87:気になる魔王。
◇◇◇◇◇
朝起きると、魔王がじっと見つめてきたので、キスでもしてほしいのかと思い、ブチュッとかました。
「…………」
「おや? 違った?」
「……もう一回」
違わなかったらしい。
朝ご飯はパンとシーザーサラダに決めた。
シーザードレッシングを作ることにしたものの、苦渋の決断を迫られた。
本当はにんにくペーストを入れたほうが美味しいんだけど、まぁ流石に朝からはだめかなとか、ね。仕方ないから諦める。
先ずはマヨネーズと同量の牛乳をしっかりと混ぜる。そこにレモン汁をブシャーッと入れ、ブラックペッパーをゴリゴリ、更に良く混ぜる。まぁ、これだけでも充分なんだけど、にんにくを入れてないことで、シーザーらしさのパンチがちょっと足りない。
貯蔵庫から乾燥させて砕いたバジルを持ってきてパラリ。そこに粉チーズもわっさり。シーザーからちょっと離れかけてるけれど、これはこれでとても良い美味しいのだ。
お皿にちぎったレタスを盛って、半熟な目玉焼きをその上に乗せ、ドレッシングをタラリ。……ダプリ。
シーザー系は多いほうが美味しいもん。
パンは食パンを焼いてバターを塗っただけ。
サラダのお皿に残ってるドレッシングを付けて食べるのがオツなの。お皿に黄身がちょっと残ってたら、それもパンに付ける。めちゃウマだからね。
「んまい」
「でしょ!」
魔王には目玉焼き三個と食パン三枚。レタスは超大盛り。
それでも腹八分目にもなってないって言うんだから、凄い。どういう胃してんだろ。
「なぁ、前世のことで聞きたいんだが……」
「またぁ? 何を?」
魔王がもじもじとして中々本題に入ってくれない。何を聞きたいのか全く分からないから、ハキッといって欲しい。
「っ……あー…………ん、帰ってきてからにする」
魔王は話が長くなりそうだからって言うけど、なんか変な感じがする。野生の勘的なので。
結局、魔王はご飯のお皿を片付けてから瞬間移動で消えてった。
「――――ってことがあったのね。なに聞きたいんだろうね?」
「は……アンタ転生者だったのかよ」
「あれ? ヒヨルド知らなかったの?」
「初耳」
――――おんやぁ?
やっぱ聞かなかったことにしておいてとお願いしたら、普通に嫌だと言われた。まぁ、悪用しないでくれるんなら別にいいんだけどね。
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