第6話 違和感
【零〜こっちこっち!!早く】
【待って、ちょっと早すぎる。追いつかない】
琴美とデート。今日は遊園地に。
【疲れた〜あのさ、もっとゆっくりと。琴美は体力凄いね。何か部活やってた?】
【んー、やってない。昔の頃の話はいいじゃん!!今を楽しもう。次、ジェットコースター】
それは…それは、ちょっと…
【他のにしない?】
【何で?ジェットコースター駄目?】
【ちょっとこれは、そうだ!!観覧車は?】
【スリルないじゃーん。ジェットコースターの後にしようよ。とにかくこれ乗る!!】
ヤバいな…やばすぎる。俺の弱点を露呈してしまう。これって回転するじゃん。どうするべきか…
と、悩む間もなく並ばさられる俺。もう諦めモード突入!!覚悟決めるか。
……………………………………………………………
やっぱ、こうなった…
【零、大丈夫?動ける?】
【うん…ちょっと待って】
【慌てなくていいよ、なんかごめんね】
【琴美のせいじゃない。俺が弱すぎる】
【苦手だったんだね】
うー、何か落ち着いてきたような、大丈夫かな。そろそろ行けるか?
【観覧車で休もう】
【うん!!高いとこ大好き】
観覧車って、ただ高いとこから景色見るだけって、そんな訳あるかーい!!琴美とだぞ!!
ドキドキ💗ドキドキ💗
【うわー、こんなに高いとこまで上がるんだ!!】
琴美の喜んでる笑顔見て、素敵すぎて。
【何?零?どうかしたの?】
可愛すぎるんだよ…
何で記憶にないんだ?
おかしいよな、確かに。これほど可愛かったら、性格も明るく優しく。どうして覚えてない?
あり得ないだろ。これは英二の言うとおりだ。
どうしても知りたい。でも、琴美は何故か昔の話をしたがらない。
辛いことあったのかな?
【ちょっと!!あれ、あれ乗ってない!】
琴美はそんな俺の気持ちを察してか、その場の雰囲気を変えるようにはしゃいで、肩に触れてきて。
さりげないスキンシップが上手いな。
それとは反対に、子供みたいに夢中で、
【あれ乗るよ!!降りたら走るよ~】
【走らなくても大丈夫だろ?】
【絶対混むもん、少しでも早く乗りたいの】
この娘、休むことを知らないな。明日休みで良かった。
……………………………………………………………
オエッ…酔った…ムリ、少し休む。
【コーヒーカップも駄目なんだね~】
【違うだろ〜琴美がグルグルと…駄目だ、トイレ】
ジェットコースターも、グルグル回るコーヒーカップも俺の苦手なものばかりだ。
楽しんでるなら、いや、そのレベルじゃないな。絶好調だな。こんなに楽しんでくれるなら連れてきて良かった〜俺も嬉しい!!
でもさ、俺が得意なものは、そうだ!!ここにはあるじゃん。あの有名な、そう。👻屋敷!!
ここは実は👻屋敷には本物が出たって有名になりって暫く閉館していたくらいだ。
結局証明されなかったから、問題ないけど、それはそれで恐怖。これは俺、得意!!この怖さには耐性がある!!!よしこれで行こう。
【琴美、ごめん。復活したよ】
【じぁ、乗れるね!!】
【今度は歩こう!!歩くアトラクション】
【歩く?】
【👻屋敷!!!】
【…………ヤダな〜……】
おっと、琴美の弱点!!👻怖いんだ〜
【大丈夫!!入ろうよ】
【……ごめん、他の何でもいいから、👻屋敷だけはめん。ごめんね】
そんなに怖いのか。仕方ないな。
【じゃ、別のにしようね】
【ありがとう。感謝します】
大袈裟な、何という大袈裟な言葉使いだ。
【零、明日休みだよね?】
【そうだね。明日仕事ならとっくに帰ってるよ。体が持たない。それほどハードだって、今日は】
【体が…ね…そうなんだね】
どうした?表情冴えないね。
【少し休もうか。暫くするとイルミネーション始まるからね。今日はこれも楽しみにしてたよね】
【うん!!楽しみ。それにお腹空いた〜】
【じゃ、レストラン入ろう。少し休めるから】
……………………………………………………………
【今日は楽しかった〜、零、ありがとうね】
【イルミネーションも良かったね】
【遊び尽くしたって感じ…眠い…】
【着いたら起こすから、寝てていいよ】
【肩借りまーす!!】
ぐー、スヤスヤ…😪💤
疲れていたんだね、琴美。寄りかかって…これでは俺が緊張して眠れない…ドキドキ💗ドキドキ💗
肩が心臓みたいだぞ、俺。
【…ごめんね…👻屋敷…どうしても…】
【えっ?】
ぐー、スヤスヤ…😪💤
寝言?そんなに👻怖いんだ…可愛いな。
そんなに嫌なら今後も👻屋敷は無理そうだな。
※ブーブー※
メール…マナーモードにしておいて良かった!!
英二か…どうせデートのことでも聞きたいんだろ。
※零、随分と遅くまで楽しんでいたな。どうだったデートは?進展は?※📨
※帰り道の電車。何?進展って。何も無いよ※📨
※そうなんだ、つまんねーの※📨
※琴美起きちゃうから、じゃ※📨
※おい、琴美、寝てるのか!どこだよ!※📨
※だから電車だって!何勝手な想像してんだ!※📨
※なーんだ。じゃ※📨
あいつ、何考えてるんだか…ほんとアホな友人だ。
【ん、ごめん、寝ちゃった】
ほら、起こしちゃった。英二のバカヤロー!!
【ごめん、📨で起きちゃったね】
【誰と?】
【英二だよ。何で?】
【ううん…何でもない】
暫く沈黙の後、琴美は、
【あのさ、👻屋敷は今後も無理かも…】
【寝言で言ってたね。もう👻屋敷は絶対に入らないから安心して】
【寝言!!私が?何か他に言ってた?恥ずかしい…】
【他には何も…ほら、よだれ…子供だね】
俺が手で拭き取ろうと、その時、
※バチーン※ 痛っ、静電気!!
【痛〜、もう完璧に目が覚めたよ。零!!】
琴美のよだれを拭こうと、俺も痛かったが琴美は唇だもんな。
【俺が余計なことを…すまん!!】
【いいよ、優しいんだね。ヨダレとか嫌じゃないの?普通はさ】
【琴美のはいいんだよ】
【…………】
何か変なこと言っちゃったな、俺。
気まずい空気…琴美も黙ってる…困ったな。
【零、いつも休みは何してるの?】
【ゲームばかりだね。彼女いたこと無いから】
【へー、どんな、どんな?】
【オンラインでバトルの】
【楽しいんだね、結構みんなやってるよね。向こうでも…何でもない。それで知り合いとかと?】
向こうでも?なにそれ?
【向こうでもって?】
【寝ぼけてるね、私。気にしないで。それで誰とやってるの?】
【何か解らないけど、上手い人がいて、俺はどちらかと言うと足手まとい。ステージクリアもほとんどその人が攻略してるね】
【男性って、ほんとそういうの好きだね〜】
【たぶん、女性だと思うけどね】
【………………そうなんだね………………】
あ、ヤバ…ついポロッと。
【会ったこと無いんだよ。それにたぶんってことだけしか解らないし、それに…】
琴美は俺の唇をつまんで、ニコって笑って、
【いいの!!私の勝手なヤキモチだから】
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