第7話 家族

随分遅くなったけど、楽しかった〜


【遅くなっちゃったね、家まで送るよ】


俺が言った言葉に、琴美は、


【ありがとう。大丈夫だから、私は】


【別に琴美の家に上がろうとかしてないよ。本当に心配だからさ】


琴美は困った表情になって、


【うん。あのね…えーと、その…ごめん】


なにか事情あるな。これは。


【琴美、解ったよ。気を付けてね。着いたらメールでもちょうだい】


【うん!!零、今日は楽しかった〜ありがとう】


【俺もだよ!またデートしよう】



 大丈夫だよな?こんな遅くなったけど。メール待つか。たぶん、俺のほうが家に早く着く。



【お袋ただいま〜夕飯何かある?】


※ワンワン、キューン🐕※ 迎えてくれたの?


相変わらずお前は出迎えてくれるんだね~いい子



【こら、零!!何度言えば解るの!!夕飯いるなら早めに言いなさいって言ったでしょ!!】


【ごめん、そうだった。つい…なんかお茶漬けでも勝手に作るよ】


【とにかく、手洗って、お姉ちゃん買ってきてくれたお肉あるから、すき焼きだけど】


なに、何という豪勢な…すき焼き!!


ん、お姉ちゃん?姉貴!!帰ってるの?


【あのさ、さっき姉貴って】


【聖奈帰ってきたよ。今お風呂入ってる。昼に連絡あってね、高級牛肉買ってきてくれたから、遅くなったけど今から夕飯】


 有難い、とにかく有難い!しかも、牛肉なんて!そうそう食べれないからね。


数分後、


【あー、さっぱりした。実家のお風呂はいいね〜お母さん誰と話していたの?声聞こえたけど、電話?】


【聖奈!!さっきトレーナーとズボン出しておいたでしょ。何で着てこないの?】


【のぼせちゃった。別に誰もいないから】


※ワンワン、キューンキューン🐕※


【零、帰ってきてるから。早く着てきなさい!!】


相変わらずだな、姉貴。いつも風呂出ると下着で。



※ぐー※ 高級な牛肉、目の前に!!



 琴美とレストランに入って、俺、緊張してほとんど食べれなかったんだよね〜案外デリケート。


※ワンワン🐕※


 お前もお腹空いたのか。でもすき焼きは食べれないぞ。ご飯はもらってるはずだよな?


【よしよし、さっきご飯食べてたよね?すき焼きも少し食べたいのかな?私の買ってきた牛肉食べるかな?】


※キューン、キューン🐕※


【聖奈、すき焼きなんか絶対あげちゃ駄目だからね。いつものドッグフードを食べたんだから】


※キューン…🐕※ しょぼーん…


【可哀想…じゃ、少しおやつあげるね】


※キューン、キューン🐕※ ランラン♪



【聖奈、早くトレーナー着てきて!!零、手洗ったら食器出して!!すき焼きは食べるタイミングが大事】



みんな揃って準備万端!!🐕もおやつ待ってるね。


姉貴が、


【はい、いい子にしてたね。おやつだよ~】


※ワンワン、モグモグ、キューンキューン♪🐕※


じゃ、俺達もすき焼き食べようかな。



お袋気合入ってる。久々の牛肉だもんね。



うんまーい、これは、いい肉だ〜モグモグ!!出張続きの親父、残念!!



※プシュ~※


姉貴が、ビール飲みながら、


【零、デートどうだったの?相手は?友奈?】


【そんな訳無いだろ。でも、楽しかったよ】


【友奈、友奈ってあんた達よく言ってたからね。友奈じゃないのか〜残念】


そう言えば、友奈、姉貴のこと言ってたな。


【それは、英二が言ってただけだろ。姉貴、友奈のこと、知ってたのは何で?】


【英二くんか〜久しく会ってないねー、零、スマホブーブー言ってる。誰かからの着信じゃない?】


おいおい、友奈との知り合いの質問はスルーかよ!!



スマホ?そうだ!琴美!



📧※無事着いたからね。今日のこと絶対に忘れないから。ありがとう、零※📨


 琴美、着いたんだね。良かった。それにしてもちょっと大袈裟な。


📧※俺も楽しかったよ。またデートしようね※📨



【うん、可愛い〜何そのやりとり!!今度家に連れてきて】


姉貴、メールのやりとり見てたな。もう!!


【勝手に見るなよ!!】


【見えちゃったんだから、しょうがないよね。零、明日用事ないなら買い物付き合って】


【ヤダ】


【何それ〜いろいろここでの生活に必要なもの買うのに男手が必要なんだけどな〜】


ここでの生活って?


【あっ、そうそう、聖奈ここに住むから】


そうなの?お袋、早く言ってよ。俺の自由が〜


【零、何か私がココに来ると困るの?】


【いや、別に】


【じゃ、嬉しい?】


【いや、別に】


【どっちなの!もう、煮えきらないな~!】


【どっちとか無いだろ。明日は何買うんだよ】


【洋服とか、小物とか、いろいろ】


生活必需品じゃないじゃーん!!


【零、聖奈の買い物付き合ってあげなさい。小さい頃たくさん面倒見てくれたでしょ。それに男手が必要って言ってんだから。あんなにお姉ちゃん子だったんだから、あんたはさ。照れてないで買い物くらい付き合いなさい】


【別に照れてないけどさ。解ったよ。面倒だな】


【零、何か買ってあげるからね〜】


俺は子供か!!



……………………………………………………………



【零、そろそろ起きてよ】


【何〜早いだろ。こんな時間に〜】


【買い物、付き合ってくれるんでしょ?】


【付き合うけど早すぎるよ】


【もう10時、全然早くない。早くご飯食べて】



……………………………………………………………



明日から仕事なのに、買い物付き合われて。


姉貴は、どんどん服を買って、安いものだけど。


 誰かに見られたら恥ずかしいんだよ。姉貴と買い物って。彼女と勘違いされてもね〜


そんなに混んでなかったから、良かった。


 姉貴、なんか嬉しそうだな。女性って買い物好きなのかな?今度、琴美誘ってショッピングモールデートもいいかもね。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る