第5話 重なって
「清純く……ん……」
彼の甘い愛撫に、私の体は跳ねました。胸を鷲掴みにされ、先端を口に含まれ甘噛みされて。蘇るあの時堕ちた快楽に、また私は体を委ね。私は彼に誘われるがまま、彼の硬くなるそれを口に含むと、舐め上げるのです。
軋むベッドと、シーツの衣擦れと、二人の甘い吐息。
互いを貪る様に、熱く激しく抱き合い、溶けてしまいそうでした。
――――――。
「一緒に行く?」
「行きません。私たちは所詮、ごっこ遊び。でしょ?」
「明日から、また何も無い日が始まる」
「そうね、元の毎日に戻るだけ」
「……なぁ、文香ちゃん」
「ん? 何?」
「これからもずっと、ここに居るの?」
「さぁ、どうだろ? 素敵な恋人と結婚して、知らない土地に行くかもしれない」
「その〝素敵な恋人〟は、俺じゃないの?」
「そうね、違うわ。相手はきっと〝本気の恋愛〟をした人と」
「そっか……」
学校最後の日、彼はさようならも言わず教室に一人私を置いて、出て行きました。
――何もかもを此処に残して。
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