85:レーゾーコの利便性。
電化製品などが便利というのは、どう便利なのか……と問われると、にんともかんとも説明がし辛い。
テレビ? スマホ? 電車や自動車は私のザックリ説明でも魔王ならわかるかも。
あ、冷蔵庫は地味にほしいんだよね。おじいちゃんに言えばよかったんだ。なんで言ってなかったんだっけ?
――――あ。
「魔王がいるから、魔具に頼ろうとか思わなかったんだったっけな?」
「…………」
魔王が無言で抱きしめる腕の力を強めてきた。苦しいんですけど? 絞め殺す気かな!?
「レーゾーコの説明」
「はいはい」
大きな箱型というか、扉付きキャビネットと言ったほうが伝わるのかな?
それの中がずっとひんやりとしている道具。なんのために使うのかと言われると、大きなところでは腐敗防止であり、保存なんだけども。
魔王は保存なら貯蔵庫で十分だろうと言う。確かにそうなんだけど。そうじゃないっていうか。
「例えばゆっくりゆっくり冷やしたいものとかあるのね」
「冷却魔法でいいだろ?」
「使える人って結構少ないんでしょ?」
「…………確かに」
魔王、自分が当たり前に使えるから不便さとかミリも感じてなかったな?
「…………」
でた! 無言でやり過ごすつもりな魔王!
「私はハッキリと言質を取るぞ! オラ、吐けぇい!」
ぐるりと寝返りをうち、魔王の横っ腹に手を回す。ワキワキと指を動かしまくって、魔王の横腹をくすぐっていたら、指に感じていた滑っとしていた肌の感触が、カッチカチのツルッツルに変わった。ガラスみたいな、研磨された金属みたいな。
ツンツンしても、硬い何かに横腹が覆われている感じ。コレはアレだ。
「何を防御魔法とか使ってんのよ」
「…………くすぐったい」
魔王の弱点見つけたり!
防御魔法とか使うほどに弱いのか!!
「ちょ、ちょーっと解除してみてよ! 先っちょ、先っちょだけでもいいから!」
…………脳しんとう起こすかと思うくらいのデコピンされた。
「お前は本当に……アホだ」
「知ってるよっ!!」
私は基本的にこんなんだよ。前世のときから。
「とにかく! 冷蔵庫は便利なのっ!」
冷やしながら時間を掛けてじっくりと味をなじませたりとか。これをすることによって、格段に美味しくなる料理っていっぱいある。そして、貯蔵庫には絶対に出来ないこと。
「ふむ……」
魔王、美味しいものがいっぱい出来るという言葉で考え直した?
ナマズなおじいちゃんに相談してみたら良いんじゃないかとか言い出した。見事な掌返し。
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