変なこと言うなよ…何か怪しい…


【零はね〜小さい頃から甘えん坊でね〜何かとくっついてきて、駄菓子屋行くのも、お弁当買いに行くのも、私はもうすっかりお母さん気分だったんだ。昔は可愛かったのにな〜こんなナマイキになっちゃってさ】


友奈は、いたずらっ子のような目で、


【へー、そんな風にみえなかった!!零くん、甘えん坊さんだったんだね〜可愛い!甘えん坊さん!】


友奈…もう…恥ずかしいっていうか…ヤダ…帰る。


何もかも姉貴が悪い!!


【姉貴〜〜〜!!!ベラベラとしゃべりやがって!!】


【てへっ、ごめん、ごめん】


 何か姉貴に対して、怒れないっていうか、怒りきれないんだよな。確かに子供の頃、世話になってるのは否めない。


友奈は、ぼそっと、


【お姉さんと仲いいのは解ったからさ。それで、英二くんと喧嘩したって?何で?】


これで仲良くって、友奈にはそう見えるのかな?


【あのね…どうでもいいこと何だけど、彼女のことを知らないフリをしてきてさ…英二が…あっ!】


友奈にバレた〜!って、何で隠そうとした?俺?


それに反応した姉貴は、


【彼女?誰?どこの娘?私の知ってる娘?】


【姉貴何いってんだよ、話したことあるだろ?】


【いつ?寝ぼけて忘れちゃったのかな?】


姉貴〜頼むよ。話したよな?俺。


英二に続いてつまらない冗談はやめてよ。


【零、お願い、詳しく教えて】


【零くん、私も聞きたい。恋話大好き!】


友奈までも、メール見せるか…えーと。


あれ、あれ、無いな。



【早く〜出し惜しみしないで】



姉貴、もう、ちょっと待てって。


おかしいな、メール、なんで?


友奈もボソッと、


【メール無いの?どうして?削除したの?】


【おかしいな…こんなこと今まで無いのに。削除なんてするわけ無い】


【他の人のは?メールの送受信記録は?】


【ある。英二のは。何で英二のなんか残ってて、肝心な琴美のが。おかしいな、本当に変だ】


友奈は、あれって?表情で、


【琴美…彼女のこと?素敵な響きだね。どこで知り合ったの?】


【それ、何の冗談?同級生だよ。ほら、知ってるでしょ?あのさ、えーと、んーと、ほら、何だっけ?】


【零くん、同級生なの?ごめん、覚えてないだけかも。琴美って人のこと】


友奈も、忘れるなんて。どういうこと?


 姉貴は飽きたらしい…俺の彼女のこと信じてないな。メールも見たくせに。


【零〜もういいよ。そろそろ帰ろうか?明日から忙しくなるからね。友奈、よろしく。駅で待ち合わせだね。後でメールして。お昼お弁当一緒食べよう】


【聖奈さん、こちらこそよろしくお願いします。あと、零くんも同じ電車だよね?】


【あっ、そうかな。たぶん】


姉貴が、腕を組んできて、


【零〜明日から両手に花🌷って?このこの〜】


【ほんとに仲いいねー、聖奈さんと零くん】


違うけどな。それよりもメールが気になる。


【メール、どうしよう…】


困ってる俺を姉貴が、


【PCから入れば?クラウドメールでしょ?だとしたら残ってるんじゃない?】


姉貴!!ナイス!!それだ!



……………………………………………………………



早速、PCで確認しよう。急げ〜自分の部屋直行!


【お母さんただいま〜見て見てこんなに買っちゃった。零いてくれて助かったよ。やっぱ持つべきは弟だね】


【零に、何か食べさせたの?こんなに遅くなるとは思わなかったから】


【それはもちろん。あと服も買ってあげたよ】


【見方によってはデートに見えたんじゃないの?】


【まあね、それもそうかも知れないけど、友奈もいたから。それとちょっとおかしいんだよ、零。彼女いたって言ってるの】


【友奈さん?彼女?】


【友奈じゃなくて、別の人。お母さん知ってる?】


【解らない。聞いた記憶もない。最近かな?】


【そうでしょ、そうでしょ、私も知らないんだけど、零は私は知ってるみたいになってる】


【友奈さんの前でカッコつけたのかな?】


【そんな風には見えなかったけど…不思議】


【で、零には話したの?そろそろ話してもいい頃かも知れないけど。今日はそのために零を連れて行ったんでしょ?】


【……話してないの……無理だったの】


【そう…でもね、いずれ解ってしまうことかも】


【それも辛いけど、出来たら今のほうがいいな】


【聖奈の判断でね。私からは余計なことは言わないから】


【ありがとう。零、部屋にこもったきりだね】


【あ、メール確認してるかも。少しそっとしてあげて。お母さん、先に食べてよう。夕飯】













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